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第十七話 みんなでごはん
ここ一週間にいちゃんに甘えていなかった僕は、今までの分を補うようににいちゃんに甘えまくっていた。
にいちゃんも嫌がりもせず嬉々として僕を甘やかしてくれるので、僕たちは夜の公園でいつまでもイチャイチャと抱き合っていた。
だが、にいちゃんが突然何かを思い出したらしく、『あ……』とつぶやいた。
「やば……」
「?」
「幸せ過ぎて、美雨ちゃんのこと忘れてた……」
「!」
そ、そうだよ! 僕もすっかり忘れていた!
そう言えば牧田さんはどうなったんだろう?
さっき僕はハンバーグが完成したところで、キレて家を飛び出しちゃったのだ。
にいちゃんはすぐに僕のあとを追いかけたらしいから、多分牧田さんに対してなんのフォローもしていないだろう。
どうしよう……。牧田さん、怒って帰っちゃったかな? それともまだおうちで僕たちの帰りを待ってくれているのかな?
わー大変だ! イチャイチャしてる場合じゃなかった!
「にいちゃん! 急いで帰ろう!」
にいちゃんも慌ててうなずいたので、僕たちは走っておうちに戻ったのだった。
※※※※
おうちに戻ると、まだ牧田さんは帰っていなかった。申し訳ないことに、僕たちの帰りを待ってくれていたのだ。
「青田ー。心配したよぉー」
玄関で待っていた牧田さんが泣きそうな顔で抱き付いてきたので、僕は焦った。
「ご、ごめん! 牧田さん!」
僕の隣に立つにいちゃんも、申し訳なさそうに頭をかいた。
「ごめんね、美雨ちゃん。俺がりっくんを追いかける前に、帰っていいよって言っとけばよかったね」
「ううん。どうせ気になって帰れなかったと思うからいいの」
それから牧田さんは、大きな目で探るように僕の顔を覗き込んだ。
「それより青田、さっきなんでいきなりキレたの? 私なんか怒らせるようなことした?」
な、なんでって……。
にいちゃんを取られて牧田さんに嫉妬していたからです……なんて正直に言えるわけもなく、僕はまごまごしていた。
するとにいちゃんが僕の代わりにニコニコしながら答えた。
「りっくんね、俺を美雨ちゃんに取られたと思って嫉妬してキレたんだって」
「ちょっと、にいちゃん!?」
な、何を言うの!? 僕は大慌てでにいちゃんを睨んだ。だが、にいちゃんは嬉しくてたまらないといった表情で話を続ける。
「可愛いよねー!! 俺それ聞いたとき、キュンキュンしちゃった」
ギャーー!!
なんで正直に言っちゃうの!? 牧田さん絶対、『キモ……。高校生にもなってまだ兄離れ出来ないの……?』とか思ってるよ!!
僕は動揺してわたわたと取り乱した。
だが、予想に反して牧田さんは目をパチクリさせたあと、パァーッと表情が輝き出し『可愛いー!!』と叫んだ。
「え!?」
「青田可愛過ぎでしょ!! 礼にいのこと大好きじゃん!!」
にいちゃんも嬉しそうにうなずく。
「そうそう。りっくん俺のこと大好きなんだ」
「いいなー! いいなー! 私も青田みたいな可愛い弟欲しいー!」
「あはは。りっくんはあげないよ」
そんな会話をしながら二人は楽しそうに笑っている。
あれ? なんか予想していた展開と違うな。もっと嫌な空気になるかと思ったのに、軽いぞ!?
