もう会わない

ゆき

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会わない

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 ある日の夕方。私とあなたは夕日がよく見える椅子に座っていた。
あなたと会ったのは一年前。私が出かけた先で迷子になったのが出会いだった。迷子になって困っていたときにあなたは優しく声をかけてくれた。少し話をしたら、お互い気が合って何回も会うようになった。
気付いたら私はあなたに恋をしていた。初めての恋を。あなたも同じだったらしく、すぐに付き合い始めた。付き合い始めた時は毎日が楽しかった。あなたがいると世界に色がついたみたいで楽しかった。けど、最近は楽しくなくなった。あなたといても世界に色がつかなかった。小さいことで喧嘩もするようになった。
 「ねえ、私たちもうダメだね。」
私は一言だけ言った。
「そうだな。」
あなたも言った。
「別れよ。」
私は小さな声で言った。
「うん。」
あなたも小さな声で言った。あなたは椅子から立ち上がり、
「これまでありがとう。」
と言った。私も
「これまでありがとう。もう会うこともないね。」
私の言葉を聞いて、あなたは私に背を向けて去って行った。
 本当は、まだあなたのことが好きだった。けど、私とあなたはもう合わない。見えてた世界の色が違った。初めて恋をして初めての失恋。ああ、夕日が揺れてるな。
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