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<三章:大切なモノを奪還せよ>
余裕は気づけばなくなるモノ
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食事も済んだところで、さてさっさと帰りましょうか。と、種を持ち帰る準備を進めていた時。
「あぁーーーー!」
と、魔王が顎を外していた。ビヨーンと伸びている。よくそのゆるゆるな顎で肉が食えたものだ。それほどの柔らかい肉だったのだろうか?
「来とる……勇者来とるぞ!」
「え、マジで?」
映像を見る。投影している骸骨がその身の存在を気づかれまいと、遠くから眺めているため映す姿は小さいが、確かに四人の見覚えある人影が見えていた。
え、四人?
「なぁ、一人増えてないか?」
「ちょっと待っとれ」と、魔王は摘んだ二本の指を画面に当てると、その指を広げて画面をズームさせた。ユーザビリティがしっかりした魔法だった。ズームされた見覚えのない男は、しかし服装は少し見覚えがあった。
「あーーーー!! 私の枠じゃないの!」
という声で合点がいった。本人はガッデム! といった風な顔だが、要するにこの神官の女子がクビになったことで、その枠を神官の男子が埋めたということだ。使えなければリストラして、他から見繕えば良いのだ。代わりのないものなんて無いのだと、見せつけられていた。
「でもお前副業っつってたろうが、しかしこれでとうとう戻るのがリスキーになったな」
花見をせずに直帰して、その移動中を襲撃されなかった事を幸運に思うべきか。しかし、問題はそれ以上だった。
ズームした画面には、ギリギリ例の壺が映し出されていた。綺麗な宝石がはめ込まれているその装飾を見たクスノが、眉根を寄せる。
「むむ、この壺、まさか願いを叶える壺ではないですかな?」
「願いを叶える壺か~、俺の世界でもあったな~」
「誠ですか!? それはそれは、凄まじい乱世を過ごされていたのですな」
「クスノ、皮肉もしつこいと興が醒めるぜ? 詐欺師が売りつけてる偽物に決まってるだろうが」
「偽物ですか、なるほど、それは平和だったんでしょうな」
まぁそれはそれでトラブルも引き起こされたので平和というわけではないのだが、なんか言葉のニュアンスが妙だ。言語疎通のポーション的には言葉ではなく概念が伝わっているのだろうけれど、だとしても、クスノの言い分は、まるで――
「まるでこの世界には本物の願いを叶える壺があるような言い方じゃないか」
「ええ、恐らく魔王城のそれは、本物かと」
「はぁ!?」
そんなトンデモアイテムを隠していたのかよ。それなら食糧問題もこれで解決すればよかったじゃないか。と魔王に睨みつけたのだが、魔王はだってだって~! と言い訳する。
「レアアイテムなんじゃから、大切にしときたいじゃろーが!」
分かるけど。頭を押さえた。そういうのはマジで早く言ってくれよ、いやマジで。
「問題は、勇者一行がこのアイテムの使い方をご存じかどうかでしょうな。これは首を壺に突っ込んで願いを言うことで発動するのでございます。その時壺が割れてしまう一回限りの代物。さて、いかがいたしましょうか」
クスノが丁寧に説明してくれる。それは、ヤバイ。もし使い方を知っていて「魔の者を全て滅ぼせ」と言っていたならば、俺達が消えかねない。そう一人でに呟いたものの、クスノがかぶりを振った。
「いえ、そのような曖昧な願いは叶えられません。魔力は人間や他の生物にも存在します故、壺が判断できないのでございます」
「ほう、良く知っているな。クスノ、もしかして使ったことがあるのかな?」
「先代の魔王様が『人間を滅ぼせ』と言ったのですが、遺伝子的にどこまでが人間なのかの判別がつかないと言われたらしいので」
次元を超えていれば危うく俺も死んでいたところだ。それにしてもそこまで厳密に願いを設定する必要があるとは。
「なるほど、だが願いを叶えられないと楽観はできないな。さっさと帰った方がよさそうだ。返り討ちにされてでも、壺の安全を確保した方がいいな」
「ちょっとまて! 首突っ込んどるぞ!」
魔王の言葉に、慌てて画面の方を見る。まさか願いの叶え方が分かるのか? とも思ったのだが、仲間内でふざけて勇者の顔がはまったらしい。遠足気分か? 偉く余裕だな。
「今の内に向かった方が良いな、お前ら30秒で支度しろ」
と、ちょっと言ってみたかったセリフを周囲に吐いたのだが、皆、画面に釘付けになっていた。目を見開いて、口をあんぐりと開けている。
「おい何してる、映像なんてもういい、あいつらが壺の使い方に気づく前に――」
しかし、画面にくぎ付けになったのは、皆ではなかった。一人は釘付けどころか、その画面に映し出されていたのだから。
割れた壺の破片と一緒に。
神官の女子が、魔王城で勇者パーティーと、共にいた。
「あぁーーーー!」
と、魔王が顎を外していた。ビヨーンと伸びている。よくそのゆるゆるな顎で肉が食えたものだ。それほどの柔らかい肉だったのだろうか?