一人で動揺していたら、牧田さんがニコニコと僕の頭を撫でた。
「ごめんねー、青田。大好きな礼にい取られて嫌だったよね。私一人っ子だから、兄妹とかに憧れてたんだ。それでつい甘えちゃった」
「ぼ、僕の方こそごめんなさい。せっかくさっきまで楽しくやってたのに、台無しにしちゃって」
「ふふ。じゃあお互い謝ったから仲直りしようか」
「う、うん……」
そう言って牧田さんがらニコリと笑ったので、釣られるように僕も笑った。
すると、それを見ていたにいちゃんがパンパンと手を叩いた。
「よし。じゃあこれからみんなで美雨ちゃんが作ってくれたハンバーグを食べようか。なんやかんやあって夕飯の時間になっちゃったから、お腹空いてるだろう?」
にいちゃんの言葉を聞いて、僕のお腹はクゥーっと鳴った。
僕って単純だなぁ。さっきまで全然空腹を感じなかったのに、悩みごとが解決したら途端にお腹が空いてきちゃった。
それからハンバーグを温め直して、僕たちは和気あいあいと夕飯を食べ始めた。
前と同じように会話の主導権は牧田さんが握っていて僕はあまり発言できなかったけど、それでもとっても楽しかった。
夕飯が終わると牧田さんを駅まで送った。穏やかな雰囲気で牧田さんと別れて家に戻ってきたら、玄関でいきなりにいちゃんに抱き締められた。
「りっくん……」
「な、なに?」
なんだかいつもよりねっとりした声で名前を囁かれたような気がして、僕はドキドキした。
「久しぶりにしようよ……」
「!」
なにを? と聞くほどウブじゃない。
こ、これは……エッチのお誘いだ!
僕は久しぶりの大人な雰囲気に緊張して、ゴクンと唾を飲み込んだ。
「い、いいよ……」
僕もにいちゃんに触れたかったので考える間もなく即答した。上擦った声でつぶやくと、にいちゃんはクスリと笑い、僕の唇に口付けた。
「ん……」
舌で上顎を舐められて、足の力が抜ける。立っているのが辛くて、ギュッとにいちゃんに抱き付いた。
舌に舌を絡ませて夢中でキスをしていたら、にいちゃんの唇がゆっくりと離れていった。
にいちゃんは欲情したように息が荒い。
明日は休みだし、長い夜になりそうだな……。
そんなことを考えながら、僕はうっとりとにいちゃんの顔を見つめ続けたのだった。
にいちゃんも嫌がりもせず嬉々として僕を甘やかしてくれるので、僕たちは夜の公園でいつまでもイチャイチャと抱き合っていた。
だが、にいちゃんが突然何かを思い出したらしく、『あ……』とつぶやいた。
「やば……」
「?」
「幸せ過ぎて、美雨ちゃんのこと忘れてた……」
「!」
そ、そうだよ! 僕もすっかり忘れていた!
そう言えば牧田さんはどうなったんだろう?
さっき僕はハンバーグが完成したところで、キレて家を飛び出しちゃったのだ。
にいちゃんはすぐに僕のあとを追いかけたらしいから、多分牧田さんに対してなんのフォローもしていないだろう。
どうしよう……。牧田さん、怒って帰っちゃったかな? それともまだおうちで僕たちの帰りを待ってくれているのかな?
わー大変だ! イチャイチャしてる場合じゃなかった!
「にいちゃん! 急いで帰ろう!」
にいちゃんも慌ててうなずいたので、僕たちは走っておうちに戻ったのだった。
※※※※
おうちに戻ると、まだ牧田さんは帰っていなかった。申し訳ないことに、僕たちの帰りを待ってくれていたのだ。
「青田ー。心配したよぉー」
玄関で待っていた牧田さんが泣きそうな顔で抱き付いてきたので、僕は焦った。
「ご、ごめん! 牧田さん!」
僕の隣に立つにいちゃんも、申し訳なさそうに頭をかいた。
「ごめんね、美雨ちゃん。俺がりっくんを追いかける前に、帰っていいよって言っとけばよかったね」
「ううん。どうせ気になって帰れなかったと思うからいいの」
それから牧田さんは、大きな目で探るように僕の顔を覗き込んだ。
「それより青田、さっきなんでいきなりキレたの? 私なんか怒らせるようなことした?」
な、なんでって……。
にいちゃんを取られて牧田さんに嫉妬していたからです……なんて正直に言えるわけもなく、僕はまごまごしていた。
するとにいちゃんが僕の代わりにニコニコしながら答えた。
「りっくんね、俺を美雨ちゃんに取られたと思って嫉妬してキレたんだって」
「ちょっと、にいちゃん!?」
な、何を言うの!? 僕は大慌てでにいちゃんを睨んだ。だが、にいちゃんは嬉しくてたまらないといった表情で話を続ける。
「可愛いよねー!! 俺それ聞いたとき、キュンキュンしちゃった」
ギャーー!!
なんで正直に言っちゃうの!? 牧田さん絶対、『キモ……。高校生にもなってまだ兄離れ出来ないの……?』とか思ってるよ!!
僕は動揺してわたわたと取り乱した。
だが、予想に反して牧田さんは目をパチクリさせたあと、パァーッと表情が輝き出し『可愛いー!!』と叫んだ。
「え!?」
「青田可愛過ぎでしょ!! 礼にいのこと大好きじゃん!!」
にいちゃんも嬉しそうにうなずく。
「そうそう。りっくん俺のこと大好きなんだ」
「いいなー! いいなー! 私も青田みたいな可愛い弟欲しいー!」
「あはは。りっくんはあげないよ」
そんな会話をしながら二人は楽しそうに笑っている。
あれ? なんか予想していた展開と違うな。もっと嫌な空気になるかと思ったのに、軽いぞ!?
一人で動揺していたら、牧田さんがニコニコと僕の頭を撫でた。
「ごめんねー、青田。大好きな礼にい取られて嫌だったよね。私一人っ子だから、兄妹とかに憧れてたんだ。それでつい甘えちゃった」
「ぼ、僕の方こそごめんなさい。せっかくさっきまで楽しくやってたのに、台無しにしちゃって」
「ふふ。じゃあお互い謝ったから仲直りしようか」
「う、うん……」
そう言って牧田さんがらニコリと笑ったので、釣られるように僕も笑った。
すると、それを見ていたにいちゃんがパンパンと手を叩いた。
「よし。じゃあこれからみんなで美雨ちゃんが作ってくれたハンバーグを食べようか。なんやかんやあって夕飯の時間になっちゃったから、お腹空いてるだろう?」
にいちゃんの言葉を聞いて、僕のお腹はクゥーっと鳴った。
僕って単純だなぁ。さっきまで全然空腹を感じなかったのに、悩みごとが解決したら途端にお腹が空いてきちゃった。
それからハンバーグを温め直して、僕たちは和気あいあいと夕飯を食べ始めた。
前と同じように会話の主導権は牧田さんが握っていて僕はあまり発言できなかったけど、それでもとっても楽しかった。
夕飯が終わると牧田さんを駅まで送った。穏やかな雰囲気で牧田さんと別れて家に戻ってきたら、玄関でいきなりにいちゃんに抱き締められた。
「りっくん……」
「な、なに?」
なんだかいつもよりねっとりした声で名前を囁かれたような気がして、僕はドキドキした。
「久しぶりにしようよ……」
「!」
なにを? と聞くほどウブじゃない。
こ、これは……エッチのお誘いだ!
僕は久しぶりの大人な雰囲気に緊張して、ゴクンと唾を飲み込んだ。
「い、いいよ……」
僕もにいちゃんに触れたかったので考える間もなく即答した。上擦った声でつぶやくと、にいちゃんはクスリと笑い、僕の唇に口付けた。
「ん……」
舌で上顎を舐められて、足の力が抜ける。立っているのが辛くて、ギュッとにいちゃんに抱き付いた。
舌に舌を絡ませて夢中でキスをしていたら、にいちゃんの唇がゆっくりと離れていった。
にいちゃんは欲情したように息が荒い。
明日は休みだし、長い夜になりそうだな……。
そんなことを考えながら、僕はうっとりとにいちゃんの顔を見つめ続けたのだった。
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