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息子とキャンプ
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娘の恵理と旅行が終わり、次は息子の和とキャンプをする。キャンプ場までは車で一時間の所にある。和が小学生の時、テレビでキャンプの特集をしていた。それを見た和がキャンプをしてみたいということで二人でキャンプをした。和は楽しそうにテントに入ったり出たり、外で作るご飯を嬉しそうに食べた。それが和との一番の思い出だった。
和は楽しみなのか車を嬉しそうに運転しながら、キャンプ場まで
「魚釣りをして、釣った魚を塩焼きにしよう。夜はキャンプファイヤーをしながらご飯を食べて寝る前は星を見ようよ!」
と言っていた。どんだけ楽しみなのよ、と心の中で思った。私たちはキャンプ場に着いた。そして、テントを立てたり荷物の整理をしたりした。ある程度片付いたので私たちは近くにある川に釣りをしに行った。川は緑が綺麗な山に囲われており、耳を澄ませば水の流れるいい音や鳥の鳴き声が聞こえた。
和は釣り竿に餌をつけて私に渡した。私が餌を触れないのを覚えてくれていたみたいだった。私は竿を川に向かって投げた。和も私のあとを追うように竿を投げた。二人で魚がかかるのを待ちながら、
「お母さん、俺の方が先に釣って見せるから。」
「いや、お母さんの方が先に釣るよ。」
そうな子供のようなやりとりをしながら魚を待った。しかし、どんだけ待っても魚はかからなかった。
「全然かからないな。お母さんの方はどう。」
そう言って私の方をみた。
「お母さんの方もかからない。」
二人とも全くかからないまま時間だけが過ぎた。時間が過ぎて、キャンプファイヤーの準備をするためにやめようかと話した瞬間。和の竿が勢いよくしなった。
「お母さん、俺のかかった。」
和は必死に竿を上へ上へ上げ私は網の準備をした。そして、魚を釣りあげた。少しばかり小さい魚だった。
「よかったね。」
私は笑いながら和の肩を叩いた。すると、いきなり
「お母さんのもかかってる!」
和は私に急いで言った。
「本当だ。」
私は年々衰えていた腕力を最大限使い竿をあげた。そして、私の方も魚を釣った。和に比べるととても小さいが。私たちは嬉しかった。
「釣れたな。」
「そうだね。戻って、キャンプファイヤーの準備をしようか。」
そう言って私たちは釣り道具を片付け今にもスキップをしそうな勢いでテントに戻った。
テントに戻ると、私たちは釣り道具を置いてキャンプファイヤー出来るぐらいの木を集めた。私にとっては歩いてはしゃがんで歩いてはしゃがんでの繰り返しで足と腰が痛い。歳をとったなとも思った。一昔前ならこんなことはへでもなかったのに。ふと、和の方を見ても腰をさすったりしながら木を集めていた。和も腰が痛いみたい。
仕方ない、これは誰もが通る道なのだから。私はそう思いながら、木を集めてテントに戻った。
「お疲れさま。」
和にそう言った。
「お母さんこそ、お疲れさま。さすがに腰が痛い。」
「私もよ。」
そう言いながら、私たちはキャンプファイヤーをするために木を組み立てた。一時して出来たが、少しばかり小さかった。
「小さいな。」
「そうだね。これぐらいの大きさでいいと思うよ。」
和も納得した。早いが木に火をつけた。魚を焼かないといけないから。私は慣れた手つきで魚の内臓を取り出し、塩をつけて串に刺した。それを和に渡すと和は火の近くに置いて焼き始めた。パチパチと火の心地よい音が聞こえた。その音を聞きながら、私は持ってきていた、食材も切って串に刺した。肉や野菜、野菜はカボチャ多めで。そんなことをしていたら魚が焼き上がったみたいだった。
「お母さん、魚焼けた。はい。」
和はこんがりと焦げた魚を私に渡した。
「ありがとう。」
そう言って受け取り私は一口魚を頬張った。魚の身がほろほろと崩れ、塩がきいていて美味しかった。隣で食べている和の方を見ると幸せそうな顔をして食べていた。
昔もこんな感じで幸せそうな顔をして食べていたな。懐かしいな。
「お母さん、美味しいな。」
「そうだね。他のも焼けてるみたいだから食べよう。」
そう言って、私はカボチャをとった。私は昔からカボチャが好きなのだ。なぜ好きになったのか分からないけど。
「お母さんは俺らのことどう思ってるんだ。」
和は私に聞いてきた。いつもだったら聞かないのに。
「そうだね。私はあなた達のこと大好きだよ。とても大事な私の子。寝る前に少しばかり話をしようか。」
私は言った。寝る前に星を見ながら話をしよう。
私たちは食べ終わったので片付けをした。キャンプ場にはシャワールームがあるのでそこでシャワーを浴びてテントに戻った。テントに戻ると和は寝袋を出していた。