「来とる……勇者来とるぞ!」
「え、マジで?」
映像を見る。投影している骸骨がその身の存在を気づかれまいと、遠くから眺めているため映す姿は小さいが、確かに四人の見覚えある人影が見えていた。
え、四人?
「なぁ、一人増えてないか?」
「ちょっと待っとれ」と、魔王は摘んだ二本の指を画面に当てると、その指を広げて画面をズームさせた。ユーザビリティがしっかりした魔法だった。ズームされた見覚えのない男は、しかし服装は少し見覚えがあった。
「あーーーー!! 私の枠じゃないの!」
という声で合点がいった。本人はガッデム! といった風な顔だが、要するにこの神官の女子がクビになったことで、その枠を神官の男子が埋めたということだ。使えなければリストラして、他から見繕えば良いのだ。代わりのないものなんて無いのだと、見せつけられていた。
「でもお前副業っつってたろうが、しかしこれでとうとう戻るのがリスキーになったな」
花見をせずに直帰して、その移動中を襲撃されなかった事を幸運に思うべきか。しかし、問題はそれ以上だった。
ズームした画面には、ギリギリ例の壺が映し出されていた。綺麗な宝石がはめ込まれているその装飾を見たクスノが、眉根を寄せる。
「むむ、この壺、まさか願いを叶える壺ではないですかな?」
「願いを叶える壺か~、俺の世界でもあったな~」
「誠ですか!? それはそれは、凄まじい乱世を過ごされていたのですな」
「クスノ、皮肉もしつこいと興が醒めるぜ? 詐欺師が売りつけてる偽物に決まってるだろうが」
「偽物ですか、なるほど、それは平和だったんでしょうな」
まぁそれはそれでトラブルも引き起こされたので平和というわけではないのだが、なんか言葉のニュアンスが妙だ。言語疎通のポーション的には言葉ではなく概念が伝わっているのだろうけれど、だとしても、クスノの言い分は、まるで――
「まるでこの世界には本物の願いを叶える壺があるような言い方じゃないか」
「ええ、恐らく魔王城のそれは、本物かと」
「はぁ!?」
そんなトンデモアイテムを隠していたのかよ。それなら食糧問題もこれで解決すればよかったじゃないか。と魔王に睨みつけたのだが、魔王はだってだって~! と言い訳する。
「レアアイテムなんじゃから、大切にしときたいじゃろーが!」
分かるけど。頭を押さえた。そういうのはマジで早く言ってくれよ、いやマジで。
「問題は、勇者一行がこのアイテムの使い方をご存じかどうかでしょうな。これは首を壺に突っ込んで願いを言うことで発動するのでございます。その時壺が割れてしまう一回限りの代物。さて、いかがいたしましょうか」
クスノが丁寧に説明してくれる。それは、ヤバイ。もし使い方を知っていて「魔の者を全て滅ぼせ」と言っていたならば、俺達が消えかねない。そう一人でに呟いたものの、クスノがかぶりを振った。
「いえ、そのような曖昧な願いは叶えられません。魔力は人間や他の生物にも存在します故、壺が判断できないのでございます」
「ほう、良く知っているな。クスノ、もしかして使ったことがあるのかな?」
「先代の魔王様が『人間を滅ぼせ』と言ったのですが、遺伝子的にどこまでが人間なのかの判別がつかないと言われたらしいので」
次元を超えていれば危うく俺も死んでいたところだ。それにしてもそこまで厳密に願いを設定する必要があるとは。
「なるほど、だが願いを叶えられないと楽観はできないな。さっさと帰った方がよさそうだ。返り討ちにされてでも、壺の安全を確保した方がいいな」
「ちょっとまて! 首突っ込んどるぞ!」
魔王の言葉に、慌てて画面の方を見る。まさか願いの叶え方が分かるのか? とも思ったのだが、仲間内でふざけて勇者の顔がはまったらしい。遠足気分か? 偉く余裕だな。
「今の内に向かった方が良いな、お前ら30秒で支度しろ」
と、ちょっと言ってみたかったセリフを周囲に吐いたのだが、皆、画面に釘付けになっていた。目を見開いて、口をあんぐりと開けている。
「おい何してる、映像なんてもういい、あいつらが壺の使い方に気づく前に――」
しかし、画面にくぎ付けになったのは、皆ではなかった。一人は釘付けどころか、その画面に映し出されていたのだから。
割れた壺の破片と一緒に。
神官の女子が、魔王城で勇者パーティーと、共にいた。
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