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父親はライオン?①

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〈レオナルド・ベスティー〉は、この国の王の血を引くものである。

現在の王の第五子として生まれた。

我が国〈ベスティニア〉の王族は獅子の血を引く獅子族の者が務めている。

〈ベスティニア〉は獣人族と人族が共存する国。




代々の〈ベスティニア〉の王族は、獅子族とあって多産であり、生まれる時は獅子の姿で生まれてくる。一歳の誕生日の時には、獣人の姿をとれるようになる。獣人の姿は、耳や尻尾、身体の大きさや容姿でどの種族であるか判断できる。

レオナルドも五人兄弟の末っ子。

上に兄二人と姉二人がいる。

上に兄二人がいて、王太子とそのスペアがいるからか、末っ子のレオナルドは、王族としての教育は受けたものの、ある程度の自由が許されてきた。

レオナルドは兄二人がとても優秀なので、自分に王位が回ってくることはないだろうと考えた。そして、早々に国を支える立場であろうと学園を卒業するタイミングで騎士団に身を置くことにした。

レオナルドは兄二人よりも身体つきが大きく、‘武’に優れていたということもある。

と、いうのは表向きな理由で、実は恋に狂っただけのダメ王子だった。もちろん家族にはそのこともバレている。




あれは王太子である兄の婚約者候補を見つける為の初めてのお茶会。

五歳から十二歳までの王族と公爵家の子息・子女が集まった。

〈ベスティニア〉は、ここ数百年平和であり、近隣諸国との関係も良好だ。

なので、自国内で縁を結ぼうという目的でお茶会が開かれた。まだまだ子供達の集まりなので、パーティーではなくお茶会という気軽な形で開かれたのだ。

そこでレオナルドは、ある令嬢に一目惚れした。

獅子族の者は、一途である。‘この人’と決めたら、他の誰かに目が向くことは絶対にない。

だから、獅子族であり、我が国の王族は代々一夫一妻制で築かれているのである。

お茶会である令嬢に一目惚れしたレオナルドは、そこからはその令嬢と結ばれる為だけに努力し続けた。

兄二人にも劣らない優秀な頭脳と、兄二人より優れた‘武’の力で、己の存在を示したのだった。



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