「お母さん、寝袋出しといたよ。」
「ありがとう、和。」
私たちは、ジュースを片手に持ち星を眺めた。
「ねえ、和?」
「どうした、お母さん?」
「キャンプ楽しいわね。」
「そうだね。」
私は少し間をあけてから話した。
「ねえ、和。少し話を聞いて。」
「うん。」
「和は凄いね。いつも頑張ってる。けど、恵理と同じで頑張りすぎているところがあるね。和、頑張りすぎなくていいよ。恵理もだけど、和も自分のペースで頑張りなさい。そうしないといつかあなた達は壊れてしまう。だからこそ、自分のペースでするのよ。いつも頑張ってくれてありがとう。今日は楽しかった!魚釣りもキャンプファイヤーも。あの時以上に楽しかった。」
「そうだな。」
和はそう言った。私は今しか言えないと分かっているから話を続けた。
「和、今から言うことを覚えていて欲しい。和や恵理と一緒にいれて嬉しかった。初めて、喋ったときは嬉しかった。マンマって。その時にね恵理が私、お姉ちゃんになるのって。その時の恵理の顔と嬉しそうに手を伸ばす和が今でも思い出す。和。私に何かあったら恵理のことをよろしくね。和も一人で抱え込まずに恵理に頼りなさい。あの子はなんだかんだ言ってあなたのことを気にかけてるから。二人でたくましく、笑顔で生きなさい。」
私はそう言って微笑みかけた。
「うん。」
和はそう一言だけ言った。
「もう、寝ようか。明日は帰らないといけないし。」
「そうだな。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
和が寝たあと、私は一人星に願った。
次の日。私は鳥の鳴き声で目を覚ました。横では、和がまだ寝ていた。私は和を揺さぶって起こした。
「和、おはよう。朝よ?」
「うーん、おはよう。お母さん。」
和は眠たいのか目を擦りながら起きた。
「ご飯食べようか。」
「うん。」
私たちは昨日の夜に作っておいたご飯を食べた。少しばかり冷たいが美味しかった。
そのあとはテントを片づけて、持ってきた物をすべて車に積んだ。そして、私たちはキャンプ場をあとにした。
「楽しかったね。」
「そうだな。」
私たちはキャンプの思い出を話ながら家に帰った。
日は経ち、私は二人と行ったときに撮った写真をアルバイトにいれていた。
「お母さん、その写真温泉に行ったときの。」
「こっちはキャンプに行ったときのだな。」
「そうよ。写真いっぱい撮っておいたの。いつでも見返せるように。」
「「ありがとう。お母さん。」」
「どういたしまして。」
私たちは写真を見ながら思い出を語った。
この幸せがもう少し続きますように。
けど幸せは長くは続かないものだ。
和は楽しみなのか車を嬉しそうに運転しながら、キャンプ場まで
「魚釣りをして、釣った魚を塩焼きにしよう。夜はキャンプファイヤーをしながらご飯を食べて寝る前は星を見ようよ!」
と言っていた。どんだけ楽しみなのよ、と心の中で思った。私たちはキャンプ場に着いた。そして、テントを立てたり荷物の整理をしたりした。ある程度片付いたので私たちは近くにある川に釣りをしに行った。川は緑が綺麗な山に囲われており、耳を澄ませば水の流れるいい音や鳥の鳴き声が聞こえた。
和は釣り竿に餌をつけて私に渡した。私が餌を触れないのを覚えてくれていたみたいだった。私は竿を川に向かって投げた。和も私のあとを追うように竿を投げた。二人で魚がかかるのを待ちながら、
「お母さん、俺の方が先に釣って見せるから。」
「いや、お母さんの方が先に釣るよ。」
そうな子供のようなやりとりをしながら魚を待った。しかし、どんだけ待っても魚はかからなかった。
「全然かからないな。お母さんの方はどう。」
そう言って私の方をみた。
「お母さんの方もかからない。」
二人とも全くかからないまま時間だけが過ぎた。時間が過ぎて、キャンプファイヤーの準備をするためにやめようかと話した瞬間。和の竿が勢いよくしなった。
「お母さん、俺のかかった。」
和は必死に竿を上へ上へ上げ私は網の準備をした。そして、魚を釣りあげた。少しばかり小さい魚だった。
「よかったね。」
私は笑いながら和の肩を叩いた。すると、いきなり
「お母さんのもかかってる!」
和は私に急いで言った。
「本当だ。」
私は年々衰えていた腕力を最大限使い竿をあげた。そして、私の方も魚を釣った。和に比べるととても小さいが。私たちは嬉しかった。
「釣れたな。」
「そうだね。戻って、キャンプファイヤーの準備をしようか。」
そう言って私たちは釣り道具を片付け今にもスキップをしそうな勢いでテントに戻った。
テントに戻ると、私たちは釣り道具を置いてキャンプファイヤー出来るぐらいの木を集めた。私にとっては歩いてはしゃがんで歩いてはしゃがんでの繰り返しで足と腰が痛い。歳をとったなとも思った。一昔前ならこんなことはへでもなかったのに。ふと、和の方を見ても腰をさすったりしながら木を集めていた。和も腰が痛いみたい。
