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第五話 ディンセント
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あぁ、面白い。
最近の私は機嫌が良い。理由は自分でも分かっている。ノリアスと言う男のせいだ。
人間は愚かな生き物なので、『敵』を作らなければ生きてゆけない。『敵』がいればそれを倒そうと目標が出来る。『敵』がいればそれに侵略されない日々に感謝ができる。
くだらん。全くくだらんと思うが、それでお前らが幸福を感じるのならば一役買ってやろうと思い、私は自らを『魔王』と名乗っている。
人間の幸福のためにわざわざ『敵役』を買ってやる私は、本当に優しいなと自画自賛してしまう。
まぁ、今は人間のことはどうでも良い。
それよりもノリアスについて語ろうではないか。
ノリアスは典型的な『敵』がいなければ生きてゆけないタイプの人間だった。
最初に会ったとき、私の悪行がどうのこうの言っていたので間違いないだろう。
その時は正義気取りのバカがまた来たのかと薄ら笑いを浮かべたのだが、見た目が可愛かったので話をする気になった。
そう……アレは見た目も可愛いのだ。
クルクルした茶色い巻き毛。チビのくせに気の強そうな眉。それに、自分は正しいことをしていると信じて疑わないキラキラした瞳。あのような風貌に、私は弱いのだ。徹底的にいじめて泣かせたい気持ちと、よしよし。お前は凄いんだなぁと甘やかしたい気持ちが混同した。
どうしようか考えた挙句、結局私はいじめる方を選んだ。なぜならアレの泣き顔が可愛いかったからだ。
ポロリと涙をこぼすのではなく、本当に悔しそうにくしゃっと顔を歪めて泣くのだ。思わず、『良い大人がそんな子供みたいな泣き方をするな』と慰めたくなってしまうほどだ。可愛い。可愛過ぎる。もっと泣かせたい。
私の最近の目標は、アレを子供のようにワンワン泣かせることだ。鼻水を垂らしながら、真っ赤に顔を歪めて泣く姿は、きっとものすごく可愛いぞ? 想像しただけでニヤけてしまう。
そんなことを考えていたある日、アレはまた魔王城にやって来た。
さぁ、今日はどんないじめをしてやろうかと胸をワクワクさせていたのだが、アレが予想斜め下の行動を取ったので、私は困惑せずにいられなかったのだった。
※※※※
「メイリー。今、幸せ?」
いつも通り女を膝に乗せてニヤニヤしていたら、ノリアスがそんな言葉をつぶやいた。
女にはなるべく喋るなと言ってあるのだが、このときは我慢できなかったのか、ハッキリと言葉を口にした。
「えぇ。愛しい魔王様のおそばにいられてこれ以上ない幸福を感じているわ」
「……」
女の言葉を聞いて、ノリアスは諦めたように微笑んだ。
「そっかぁ……。そうだよな。好きな人のそばに居られることって、本当に幸せだよな」
なんだ? なにを納得している。そこは、『魔王なんかといることが幸福なわけないだろう!? 目を覚ませ!!』だろう?
困惑する私をよそに、ノリアスは話を続ける。
「メイリー……。俺、もう君を諦めようと思うんだ。本当は連れて帰りたいけど、そんなのは、俺のエゴだ。俺の気持ちなんてどうでも良くて、君の幸せを優先しようと思うんだ」
「は? バカ!! なぜそうなる!?」
ノリアスがあまりにもバカなことを言うため、思わず叫んでしまった。
バカ……! コイツは本当にバカだ……! 好きな女が悪い男に唆されているのだぞ!? そこは必死になって女の目を醒させてやるのが男だろう!?
「私からこの女を奪い返してみろ! それが、男ってもんだ! 男気を見せろ、ノリアス!!」
なぜ私がノリアスにエールを送らねばならんのだ?
だが……、今日のノリアスは本当に元気がない。
しまった……いじめ過ぎたのだろうか? このままでは本当に女を諦めて立ち去ってしまう! 立ち去ったら、もう二度とここには来ない気がする。
諦めるな! 負けるなノリアス!!
