【完結】みにくい魔王は恋をする〜パンツ一丁で召喚されたダメ男は、魔王の救世主だった〜

チョロケロ

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最終話 みにくい魔王はずっとずっと恋をする

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 私とレイナの結婚騒動から半年が経った。
 
 今日もユートは魔王城に来てくれる。
 私はウキウキしながら王座に座り、ユートの到着を待っていた。

 半年の間に変わったことがある。
 それは私とユートの逢瀬おうせの回数だ。今までは一週間に一度会うだけだったのだが、恋人同士になったのでもっと会いたいと私が駄々をこね、一週間に二度会うことになったのだ。
 それでも私はまだ足りない。どうせなら一日一回会いたいくらいだ。

 だが、ある都合からそれは叶わなかった。その都合とは、ユートの仕事の関係だ。なんと! ユートは働き始めたのだ! 勤務時間が週五日あるため、休みの日だけ会うことにしたというわけだ。
 
 それにしてもビックリだ! まさかあのギャンブル大好きのユートが真面目に働くとは!
 
 働くようになった理由が、また萌えるのだ。
 なんでも、少しでも私に相応しい男になりたいから、ギャンブルはやめて、真人間になれるよう頑張るんだって。
 なんだそれは。本当にユートは可愛い。可愛い可愛い可愛い! 私としては別にギャンブルなど続けてもいいと思うのだが、ユートがやめるとキッパリ言ってくれたので、その気持ちを尊重したい。

 というわけで、細かい変化はあったが、私とユートは前と変わらず、いやそれ以上に愛を深め合っているのだった。

※※※※

 ユートは約束の時間ぴったりにやって来た。
 だが、私は驚いて目を丸くしていた。
 なぜかというと、ユートの格好がいつもと違っていたからだ。
 いつものユートはTシャツにスラックスというラフな格好なのだが、今日はよそ行きの格好をしている。

「どうしたのだユート? 今日はなんだかおしゃれだな」
「うん。大事な日だからスーツを着てきたんだ」

 スーツ。この格好はスーツと言うのか!
 いつもの格好も良いが、スーツもカッコいい! ストイックな感じがして惚れ惚れしてしまう。
 私がポーッとユートに見惚れていたら、ユートが王座に向かって歩いてきた。なぜか緊張しているようでギクシャクしている。
 私の前で立ち止まると、膝を折り、まるで騎士が姫に忠誠を誓うようなポーズをした。

「アレルヤ。今日はアレルヤに話があってきました」
「なんだ? かしこまって」
「これを受け取ってください!」

 そう言ってユートはスラックスのポケットから小箱を取り出すと、パカリと蓋を開けて私に差し出した。
 中には小粒のダイヤがついた指輪が入っていた。

「おぉ。指輪か。ありがとう。だが、なぜいきなりプレゼントなどくれるのだ? 今日は私の誕生日ではないぞ?」

 ユートは困ったような表情をした。

「一応プロポーズなんだけど……」
「は!? プロポーズ!?」

 驚く私にユートが説明してくれた。
 なんでも人間界では、プロポーズをするときに相手にダイヤの指輪を贈るらしい。
 ダイヤの指輪には、永遠の愛と約束という意味があるそうだ。つまりユートは、永遠に私を愛すと約束してくれたのだ。

 私は感極まってブルブル身体を震わせたあと、大喜びで号泣した。

「う、嬉しいぞ! ユートが私にプロポーズしてくれた! こんなに嬉しいことはない! あまりにも嬉しいので、魔王特権で今日は祝日とする!」
「アレルヤ。魔王特権をそんなことに使っちゃダメだよ?」
「とにかく嬉しいのだー! ありがとう、ユート!」
「ありがとうということは、プロポーズを受けてくれるってこと?」
「もちろんだ! 結婚しよう、ユート!」

 ユートは私の返答にホッと胸を撫で下ろした。
 私は喜びで居ても立っても居られず、王座から立ち上がった。ユートに体当たりする勢いで飛び付き、ギュウギュウギュウ抱き締める。
 ユートもニコニコしながら抱き返してくれた。
 私たちは今、幸せの絶頂だった。
 だが、そんな私たちに水を差す者がいた。

