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第一章 真夜中のラジオ
おまけ「父からの手紙」
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ある日の晩、輝の元に何かの荷物が届いた。それは小さな箱で、宛名は輝宛だった。そんなものを頼んだ覚えがないので母に聞くと、母は笑ってこう言った。
「ちょうど今日、届くようにしてあったのよ。あなたのお父さんからの贈り物」
輝の父は、輝が八歳の時に交通事故で亡くなっていた。母からはそう聞いている。なのになぜ、父から贈り物など届くのだろう。
「郵便局にはご迷惑だったでしょうけれど、こればかりは譲れなくて。輝が十七歳になった誕生日の翌日にって、配達指定してもらったの。開けてごらんなさい」
輝は不審に思いながらもその箱を開けた。すると、一通の手紙とともに、一つのキーホルダーが入っていた。
それは八ミリ玉の翡翠のビーズをいくつも集めて葡萄のふさの形を作ったもので、ガラスの葉っぱもついている立派なものだった。
「母さん、これ」
母にそれを差し出すと、少し寂しそうに、母はこう応えた。
「お父さんの生まれ育った故郷とこの糸魚川の象徴を合わせるとそうなるの。父さん、常々言っていたわ。輝には、色んな文化の橋渡しができるんだから、もっと広い世界を見せなければって。海のあるこの糸魚川にきてくれたのもそのお陰かも知れないわね」
輝は、それを聞いて、キーホルダーと一緒に入っていた手紙を手に取った。
「俺はそんな大したもんじゃないよ、母さん。父さんも俺を過大評価しているんだから」
そして、輝は手紙を読んだ。
だが、その時、ぐっと空気を飲んだ。
手紙には、一行、いや、一言、こう書かれていただけだったのだ。
「海へ行こう、輝」
輝は、それを読んだ時、無性に寂しくなった。手に持った手紙を握りしめる。
その手紙とキーホルダーは、以降輝の宝物になった。
「ちょうど今日、届くようにしてあったのよ。あなたのお父さんからの贈り物」
輝の父は、輝が八歳の時に交通事故で亡くなっていた。母からはそう聞いている。なのになぜ、父から贈り物など届くのだろう。
「郵便局にはご迷惑だったでしょうけれど、こればかりは譲れなくて。輝が十七歳になった誕生日の翌日にって、配達指定してもらったの。開けてごらんなさい」
輝は不審に思いながらもその箱を開けた。すると、一通の手紙とともに、一つのキーホルダーが入っていた。
それは八ミリ玉の翡翠のビーズをいくつも集めて葡萄のふさの形を作ったもので、ガラスの葉っぱもついている立派なものだった。
「母さん、これ」
母にそれを差し出すと、少し寂しそうに、母はこう応えた。
「お父さんの生まれ育った故郷とこの糸魚川の象徴を合わせるとそうなるの。父さん、常々言っていたわ。輝には、色んな文化の橋渡しができるんだから、もっと広い世界を見せなければって。海のあるこの糸魚川にきてくれたのもそのお陰かも知れないわね」
輝は、それを聞いて、キーホルダーと一緒に入っていた手紙を手に取った。
「俺はそんな大したもんじゃないよ、母さん。父さんも俺を過大評価しているんだから」
そして、輝は手紙を読んだ。
だが、その時、ぐっと空気を飲んだ。
手紙には、一行、いや、一言、こう書かれていただけだったのだ。
「海へ行こう、輝」
輝は、それを読んだ時、無性に寂しくなった。手に持った手紙を握りしめる。
その手紙とキーホルダーは、以降輝の宝物になった。
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