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1章
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SOS団は確か、主人公が神的ポジションだから、未来人とか宇宙人とか超能力者とか集まってきたわけで、実際にはそんな奴らが集まってくるなんて、ありえるわけがない。
俺は、1メートル超のグレイ型宇宙人のフィギュアが、首からぶら下げたホワイトボードを見て、ふとそんなことを思った。
『UMAよ!こぞれ!』
現在、極太ホワイトボードマーカーオレンジで力強くそう書かれたそれには、昨日は別の言葉が書かれていた。
『ホグワーツ経験者求む』
なんの求人だ、それは……。
俺は無言でホワイトボードをひっくり返すと、宇宙人の真っ黒で大きな瞳に見つめられながら、彼の横の扉を開き、オカルト研究部の部室に入った。
中には未来人も宇宙人も超能力者もいない。当然、キョ○くんもいない。あるのは壁一面に貼られた未確認生命体の目撃情報や、どうにも胡散臭いUFO雑誌、あとはヴィレッ○バンガードに売ってそうな謎の宇宙人フィギュア。なんとも趣味の悪い部屋だ。
「………」
なんとなく空気が良くない気がして、部室に一つだけある窓を開ける。
5月上旬ということもあって、まだまだ外気は肌寒い。ここ部室棟2階から見える木々が風に吹かれるのを見ると余計に寒くなってくるような気がして、俺は再び窓を閉めようとした。
「……はぁ」
小さなため息が下から聞こえて手を止める。見下ろすとそこには、見覚えのある少女が部室棟に寄りかかるようにしてしゃがみ込んでいた。
1-1組21番林 蜜。クラスメイトで、横の席。印象は大人しく、控えめで、落ち着いている。数人の友人と話しているところは見るが、決して目立つタイプではない。俺はほとんど彼女とは話したことはない。というか、クラスメイト全員とほとんど話したことがないわけなのだが……。
「………」
俺はなんとなく目が離せなくなって、黙って彼女を見下ろしていた。
ここから顔は見えないが、彼女から明らかな悲壮感が見て取れる。しゃがみこむ背中は丸まり、首は完全に俯いてしまっている。今にも泣き出してしまいそうな姿だった。
「うぅ……」
すると案の定、彼女は肩を震わせ泣き始めた。なんとか声を押し殺そうとしているが、すすり泣く声がここまで聞こえてくる。俺はいたたまれない気分になって窓を静かに閉めた。
誰だってそっとしておいて欲しい時はある。一人で泣きたい時だってあるのだ。特に親しくもない俺が出しゃばって行く場面ではない。気がすむまで一人にしてあげようではないか。
「あ、あの!」
と、2、3秒考えるものの、次の瞬間には窓を開け、林さんに声をかけていた。
林さんはビクッと背筋を伸ばし、恐る恐る二階を見上げる。俺は、下手くそな社交スマイルを口元に浮かべ、頭をぽりぽりとかいた。
「とりあえず、こっちくる?」
俺、源馬 博輝は、あの人のせいでいつの間にかお節介な性格になっなしまったらしい……。
俺は、1メートル超のグレイ型宇宙人のフィギュアが、首からぶら下げたホワイトボードを見て、ふとそんなことを思った。
『UMAよ!こぞれ!』
現在、極太ホワイトボードマーカーオレンジで力強くそう書かれたそれには、昨日は別の言葉が書かれていた。
『ホグワーツ経験者求む』
なんの求人だ、それは……。
俺は無言でホワイトボードをひっくり返すと、宇宙人の真っ黒で大きな瞳に見つめられながら、彼の横の扉を開き、オカルト研究部の部室に入った。
中には未来人も宇宙人も超能力者もいない。当然、キョ○くんもいない。あるのは壁一面に貼られた未確認生命体の目撃情報や、どうにも胡散臭いUFO雑誌、あとはヴィレッ○バンガードに売ってそうな謎の宇宙人フィギュア。なんとも趣味の悪い部屋だ。
「………」
なんとなく空気が良くない気がして、部室に一つだけある窓を開ける。
5月上旬ということもあって、まだまだ外気は肌寒い。ここ部室棟2階から見える木々が風に吹かれるのを見ると余計に寒くなってくるような気がして、俺は再び窓を閉めようとした。
「……はぁ」
小さなため息が下から聞こえて手を止める。見下ろすとそこには、見覚えのある少女が部室棟に寄りかかるようにしてしゃがみ込んでいた。
1-1組21番林 蜜。クラスメイトで、横の席。印象は大人しく、控えめで、落ち着いている。数人の友人と話しているところは見るが、決して目立つタイプではない。俺はほとんど彼女とは話したことはない。というか、クラスメイト全員とほとんど話したことがないわけなのだが……。
「………」
俺はなんとなく目が離せなくなって、黙って彼女を見下ろしていた。
ここから顔は見えないが、彼女から明らかな悲壮感が見て取れる。しゃがみこむ背中は丸まり、首は完全に俯いてしまっている。今にも泣き出してしまいそうな姿だった。
「うぅ……」
すると案の定、彼女は肩を震わせ泣き始めた。なんとか声を押し殺そうとしているが、すすり泣く声がここまで聞こえてくる。俺はいたたまれない気分になって窓を静かに閉めた。
誰だってそっとしておいて欲しい時はある。一人で泣きたい時だってあるのだ。特に親しくもない俺が出しゃばって行く場面ではない。気がすむまで一人にしてあげようではないか。
「あ、あの!」
と、2、3秒考えるものの、次の瞬間には窓を開け、林さんに声をかけていた。
林さんはビクッと背筋を伸ばし、恐る恐る二階を見上げる。俺は、下手くそな社交スマイルを口元に浮かべ、頭をぽりぽりとかいた。
「とりあえず、こっちくる?」
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