そんな思いを込めてノリアスを見つめていたら、ノリアスの顔がくしゃっと歪んだ。
「だってよぉ……もう辛いよぉ……。メイリーのことだいずきだから、ぼがのおどごに抱かれるどご、もうぞうぞうしだくないんらもん……」
そう言ってグスグスと泣き始めた。
「お、お前……」
可愛過ぎるだろ、バカ!!!
あぁ、ダメだ。いじめたい気持ちより可愛がりたい気持ちが上回ってきた。
今すぐ謝って慰めたい。
よしよしと頭を撫でながら、『大丈夫だぞ。私とこの女には肉体関係などないからな』とフォローしたい!
ノリアスの元に今すぐ駆け寄りたくてウズウズしていたら、今まで黙っていた女がイライラした口調で話し始めた。
「ノリアス。なんですぐ泣くの? そう言うところ、本当鬱陶しいわ。諦めたんならさっさと帰りなさいよ。なぜいちいち諦めたことを報告するの? 私に諦めないでと言って欲しいの? 貴方、かまってちゃんなの? 気持ち悪いし、本当にイライラするわ」
こ、この女……!!!
血も涙もないな!! そんなことを言ってやるな!! 可哀想だろうが!!
あぁ……、ノリアスがまた泣き出してしまった。
私は女に激しい怒りを感じて、ギロリと睨んだ。
「お前……何様だ。勝手に喋るな。ノリアスをいじめて良いのは私だけなのだ。調子に乗るんじゃない」
女はハッとした表情をしたあと、私に向かって頭を下げた。
「も、申し訳ございません! ですが、ノリアスが気持ち悪くてたまらないのです!」
「薄情な女だな。このバカはお前のためにここにいるのだぞ!? 私にいじめられても諦めずに必死にお前を説得しようとしているのだ。それを気持ち悪いなどと称すとは、お前は鬼か!?」
「ですが……! ですが……!」
私たちの言い合いをポカーンとした表情でノリアスが見ている。私は苛立ちがおさまらず、ノリアスに向かって叫んだ。
「ノリアス! こんな女はやめておけ! ただの性悪だ! 私の方がよっぽどマシだ!」
ノリアスは困惑しながらポツリとつぶやいた。
「なんなの? お前……」
最近の私は機嫌が良い。理由は自分でも分かっている。ノリアスと言う男のせいだ。
人間は愚かな生き物なので、『敵』を作らなければ生きてゆけない。『敵』がいればそれを倒そうと目標が出来る。『敵』がいればそれに侵略されない日々に感謝ができる。
くだらん。全くくだらんと思うが、それでお前らが幸福を感じるのならば一役買ってやろうと思い、私は自らを『魔王』と名乗っている。
人間の幸福のためにわざわざ『敵役』を買ってやる私は、本当に優しいなと自画自賛してしまう。
まぁ、今は人間のことはどうでも良い。
それよりもノリアスについて語ろうではないか。
ノリアスは典型的な『敵』がいなければ生きてゆけないタイプの人間だった。
最初に会ったとき、私の悪行がどうのこうの言っていたので間違いないだろう。
その時は正義気取りのバカがまた来たのかと薄ら笑いを浮かべたのだが、見た目が可愛かったので話をする気になった。
そう……アレは見た目も可愛いのだ。
クルクルした茶色い巻き毛。チビのくせに気の強そうな眉。それに、自分は正しいことをしていると信じて疑わないキラキラした瞳。あのような風貌に、私は弱いのだ。徹底的にいじめて泣かせたい気持ちと、よしよし。お前は凄いんだなぁと甘やかしたい気持ちが混同した。
どうしようか考えた挙句、結局私はいじめる方を選んだ。なぜならアレの泣き顔が可愛いかったからだ。
ポロリと涙をこぼすのではなく、本当に悔しそうにくしゃっと顔を歪めて泣くのだ。思わず、『良い大人がそんな子供みたいな泣き方をするな』と慰めたくなってしまうほどだ。可愛い。可愛過ぎる。もっと泣かせたい。
私の最近の目標は、アレを子供のようにワンワン泣かせることだ。鼻水を垂らしながら、真っ赤に顔を歪めて泣く姿は、きっとものすごく可愛いぞ? 想像しただけでニヤけてしまう。
そんなことを考えていたある日、アレはまた魔王城にやって来た。
さぁ、今日はどんないじめをしてやろうかと胸をワクワクさせていたのだが、アレが予想斜め下の行動を取ったので、私は困惑せずにいられなかったのだった。
※※※※
「メイリー。今、幸せ?」
いつも通り女を膝に乗せてニヤニヤしていたら、ノリアスがそんな言葉をつぶやいた。
女にはなるべく喋るなと言ってあるのだが、このときは我慢できなかったのか、ハッキリと言葉を口にした。
「えぇ。愛しい魔王様のおそばにいられてこれ以上ない幸福を感じているわ」
「……」
女の言葉を聞いて、ノリアスは諦めたように微笑んだ。
「そっかぁ……。そうだよな。好きな人のそばに居られることって、本当に幸せだよな」
なんだ? なにを納得している。そこは、『魔王なんかといることが幸福なわけないだろう!? 目を覚ませ!!』だろう?
