21 / 38
シグマス編 ~出会い~
別れ
しおりを挟む
屋敷を出てから、一時間ほど…。
それほど時間はかからず、国交連合軍の建物が見えてきて、カイトは魔動車を地下の駐車場に向かわせた。
入り口で防犯ゲートを通過したから、すぐにでもイサを迎えに来るだろう。
地下駐車場から建物に入る入り口前まで来ると、カイトは魔動車を停めた。
目的地に着いたが、イサが降りる様子もない…。
魔動車を停めたまま、車内に沈黙が続く…。
任務に行くと言っていたから、帰って来たら、テーマパークにでも連れていってやろう…。
子供の時に、だいたい遊びに出かけるテーマパークに、まさか行ったことが無いとは思わなかった。
だったら、他の場所も…。
カイトがそんなことを思っていると、イサが声をかけてきた。
「…あっあの…」
イサの真剣な眼差しと目が合って、離せない…。
「…あっ…」
イサが何か言いかけた時、魔動車の外から扉を叩く音がして、イサは口を閉ざした。
振り向けば、そこにはサクラと知らない女が心配そうな顔をして、イサを見ていた。
「「イサ!!」」
イサは苦笑いして直ぐに魔動車から降りた。
カイトは魔動車の扉を開け、イサに話しかけようとしたが、振り返らず、女と一緒に建物の中へと入っていってしまった。
声をかけることも出来なく、なんか物足りなさを感じ、見えなくなるイサの背中を視線で追った。
どうしたんだ…?
俺は…?
そんな物思いにふけっていると、サクラが魔動車を覗き込んで声をかけてきた。
「…あの子、貴方に何を言いに言ったの?」
気になるよな…。
わざわざ屋敷まで俺を追いかけて来たのだから…。
「次の仕事、一緒に飛行船に乗って欲しいと…」
「それで?」
サクラは怪訝そうに俺を見る。
「断ったけどな…」
カイトは苦笑いする。
ダルタルに行くつもりりは無い。
だが、遊びに連れてってやりたいと思うくらい、イサへの印象は好意的だ。
「…で、何故、用件を断って、直ぐに送り届けなかったの!」
サクラが何故か憤慨している。
「…美味しく頂きました」
カイトは素直に答えた。
何も知らないイサの身体を開花させていくのは楽しかった。
思い出して笑みがうかぶと、サクラの鉄拳がカイトの頭に飛ぶ。
「痛って…」
カイトは頭をさする。
まあ、イサの保護者だからな…。
そんなことは聞きたくなかっただろうが、聞いたのはサクラだからな…。
「あの子はね!」
サクラが何か言いかけて口を閉ざし、大きなタメ息を付いた。
「…はぁ…まあ、良いわ…。ダルタルに向かえば当分会えないだろうし…」
「そう言えば、『次の仕事の飛行船に乗ったら会えなくなるから寂しい』って言ってたな…。しばらく帰れないんだろ?」
任務に向かえば一月くらい、帰れない時もある。
下手をすれば、半年とか…。
今のダルタルの状況からすると、長引きそうな気がして、カイトは苦笑いした。
しばらく会えない…か…。
ソレまでに、連れて行けそうな所を選んでおくか…。
「…そうね」
サクラが複雑そうな顔をする。
何かソレだけではないような気がしたが、俺は休暇中だ。
「…イサを連れてきてくれて、ありがとう」
「まあ、特役だったからな」
カイトはそう言って魔動車を発進させる。
その後ろでサクラが何か言っていたが、聞こえないふりをした。
しばらく魔動車を走らせ、連合軍の建物が見える海岸沿いに魔動車を停めた。
この辺りは岩場ばかりで人気はない。
波の音と岩に当たった飛沫が撒き散らされる音だけ…。
ぼんやりとそれを眺めながらふと思い出す。
後部座席に置かれたままのカバン。
アヤトがお昼のお弁当にと準備してくれたもの…。
「…。」
カイトはカバンを引き寄せると、中から唐揚げのサンドイッチを取り出して一口かじる。
…別に、直ぐに送って行かなくても良かったよな…。
せっかくアヤトが、昼ご飯を準備してくれたんだから、昼食を食べてからでも良かったよな…。
カイトはサンドイッチを齧りなから海を眺め、ぼんやりと後悔していた。