仕方ない、これは誰もが通る道なのだから。私はそう思いながら、木を集めてテントに戻った。
「お疲れさま。」
和にそう言った。
「お母さんこそ、お疲れさま。さすがに腰が痛い。」
「私もよ。」
そう言いながら、私たちはキャンプファイヤーをするために木を組み立てた。一時して出来たが、少しばかり小さかった。
「小さいな。」
「そうだね。これぐらいの大きさでいいと思うよ。」
和も納得した。早いが木に火をつけた。魚を焼かないといけないから。私は慣れた手つきで魚の内臓を取り出し、塩をつけて串に刺した。それを和に渡すと和は火の近くに置いて焼き始めた。パチパチと火の心地よい音が聞こえた。その音を聞きながら、私は持ってきていた、食材も切って串に刺した。肉や野菜、野菜はカボチャ多めで。そんなことをしていたら魚が焼き上がったみたいだった。
「お母さん、魚焼けた。はい。」
和はこんがりと焦げた魚を私に渡した。
「ありがとう。」
そう言って受け取り私は一口魚を頬張った。魚の身がほろほろと崩れ、塩がきいていて美味しかった。隣で食べている和の方を見ると幸せそうな顔をして食べていた。
昔もこんな感じで幸せそうな顔をして食べていたな。懐かしいな。
「お母さん、美味しいな。」
「そうだね。他のも焼けてるみたいだから食べよう。」
そう言って、私はカボチャをとった。私は昔からカボチャが好きなのだ。なぜ好きになったのか分からないけど。
「お母さんは俺らのことどう思ってるんだ。」
和は私に聞いてきた。いつもだったら聞かないのに。
「そうだね。私はあなた達のこと大好きだよ。とても大事な私の子。寝る前に少しばかり話をしようか。」
私は言った。寝る前に星を見ながら話をしよう。
私たちは食べ終わったので片付けをした。キャンプ場にはシャワールームがあるのでそこでシャワーを浴びてテントに戻った。テントに戻ると和は寝袋を出していた。
「お母さん、寝袋出しといたよ。」
「ありがとう、和。」
私たちは、ジュースを片手に持ち星を眺めた。
「ねえ、和?」
「どうした、お母さん?」
「キャンプ楽しいわね。」
「そうだね。」
私は少し間をあけてから話した。
「ねえ、和。少し話を聞いて。」
「うん。」
「和は凄いね。いつも頑張ってる。けど、恵理と同じで頑張りすぎているところがあるね。和、頑張りすぎなくていいよ。恵理もだけど、和も自分のペースで頑張りなさい。そうしないといつかあなた達は壊れてしまう。だからこそ、自分のペースでするのよ。いつも頑張ってくれてありがとう。今日は楽しかった!魚釣りもキャンプファイヤーも。あの時以上に楽しかった。」
「そうだな。」
和はそう言った。私は今しか言えないと分かっているから話を続けた。
「和、今から言うことを覚えていて欲しい。和や恵理と一緒にいれて嬉しかった。初めて、喋ったときは嬉しかった。マンマって。その時にね恵理が私、お姉ちゃんになるのって。その時の恵理の顔と嬉しそうに手を伸ばす和が今でも思い出す。和。私に何かあったら恵理のことをよろしくね。和も一人で抱え込まずに恵理に頼りなさい。あの子はなんだかんだ言ってあなたのことを気にかけてるから。二人でたくましく、笑顔で生きなさい。」
私はそう言って微笑みかけた。
「うん。」
和はそう一言だけ言った。
「もう、寝ようか。明日は帰らないといけないし。」
「そうだな。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
和が寝たあと、私は一人星に願った。
次の日。私は鳥の鳴き声で目を覚ました。横では、和がまだ寝ていた。私は和を揺さぶって起こした。
「和、おはよう。朝よ?」
「うーん、おはよう。お母さん。」
和は眠たいのか目を擦りながら起きた。
「ご飯食べようか。」
「うん。」
私たちは昨日の夜に作っておいたご飯を食べた。少しばかり冷たいが美味しかった。
そのあとはテントを片づけて、持ってきた物をすべて車に積んだ。そして、私たちはキャンプ場をあとにした。
「楽しかったね。」
「そうだな。」
私たちはキャンプの思い出を話ながら家に帰った。
日は経ち、私は二人と行ったときに撮った写真をアルバイトにいれていた。
「お母さん、その写真温泉に行ったときの。」
「こっちはキャンプに行ったときのだな。」
「そうよ。写真いっぱい撮っておいたの。いつでも見返せるように。」
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「どういたしまして。」
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