困惑する私をよそに、ノリアスは話を続ける。
「メイリー……。俺、もう君を諦めようと思うんだ。本当は連れて帰りたいけど、そんなのは、俺のエゴだ。俺の気持ちなんてどうでも良くて、君の幸せを優先しようと思うんだ」
「は? バカ!! なぜそうなる!?」
ノリアスがあまりにもバカなことを言うため、思わず叫んでしまった。
バカ……! コイツは本当にバカだ……! 好きな女が悪い男に唆されているのだぞ!? そこは必死になって女の目を醒させてやるのが男だろう!?
「私からこの女を奪い返してみろ! それが、男ってもんだ! 男気を見せろ、ノリアス!!」
なぜ私がノリアスにエールを送らねばならんのだ?
だが……、今日のノリアスは本当に元気がない。
しまった……いじめ過ぎたのだろうか? このままでは本当に女を諦めて立ち去ってしまう! 立ち去ったら、もう二度とここには来ない気がする。
諦めるな! 負けるなノリアス!!
そんな思いを込めてノリアスを見つめていたら、ノリアスの顔がくしゃっと歪んだ。
「だってよぉ……もう辛いよぉ……。メイリーのことだいずきだから、ぼがのおどごに抱かれるどご、もうぞうぞうしだくないんらもん……」
そう言ってグスグスと泣き始めた。
「お、お前……」
可愛過ぎるだろ、バカ!!!
あぁ、ダメだ。いじめたい気持ちより可愛がりたい気持ちが上回ってきた。
今すぐ謝って慰めたい。
よしよしと頭を撫でながら、『大丈夫だぞ。私とこの女には肉体関係などないからな』とフォローしたい!
ノリアスの元に今すぐ駆け寄りたくてウズウズしていたら、今まで黙っていた女がイライラした口調で話し始めた。
「ノリアス。なんですぐ泣くの? そう言うところ、本当鬱陶しいわ。諦めたんならさっさと帰りなさいよ。なぜいちいち諦めたことを報告するの? 私に諦めないでと言って欲しいの? 貴方、かまってちゃんなの? 気持ち悪いし、本当にイライラするわ」
こ、この女……!!!
血も涙もないな!! そんなことを言ってやるな!! 可哀想だろうが!!
あぁ……、ノリアスがまた泣き出してしまった。
私は女に激しい怒りを感じて、ギロリと睨んだ。
「お前……何様だ。勝手に喋るな。ノリアスをいじめて良いのは私だけなのだ。調子に乗るんじゃない」
女はハッとした表情をしたあと、私に向かって頭を下げた。
「も、申し訳ございません! ですが、ノリアスが気持ち悪くてたまらないのです!」
「薄情な女だな。このバカはお前のためにここにいるのだぞ!? 私にいじめられても諦めずに必死にお前を説得しようとしているのだ。それを気持ち悪いなどと称すとは、お前は鬼か!?」
「ですが……! ですが……!」
私たちの言い合いをポカーンとした表情でノリアスが見ている。私は苛立ちがおさまらず、ノリアスに向かって叫んだ。
「ノリアス! こんな女はやめておけ! ただの性悪だ! 私の方がよっぽどマシだ!」
ノリアスは困惑しながらポツリとつぶやいた。
「なんなの? お前……」
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