ありがとうと愛してるを

ゆき

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最後に伝える

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今、僕たちがいるのは病院。君はベットの上で本を読みながら僕と会話をしていた。
「ねえ、知ってる?」
君はいきなり聞いてきた。
「何を?」
僕は尋ねた。
「人は死んだ後三十秒は聴力が残っていることを。」
「そうなんだ、知らなかった。」
僕はそう言った。
「ちょっと聞いてほしいな。」
「いいよ。」
君は外を見ながら話した。
「私が死んだ後三十秒間話しかけてほしいな。空に帰るとき私静かなまま行きたくないもの。あなたの声を聞きながら空に帰りたい。」
君はそう言いながら静かに涙を流していた。
「うん、分かった。約束する。」
「ありがとう。」
君は袖で涙を拭きながら返事をした。
 ある日の夜に一本の電話がかかってきた。その電話は君の危篤を伝えるものだった。僕は急いで君の所に急いだ。病院に着いたときには君は僕をみて
「これまでありがとう。約束守ってね…。」
と言って君は空に帰った。僕は泣きながら
「君と出会えて、嬉しかった。楽しい思い出をたくさんありがとう。そっちに行ったときは本当に僕の声が聞こえたか教えてくれよ。これまで本当にありがとう。僕は君を愛してる。大好きです。」
と言った。君が空に帰ったことを実感して僕は泣き崩れた。けれども、君が空に帰るとき僕の声が聞こえていたらいいなと心の中で思った。
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