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<第五.五章:生きて下山せよ>
自分らしくあれ
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モモが言うには、魔王の剣は心の愚かさを表に出す力があると言われている。故に恐れられており、勇者がその魔を退治してきた。そういえば、勇者に任命された時そういうことを言われていたような気がする。ざっくりと、人間に仇成す悪、という認識しかなかったのだが。
しかし、サナの変化が魔王の剣によるものだと言うためにそういう説明をモモはしてくれたのだと思っていたが、愚かさが露呈したとは、あんまり思えない。
これは愚かさというよりも、本性が露呈したというべきか。サナは結構な気配りさんだったので、よく鍋とか焼肉をするときは、食べ物をよそったりしてくれる立ち位置だった。俺はサナのそういう優しさが大好きではあるのだが、ふと思うことがあったのだ。
お前は、肉を食べないのかと。
『男の子なんだから、私の事なんて気にせずにもっといっぱい食べなって。ほらナイツも。私が食べるといつもお肉になっちゃうから困ってるのよ』
と、その時はとても女の子らしい返事をしてくれた。「じゃ遠慮なく~」とバクバクと躊躇いを微塵も感じさせずにメアリーは肉を食っていたが。……いや、メアリーとの対比によって自分をより女の子らしく見せようとしていただけか? だがそれを差し引いても、彼女はいつも人に気を遣っている部分があった気がする。
サナの話というだけで、人に気を遣う者はいくらでもいる。というか、人に本性を隠す人がいないわけがない。そうやって人は社会生活を営んでいるのだから。
だが、突然気遣いできる人が本性を出したら、どう思うだろう。
第三者から、どう思われるだろう。周囲の人は認知的不協和をおこし、彼、彼女はこのような人間だっただろうか? と疑念を抱くことだろう。
そしていづれ、変わったとか、あいつは表裏があるとか、そうやって敬遠され、腫れ物として扱われ。
愚か者だと、言われる。
「という説もあります。本性がむき出しになることで、当人が愚か者だと思われる。そして人間の営みを著しく妨害する。なのでそんな剣を操る魔王を、勇者に退治してもらおう、ということから、人間と魔族が対立しているとか」
「なるほどなぁ、確かに俺も勇者に任命された時に、そういうこと言われた時があったっけ。あんまり自覚ないんだけど」
だがこの剣を持ってきたのは結果オーライだったようだ。身体強化魔法限定だろうが、自身を強化することで、守られる存在ではなく、ちゃんとした戦える人員となったサナは、それどころかデビルベアを圧倒している。俺もこれに続いて、デビルベアを討伐してやろうじゃないか。
「よっしゃ、加勢するぜ!」
と、両手でがっしりと握り、魔王の剣を前に出す。だがその時、ふわりと嫌な香りがした。そういえば魔王の剣を取りに行こうとしてから、この変な香りが鼻をつんざくんだよな。その匂いが、剣を動かすことでより顕著になったので、もう少しよく剣を見る。
あれ。
「くっそさびてんじゃね!?」
なーんか禍々しい黒々としたオーラを纏っているなーとか思っていたが、纏っていたのはオーラじゃない、焦げだ。ミナの奴、ちゃんと手入れせずに使ってたな?
「まずいですね、デビルベアは私がお渡しした包丁の切れ味では、文字通り刃が立たない剛毛を生やしています。そのせいで、サナ様の覚醒した打撃攻撃も、剛毛がクッションのような役割となりあまり決定打とはなっていません。奴を倒すためには、その毛をも引き裂く切れ味が必要だというのに」
モモは地面に拳を叩きつけて悔しがる。だがそんなモモに「大丈夫だよ」と励ます声をかけた者がいた。ナイツだ。
「僕なら、その剣を復活させられるかもしれない。このデスカルゴの殻があれば」
「そうか、確か砥石としても使えるんだっけ? でも錆じゃなくて焦げだけど、やれるのか?」
「大丈夫だよ、この殻は台所では鉄板の焦げを擦って取る時にも使われるくらい汎用性が高いんだ」
「そんな巻きクソみたいなのを台所に置きたくはないが、やれるんなら任せるぞ」
「うん、しばらくでいいから、すぐに磨いで見せるから」
ナイツの目を見ると、頼もしさ半分、このデスカルゴの殻を使ってみたいというのがもう半分という目をしていた。半分の頼もしさに欠けて、ちょっと笑いを引きつらせながら剣を渡す。
そうこうしている内に、またもやデビルベアが起き上がった。まるでダメージがない。
「サナばっかりに任せてらんねぇからな、俺にも参戦させやがれ!」
サナに肩を並べると、サナは一瞬目がクリっと愛らしい目になった。そこからまた武道家の目に戻ると、あの綺麗なファイティングポーズを決める。
