召喚されたのは、最強の俺でした。~魔王の代理となって世界を支配します~

こへへい

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<最終章:己が世界を支配せよ>

最強のストリーマー

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 中心ビルの周辺に辿り着いたのだが、ハングライダーの高さはまだまだビルの屋上に達することはできないため、周囲をぐるぐると回ってビル風の上昇気流を待っていた。屋上にはメアリーと囚われの魔王がいるはずなので、屋上に行くことは確定事項なのだが、中々その上昇気流がやってこない。

 どころか、メアリーは色とりどりのスパチャを集めに集め、最初に発射していた赤スパチャ砲とは比較にならないほどの大きな魔力の塊になっていた。しかもその魔力を加工し、中心ビルを囲うドーナツ状にした!

「それはヤバいだろ!」

「吹っ飛べ! 虹色ドーナツ!」

 そのドーナツが、中心ビルの屋上の高さから一気に地上に向かって落ちてきた! それを見て、しかし俺は笑い、中心ビルに背を向けた。

「おい何逃げてんだよ!」

「これでいいんだ! 大人しくしてろよ舌噛むぞ!」

 ユウに注意喚起をして、一気に中心ビルから距離を取る。そして、俺は波を待った。

 このハーモニーメドウは、大きな中心ビルを中心に、放射状になるようにビルが乱立している。そんな地形で、中心からドーナツが押し込まれたらどうなるだろうか?
 それは、風が放射状に流れるということだ。案の定背中から強風というビッグウェーブが発生する。その波をハングライダーの羽で受けると、その角度を一気に上に向けた。ハングライダーは高度を上げ、ハーモニーメドウのビルを眺望できるほどの高さにまで上がる。

「はぁ!? なんでそんなに上がんのよ!?」

「はっはっはー! これで屋上まで突っ切る!」

 再びハングライダーの先端を中心ビルに向ける。そしてやや斜め下の角度にして、中心ビル屋上へ向かう。しかしその工程の頃には更にスパチャを集めていたようで、中心ビルの周囲には色とりどりの魔力の玉が浮いていた。

「させないわ! これで落とすわよ! 皆力を貸して!」

 ビルに囲まれることで動きが制限されていた先ほどとは違い、ビルの高さよりも高くなった今ではそれらの魔力の玉は容易に避けることができた。時々ぶつかりそうになる奴はユウが勇者の剣で弾くことで対処する。

 そして、とうとう中心ビルの屋上に辿り着くことに成功した。ヘリコプターが余裕で降りることができるような広さで、壁1つない。そこにメアリーがポツンと突っ立っていた。なるほど、配信していた青黒い背景をも魔法による演出だったのか。だが、それよりも気になることがある。

「おい、魔王はどこにやったんだ? 確か屋上だったはずだが」

「ふふふ、それはバーチャル背景よ! アンタたちをここに誘い込むためにね!」

 メアリーはそう言うと、杖を天に向ける。そこから発せられた魔力はビルの屋上を覆い、バリバリと電気のような力が帯びるバリアが形成された。

「ち、ってなるとメアリーを倒すしかないのか……」

 ユウが親愛なる友達を手にかけることと、ヤバイ世界を救うこととの葛藤を覚えているところ恐縮だが、俺には作戦があった。

「いや、できる。俺に作戦がある」

「作戦? どんな?」

「ごにょごにゅ」

 殴られた。

「ばっかお前! させるわけねぇだろ!」

「だが今有効と思える方法はこれしかない! お前はあいつの注意を惹いてくれ!」

 メチャクチャ、先ほどの葛藤よりも苦しんでいる顔をしつつも、勇者の剣を構える。それを背に、メアリーに突っ込んだ。

「馬鹿ね、二人だけで正面から勝てると思ってんの? 私には今、10万人以上の同接視聴者がいるんだから!」

 スパチャはバリアを張っても尚、外から内には集まってくる。それがメアリーの周囲に纏わりつき、一部が俺やユウに発射される。

 魔王の剣で弾きつつ近づこうとするが、しかし一向に距離が縮まらない。ならばこれで動きを止められないか? 魔王の剣に力を込める。

「魔王の剣、ドレッドレッドソード! 醜き自分を晒し上げろ!」

 剣先からビームのように闇色の光が放たれる。それは簡単にメアリーに直撃し「ぐわぁぁぁーーー!」という悲鳴が響く。

 しかし。メアリーは一瞬うなだれたが、それでも膝をつくことはなかった。静かに笑いだす。

「舐めんじゃないわよ、自分の醜さなんて、自分が一番分かってんのよ! そんな自分を強くするために! 私は私を磨き上げてきたんだからーーー!!!」

 先ほど以上の魔力が解放され、虎の尾を踏んでしまった。そうだった、こいつは自分の力でトッププリーストッカーになったんだった。どれだけ再生回数が伸びなくても工夫を絶やさず、努力を惜しまない。それによって身に着けた地位は自信となり、己を強くする鎧となって、魔王の剣の力さえも退けた!

「くそ、敵になるとここまで厄介なのかよ!」

「今までの狼藉を、ここでやり返してしてやるわ!」

 杖が俺に向けられる。正面から魔力が放たれると思っていたのだが、それは的外れだった。気づけば背後にその魔力の玉が配置され、更に気づけば、周囲に魔力の玉が漂っていた。

「これを集約させれば、流石のアンタでもおしまいでしょ!」

 振り下ろされる杖、しかし俺は遠くを見て笑った。ったく、やるじゃねぇか。

 魔王の剣の力をフルに引き出して体の周りを防御する。その刹那。

 ユウが、メアリーに飛び込んでその唇を奪って見せた。
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