それほど時間はかからず、国交連合軍の建物が見えてきて、カイトは魔動車を地下の駐車場に向かわせた。
入り口で防犯ゲートを通過したから、すぐにでもイサを迎えに来るだろう。
地下駐車場から建物に入る入り口前まで来ると、カイトは魔動車を停めた。
目的地に着いたが、イサが降りる様子もない…。
魔動車を停めたまま、車内に沈黙が続く…。
任務に行くと言っていたから、帰って来たら、テーマパークにでも連れていってやろう…。
子供の時に、だいたい遊びに出かけるテーマパークに、まさか行ったことが無いとは思わなかった。
だったら、他の場所も…。
カイトがそんなことを思っていると、イサが声をかけてきた。
「…あっあの…」
イサの真剣な眼差しと目が合って、離せない…。
「…あっ…」
イサが何か言いかけた時、魔動車の外から扉を叩く音がして、イサは口を閉ざした。
振り向けば、そこにはサクラと知らない女が心配そうな顔をして、イサを見ていた。
「「イサ!!」」
イサは苦笑いして直ぐに魔動車から降りた。
カイトは魔動車の扉を開け、イサに話しかけようとしたが、振り返らず、女と一緒に建物の中へと入っていってしまった。
声をかけることも出来なく、なんか物足りなさを感じ、見えなくなるイサの背中を視線で追った。
どうしたんだ…?
俺は…?
そんな物思いにふけっていると、サクラが魔動車を覗き込んで声をかけてきた。
「…あの子、貴方に何を言いに言ったの?」
気になるよな…。
わざわざ屋敷まで俺を追いかけて来たのだから…。
「次の仕事、一緒に飛行船に乗って欲しいと…」
「それで?」
サクラは怪訝そうに俺を見る。
「断ったけどな…」
カイトは苦笑いする。
ダルタルに行くつもりりは無い。
だが、遊びに連れてってやりたいと思うくらい、イサへの印象は好意的だ。
「…で、何故、用件を断って、直ぐに送り届けなかったの!」
サクラが何故か憤慨している。
「…美味しく頂きました」
カイトは素直に答えた。
何も知らないイサの身体を開花させていくのは楽しかった。
思い出して笑みがうかぶと、サクラの鉄拳がカイトの頭に飛ぶ。
「痛って…」
カイトは頭をさする。
まあ、イサの保護者だからな…。
そんなことは聞きたくなかっただろうが、聞いたのはサクラだからな…。
「あの子はね!」
サクラが何か言いかけて口を閉ざし、大きなタメ息を付いた。
「…はぁ…まあ、良いわ…。ダルタルに向かえば当分会えないだろうし…」
「そう言えば、『次の仕事の飛行船に乗ったら会えなくなるから寂しい』って言ってたな…。しばらく帰れないんだろ?」
任務に向かえば一月くらい、帰れない時もある。
下手をすれば、半年とか…。
今のダルタルの状況からすると、長引きそうな気がして、カイトは苦笑いした。
しばらく会えない…か…。
ソレまでに、連れて行けそうな所を選んでおくか…。
「…そうね」
サクラが複雑そうな顔をする。
何かソレだけではないような気がしたが、俺は休暇中だ。
「…イサを連れてきてくれて、ありがとう」
「まあ、特役だったからな」
カイトはそう言って魔動車を発進させる。
その後ろでサクラが何か言っていたが、聞こえないふりをした。
しばらく魔動車を走らせ、連合軍の建物が見える海岸沿いに魔動車を停めた。
この辺りは岩場ばかりで人気はない。
波の音と岩に当たった飛沫が撒き散らされる音だけ…。
ぼんやりとそれを眺めながらふと思い出す。
後部座席に置かれたままのカバン。
アヤトがお昼のお弁当にと準備してくれたもの…。
「…。」
カイトはカバンを引き寄せると、中から唐揚げのサンドイッチを取り出して一口かじる。
…別に、直ぐに送って行かなくても良かったよな…。
せっかくアヤトが、昼ご飯を準備してくれたんだから、昼食を食べてからでも良かったよな…。
カイトはサンドイッチを齧りなから海を眺め、ぼんやりと後悔していた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる