1 / 1
湘南の海のきらめき
しおりを挟む
さやは湘南で暮らす、夏はプロのサーファーとして、サーフィンのシーズンオフはカフェでウェイトレスの仕事をしている20代の女性だ。最近、同じプロのサーファーだった恋人が海の事故で他界し、さやは立ち直れないくらい落ち込んでいる。
「降ってきちゃったわ」
関東は六月に入り、梅雨入りした。海からの帰り、傘を忘れたさやはずぶぬれになりながら、ひとりで暮らすマンションへ向かった。
白いスニーカーも防水でないため、なかの靴下も濡れてしまった。
「新しいスニーカーでも買いに行こうかしら」
さやは都内にあるお気に入りのデパートに入っているスニーカー店に次の仕事の休みの日に行くことに決めた。
平日の昼間ということもあり、スニーカー売り場は閑散としていて、男性客が一人、女性の店員に接客されているだけだった。
「いらっしゃいませ。どうぞお好きなもの、試着なさってみてください」
さやは男性の店員に声をかけられた。
彼の姿を見た瞬間、さやはこの人、サーフィンしている人だわと直感した。
日に焼けた肌、細いけど筋肉質の身体、パーマをあてて後ろに流した髪。
さやは思わず言っていた。
「もしかして、サーフィンしてますか」
「わかりますか」
男性店員は白い歯を見せて、わらった。
「お客様もサーファーですか」
男性は確信のある聞き方でさやに言った。
「ええ。プロのサーファーなんです」
「すごいな。わたしは仕事の合間に、趣味で」
「そうですか」
二人は見つめあい、両方ともなぜかほほを赤らめた。
さやは元恋人の面影のある男性店員に一瞬で惹かれていた。
恋人のいない男性店員の誠司は素直にさやの魅力にとりつかれていた。
小麦色に焼けた肌、艶のある肌、愛くるしい瞳のさやを、なんてすてきな人なんだと思って見ていた。
「こちらのスニーカー、試着させていただこうかしら」
さやは防水の白いスニーカーを指さし、誠司に言った。
ふたりはそれから楽しい会話を続けながら、最後はお互いの連絡先を教えあった。
さやは元恋人、青のことを忘れてしまったわけでないのに、亡くなってすぐに誠司にひかれたことを我ながら不思議に思った。
代わりの人を求めているだけなのかもしれない。このぽっかりと空いた胸を埋めてくれる誰かを。
でも、誠司にまた会いたいと思う。それは真実の想いだ。
それからふたりは会って、食事をしたり、一緒にサーフィンをしたりする仲になった。
いくどか誠司と会っているうちに誠司に言われた。
「俺、イタリアに靴のデザインの勉強をしに行こうと思っているんだ。1年間は会えなくなるけど、だいじょうぶ?」
さやは愕然とした。愛する人とまた離れる運命なんて。
一年といえども、メンタルの弱っているさやにとって、とても長い月日のように感じる。
「少し考えさせて」
さやはこたえた。
さやは自分のマンションの部屋のなかで思った。
一年も待ち切れるかしら。最近、時のすぎるのが早く感じるから大丈夫かもしれない。
でも、誠司と一緒にイタリアへ行きたいくらい、今は好き。
さやは眠れない日々が続いた。
誠司がイタリアに旅立つ日までさやは誠司にこたえをしなかった。
誠司はこのままさやとはお別れなんだとあきらめていた。
誠司がイタリアに旅立つ日、さやは誠司を空港まで見送りに行くことにした。
誠司を空港で見た瞬間、もうだめだった。
誠司に抱きつき、さやは言った。
「一年間、あなたを待つわ。イタリアでがんばってきて」
それから一年間、さやはサーフィンに集中し、よい成績を残せた。
一年後、誠司は日本に帰ると、さやにプロポーズをした。
さやは喜んで受け入れ、ふたりはサーフィンがとりもった、仲のよい夫婦になった。
END
「降ってきちゃったわ」
関東は六月に入り、梅雨入りした。海からの帰り、傘を忘れたさやはずぶぬれになりながら、ひとりで暮らすマンションへ向かった。
白いスニーカーも防水でないため、なかの靴下も濡れてしまった。
「新しいスニーカーでも買いに行こうかしら」
さやは都内にあるお気に入りのデパートに入っているスニーカー店に次の仕事の休みの日に行くことに決めた。
平日の昼間ということもあり、スニーカー売り場は閑散としていて、男性客が一人、女性の店員に接客されているだけだった。
「いらっしゃいませ。どうぞお好きなもの、試着なさってみてください」
さやは男性の店員に声をかけられた。
彼の姿を見た瞬間、さやはこの人、サーフィンしている人だわと直感した。
日に焼けた肌、細いけど筋肉質の身体、パーマをあてて後ろに流した髪。
さやは思わず言っていた。
「もしかして、サーフィンしてますか」
「わかりますか」
男性店員は白い歯を見せて、わらった。
「お客様もサーファーですか」
男性は確信のある聞き方でさやに言った。
「ええ。プロのサーファーなんです」
「すごいな。わたしは仕事の合間に、趣味で」
「そうですか」
二人は見つめあい、両方ともなぜかほほを赤らめた。
さやは元恋人の面影のある男性店員に一瞬で惹かれていた。
恋人のいない男性店員の誠司は素直にさやの魅力にとりつかれていた。
小麦色に焼けた肌、艶のある肌、愛くるしい瞳のさやを、なんてすてきな人なんだと思って見ていた。
「こちらのスニーカー、試着させていただこうかしら」
さやは防水の白いスニーカーを指さし、誠司に言った。
ふたりはそれから楽しい会話を続けながら、最後はお互いの連絡先を教えあった。
さやは元恋人、青のことを忘れてしまったわけでないのに、亡くなってすぐに誠司にひかれたことを我ながら不思議に思った。
代わりの人を求めているだけなのかもしれない。このぽっかりと空いた胸を埋めてくれる誰かを。
でも、誠司にまた会いたいと思う。それは真実の想いだ。
それからふたりは会って、食事をしたり、一緒にサーフィンをしたりする仲になった。
いくどか誠司と会っているうちに誠司に言われた。
「俺、イタリアに靴のデザインの勉強をしに行こうと思っているんだ。1年間は会えなくなるけど、だいじょうぶ?」
さやは愕然とした。愛する人とまた離れる運命なんて。
一年といえども、メンタルの弱っているさやにとって、とても長い月日のように感じる。
「少し考えさせて」
さやはこたえた。
さやは自分のマンションの部屋のなかで思った。
一年も待ち切れるかしら。最近、時のすぎるのが早く感じるから大丈夫かもしれない。
でも、誠司と一緒にイタリアへ行きたいくらい、今は好き。
さやは眠れない日々が続いた。
誠司がイタリアに旅立つ日までさやは誠司にこたえをしなかった。
誠司はこのままさやとはお別れなんだとあきらめていた。
誠司がイタリアに旅立つ日、さやは誠司を空港まで見送りに行くことにした。
誠司を空港で見た瞬間、もうだめだった。
誠司に抱きつき、さやは言った。
「一年間、あなたを待つわ。イタリアでがんばってきて」
それから一年間、さやはサーフィンに集中し、よい成績を残せた。
一年後、誠司は日本に帰ると、さやにプロポーズをした。
さやは喜んで受け入れ、ふたりはサーフィンがとりもった、仲のよい夫婦になった。
END
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる