転生魔王

黒猫

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第1話 プロローグ

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「カ、ハッ…」
飛び散る鮮血。乱れた呼吸。
「終わりだ」
無情にも下される死刑宣告。

目の前に立ち、剣を振り上げるのは人間の勇者。魔王は振り下ろされる剣を見ながら考える。

何を間違ったのだろう、と。

そもそもの始まりは人が、魔族は邪神が生み出した大罪人であり魔物よりも危険な害悪であると言い出したことにある。

人々は口々に魔族排斥を訴え、教会は神託が下ったと声高に語った。
神の威光を味方につけた彼等は魔族排斥の名の下、魔族に虐殺と略奪の限りをつくした。

魔族は憤り、恨みを晴らさんと立ち上がった。
憎しみが憎しみを呼ぶ戦争が始まり、それは長きに渡って続いた。

頭では分かっていた。戦争はなにももたらさないと。早く憎しみを断ち、人と和解すよう働きかけるべきであったのだと。
しかし、心はそうもいかなかった。同胞達を殺された憎しみはそう簡単に割り切れるものではなく、結局ここまで戦うことを止められなかった。

今、勇者の剣が己の首をとばそうとしていても戦い続けたことを悔やんだりはできなかった。ただ漠然と己は間違ったのだと、いつの時代もどんな物語も"悪"は"正義"に滅ぼされるのだということを理解した。

ただ後悔があったとするならば、明日に控えていた自分の誕生日パーティに出席できないことだろうか。

戦争中になにを、と思ったがいい気晴らしになるし何より皆が祝いたいと企画してくれたそれをとても楽しみにしていたのだ。

自惚れかもしれないが、自分は皆から愛されていたと思う。し、自分も皆を愛していた。

そう思うとあとに残すことになる他の魔族達に申し訳なく、その過酷な未来を思うと涙がこぼれた。

◆❖◇◇❖◆

勇者は剣を振り下ろす。魔王の首は涙に濡れ、その手には魔王とその臣下達の写真が握られていた。

そうして魔王は勇者に倒され、戦争は幕を閉じたのだった。
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