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赤紫の踊り子よ
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何もない部屋で私は踊る。白い壁紙の貼られた綺麗な部屋、私の住むアパートの一室だ。家具も殆ど捨て、綺麗に掃除をした。とても気分が良い。私のモノ以外はいらない。黒くて、青くて、クールな部屋なんて、私の部屋じゃない。折角家具を買ったのだが、やはり異物などいらない。それを売って返ってきたお金で、赤紫のワンピースとヒールを買ったの。別に外に着ていくわけではなくて、この部屋で踊るために買った。この格好で外に出るなんて、暫くは出来そうにない。さあ今日も踊ろう。赤紫一色の鮮やかなワンピース、同じく赤紫一色の艶やかなヒール。ああ、気持ちが昂ってくる、私の荒んだ心に赤紫が美しく染まる。ワンピースを大きく靡かせ、回る、跳ぶ、ヒールを鳴らして回る、飛ぶ。ああ、これが私、私は華、赤紫の華。今日も美しく咲き誇る。いつの日か真紅になる為に。
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