「ユウって格闘もできたんだ」
「それはお前にだけは言われたくないよ。行くぞ!」
デビルベアとの、第二ラウンドが幕を開けた。
しかし、サナの変化が魔王の剣によるものだと言うためにそういう説明をモモはしてくれたのだと思っていたが、愚かさが露呈したとは、あんまり思えない。
これは愚かさというよりも、本性が露呈したというべきか。サナは結構な気配りさんだったので、よく鍋とか焼肉をするときは、食べ物をよそったりしてくれる立ち位置だった。俺はサナのそういう優しさが大好きではあるのだが、ふと思うことがあったのだ。
お前は、肉を食べないのかと。
『男の子なんだから、私の事なんて気にせずにもっといっぱい食べなって。ほらナイツも。私が食べるといつもお肉になっちゃうから困ってるのよ』
と、その時はとても女の子らしい返事をしてくれた。「じゃ遠慮なく~」とバクバクと躊躇いを微塵も感じさせずにメアリーは肉を食っていたが。……いや、メアリーとの対比によって自分をより女の子らしく見せようとしていただけか? だがそれを差し引いても、彼女はいつも人に気を遣っている部分があった気がする。
サナの話というだけで、人に気を遣う者はいくらでもいる。というか、人に本性を隠す人がいないわけがない。そうやって人は社会生活を営んでいるのだから。
だが、突然気遣いできる人が本性を出したら、どう思うだろう。
第三者から、どう思われるだろう。周囲の人は認知的不協和をおこし、彼、彼女はこのような人間だっただろうか? と疑念を抱くことだろう。
そしていづれ、変わったとか、あいつは表裏があるとか、そうやって敬遠され、腫れ物として扱われ。
愚か者だと、言われる。
「という説もあります。本性がむき出しになることで、当人が愚か者だと思われる。そして人間の営みを著しく妨害する。なのでそんな剣を操る魔王を、勇者に退治してもらおう、ということから、人間と魔族が対立しているとか」
「なるほどなぁ、確かに俺も勇者に任命された時に、そういうこと言われた時があったっけ。あんまり自覚ないんだけど」
だがこの剣を持ってきたのは結果オーライだったようだ。身体強化魔法限定だろうが、自身を強化することで、守られる存在ではなく、ちゃんとした戦える人員となったサナは、それどころかデビルベアを圧倒している。俺もこれに続いて、デビルベアを討伐してやろうじゃないか。
「よっしゃ、加勢するぜ!」
と、両手でがっしりと握り、魔王の剣を前に出す。だがその時、ふわりと嫌な香りがした。そういえば魔王の剣を取りに行こうとしてから、この変な香りが鼻をつんざくんだよな。その匂いが、剣を動かすことでより顕著になったので、もう少しよく剣を見る。
あれ。
「くっそさびてんじゃね!?」
なーんか禍々しい黒々としたオーラを纏っているなーとか思っていたが、纏っていたのはオーラじゃない、焦げだ。ミナの奴、ちゃんと手入れせずに使ってたな?
「まずいですね、デビルベアは私がお渡しした包丁の切れ味では、文字通り刃が立たない剛毛を生やしています。そのせいで、サナ様の覚醒した打撃攻撃も、剛毛がクッションのような役割となりあまり決定打とはなっていません。奴を倒すためには、その毛をも引き裂く切れ味が必要だというのに」
モモは地面に拳を叩きつけて悔しがる。だがそんなモモに「大丈夫だよ」と励ます声をかけた者がいた。ナイツだ。
「僕なら、その剣を復活させられるかもしれない。このデスカルゴの殻があれば」
「そうか、確か砥石としても使えるんだっけ? でも錆じゃなくて焦げだけど、やれるのか?」
「大丈夫だよ、この殻は台所では鉄板の焦げを擦って取る時にも使われるくらい汎用性が高いんだ」
「そんな巻きクソみたいなのを台所に置きたくはないが、やれるんなら任せるぞ」
「うん、しばらくでいいから、すぐに磨いで見せるから」
ナイツの目を見ると、頼もしさ半分、このデスカルゴの殻を使ってみたいというのがもう半分という目をしていた。半分の頼もしさに欠けて、ちょっと笑いを引きつらせながら剣を渡す。
そうこうしている内に、またもやデビルベアが起き上がった。まるでダメージがない。
「サナばっかりに任せてらんねぇからな、俺にも参戦させやがれ!」
サナに肩を並べると、サナは一瞬目がクリっと愛らしい目になった。そこからまた武道家の目に戻ると、あの綺麗なファイティングポーズを決める。
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「それはお前にだけは言われたくないよ。行くぞ!」
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