――ミストだ。

 ミストはニコリとも笑わず、真剣な表情で口を開いた。

「ユート様。軽はずみな言動は控えてください。魔王様とあなたが、結婚などできるわけがないでしょう?」

 私は舌打ちした。ミストめ。余計なことを。

「お前が決めるな。私が結婚すると言ったのなら、結婚するのだ」
「魔王様は黙っていてください。今私は、ユート様と話をしているのです」

 ミストのあまりにも真剣な態度に、ユートはたじろいだようだ。ゴクリと唾を飲み込み、ユートも真剣な表情をした。

「俺、本気です。まだまだアレルヤに相応しい男にはなれてないけど、本気でアレルヤが好きなんです!」
「相応しいかどうかはこの際置いておきます。それよりも、あなたの覚悟について聞きたいのです」
「覚悟?」

 ミストはうなずいた。

「魔王様は魔界をべる尊きお方です。そんなお方と結婚するということは、心身ともに魔王様を支えるということです」
「分かってる」
「では、あなたは人間界を捨てられますか? 心身ともに支えるということは、魔王様のおそばにずっと寄り添い、いついかなるときでもお力になるという意味です。つまり、生涯を魔界で過ごさなければいけない。あなたにはそれが出来ますか?」
「……」

 ミストの奴……。本当に余計なことを……。
 私はユートと結婚したいが、そこまでは望んでいない。ユートは今まで通り人間界で暮らしてよい。家族や友人と離ればなれになったら、ユートが可哀想だ。
 それにユートは仕事も見つけた。家もある。パチンコだってたまにはやりたいだろう。
 私はユートが今まで築き上げてきたものを、捨てさせるつもりはない。
 このままでいいのだ。このままで。

 だが、ユートは予想外の言葉を口にした。

「出来るよ! そんなの当たり前じゃん! 俺、家族や友達には昨日のうちにお別れしてきた。『好きな人ができた。その人はずっと遠くに住んでいる。俺、その人と結婚したいからその人に着いていくことにした。今までありがとう』って言ったら、みんなビックリしてたけど、納得してくれた。母ちゃんは大泣きしてたけど、最後には納得してくれたんだ!」
「「!」」
「俺、人間界を捨てる覚悟でアレルヤにプロポーズしたんだ。魔界で一生暮らすのも覚悟のうちだ!」

 私とミストは驚き過ぎて声も出なかった。
 まさかユートがそこまで覚悟を決めてくれていたなんて……。
 私は喜びと申し訳なさでグスグスと鼻をすすった。
 ミストはと言うと、さっきとは打って変わって穏やかに微笑んでいる。

「まさかユート様にそこまでの覚悟があるとは……。正直、感服いたしました」
「じゃあ、アレルヤのこと……」
「はい。認めましょう。あなたは素晴らしい人間です。あなたを選んだ魔王様は流石としか言いようがない。ユート様、どうか魔王様をよろしくお願いいたします」

 そう言ってミストは、ユートに向かって深々と頭を下げた。

「ミストさん……。ありがとう……」

 ユートもミストに向かって頭を下げた。
 私は居ても立っても居られず、再びユートに飛び付いた。

「ユートー。ありがとう! ユートの決意、しっかり受け止めたからな!」

 ミストも苦笑した。

「先程は人間界を捨てろなどと脅しましたが、たまには帰っていいですよ。ご両親に顔を見せてあげてください」

 ユートの表情がぱあっと明るくなった。

「ありがとう、ミストさん! アレルヤ!」

 こうして私たちの結婚が決まった。
 ユートはこれから先、一生魔界で私と共に生きることを誓ってくれた。
 私は嬉しいが、ユートは大変だろう。
 なんせ魔界と人間界では文化が全く違うのだ。
 上手くやっていけるかどうか不安な私に、ユートは優しく笑いかけてくれた。

「大丈夫! 愛があればなんとかなるでしょ!」

 ユート……。君は本当にカッコいいな……。
 会うたびに君のことが好きになる。

 今までも、そしてこれからも、私はずっとずっと君に恋をしているだろう。

 愛しているよ、ユート。
 これから先も、ずっと一緒にいような。
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