2 / 5
美穂の章
2、編集者、美穂2
しおりを挟む
「ショーマ先生、ここからここはだれが書いたんですか?」
「うん?」
「23ページから28ページあたり」
「なんか変?」
「…ここ、AIに書かせたんじゃない?」
「藤原君、失礼なことを!」「よーわかったねぇ」
岩瀬室長と翔真の声が被る。
「さすがミポリンやわ。ちょっとうまく筆が進まんでねぇ」
「何年、あなたの文章を読んできてると思ってるんですか。この部分だけ少しもワクワクしなかったわ。編集者じゃなかったら読むのをやめてたわね」
「またそんな、きっついなぁ~」
「流れは悪くないのですけど、モブが弱い。人物をきちんと描き切るショーマ先生らしくないです」
「あぁ、なるほど!そうか。うんうん!ちょっと待って!書き直すわ!」
「時代が時代ですから、AI使うなとは言いませんが、自分の文にちゃんと変えてくださいね」
翔真は軽く頭を縦に振りながら、ものすごいスピードでキーボードを叩く。
(このひらめきがないのよね…私には…)
「おっ時間だ。藤原くん、僕は先に失礼するね。後は任せます」
「はい」
岩瀬室長が画面向うの翔真に会釈をしてそっと出ていく。私はパソコンに映し出される翔真の文章を目で追っていた。
「よっし!どない?」
翔真が手を止めドヤ顔を上げる。私は紡がれながら読んでいた文章に改めて目を通していった。
「ほら、誤字!」
「へへ、堪忍。けど、吐き出してるときは止まられへんのや」
「吐き出す…せめて書き出すでしょ」
「いや、感覚的には吐き出すやな。頭の中に動いているシーンをそのまま打ち出すのやもん」
「そう」
「それがなかったんやわ。その近辺。なんぼ考えても動かへん」
「で、AIに頼ったのね」
「うん。すごいな。スラスラ書きよりましたえ。自信喪失や」
「けど、あなたの文ではなかったわ」
「今回も助かった! ミポリン、ほんまは”編集者”って能力持ちちゃう?」
「そんな能力は持っていません」
「いやいや、持ってはるて」
「はいはい。それでは、また続きをお願いしておきますね。2週間あれば残りは終わりますか?」
「え~、2週間!きっつ!ブラックやわ」
「もう吐き出すだけなんでしょう?」
「まぁな。きばるわ。ほな、2週間後に」
「はい。またご連絡いたします」
翔真とのリモートを終え、一息つく。
「うん?」
「23ページから28ページあたり」
「なんか変?」
「…ここ、AIに書かせたんじゃない?」
「藤原君、失礼なことを!」「よーわかったねぇ」
岩瀬室長と翔真の声が被る。
「さすがミポリンやわ。ちょっとうまく筆が進まんでねぇ」
「何年、あなたの文章を読んできてると思ってるんですか。この部分だけ少しもワクワクしなかったわ。編集者じゃなかったら読むのをやめてたわね」
「またそんな、きっついなぁ~」
「流れは悪くないのですけど、モブが弱い。人物をきちんと描き切るショーマ先生らしくないです」
「あぁ、なるほど!そうか。うんうん!ちょっと待って!書き直すわ!」
「時代が時代ですから、AI使うなとは言いませんが、自分の文にちゃんと変えてくださいね」
翔真は軽く頭を縦に振りながら、ものすごいスピードでキーボードを叩く。
(このひらめきがないのよね…私には…)
「おっ時間だ。藤原くん、僕は先に失礼するね。後は任せます」
「はい」
岩瀬室長が画面向うの翔真に会釈をしてそっと出ていく。私はパソコンに映し出される翔真の文章を目で追っていた。
「よっし!どない?」
翔真が手を止めドヤ顔を上げる。私は紡がれながら読んでいた文章に改めて目を通していった。
「ほら、誤字!」
「へへ、堪忍。けど、吐き出してるときは止まられへんのや」
「吐き出す…せめて書き出すでしょ」
「いや、感覚的には吐き出すやな。頭の中に動いているシーンをそのまま打ち出すのやもん」
「そう」
「それがなかったんやわ。その近辺。なんぼ考えても動かへん」
「で、AIに頼ったのね」
「うん。すごいな。スラスラ書きよりましたえ。自信喪失や」
「けど、あなたの文ではなかったわ」
「今回も助かった! ミポリン、ほんまは”編集者”って能力持ちちゃう?」
「そんな能力は持っていません」
「いやいや、持ってはるて」
「はいはい。それでは、また続きをお願いしておきますね。2週間あれば残りは終わりますか?」
「え~、2週間!きっつ!ブラックやわ」
「もう吐き出すだけなんでしょう?」
「まぁな。きばるわ。ほな、2週間後に」
「はい。またご連絡いたします」
翔真とのリモートを終え、一息つく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる