僕の秘め事

僕の秘密

僕は所謂、性同一性障害という

障害で、

身体は男なのに男を好きに

なってしまうという、

そういう障害を持っている。

まぁ、分かりやすく言えば

ゲイだ。

物心ついた時には


“自分は他の子達とは違う”


という感覚があって、

母に病院に連れて行って

もらうと、医師から



｢お母さん、お子さんは
性同一性障害を発症しています。｣



という言葉がはっせられた。

その言葉に母は泣き、

僕は胸の中にあった

違和感がストンという音と共に

無くなった。

そこから僕の家族の関係が一気に

変わった。

今まで優しく接してくれていた

父はまるで化け物を見るかの

様な、軽蔑と怯えた色の目で

僕を見るようになり、

逆に母は僕が障害持ちでも

それでも私の大切な息子には

変わりないと、性同一性障害の

勉強を始め、これまで僕を

支えてきてくれた。

幼かった僕は父の反応に

酷くショックをうけたが、


“自分が他の子とは違う”


ということをもう既に医師から

言われてしまっているので、

いくら悲しくても


“仕方ない”


と割り切るしか無かった。

逆に母の僕が持っている

障害について勉強したり、

理解しようと不器用ながらも

話しかけてくれ、助けてくれる

姿がとても嬉しかった。

そんな母の姿を見てからか、父も

だんだんと、以前の僕と同じ様に

接してくれることが多くなった。

母が持っていた障害の本を

読みあさり、障害のことについて

一生懸命に考えたり、調べたり

してくれていた。

そして僕を見ると、



｢ごめんな零、避けたりして
ごめん。
お父さん、これからお前の事
ちゃんと分かるようにお母さんと
一緒に頑張るからな、
お前も周りに負けるなよ。｣



と言って僕を抱きしめてくれた。

久しぶりの父の温もりに、

幼かった僕は酷く安心し、

声を上げて

わんわんと泣いた。

そして僕は、こんなにも優しく

接してくれる両親の為に、

同性の好きな人はつくらないと

決めた




はずだった＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