ゆうみお

あまみや。旧

文字の大きさ
上 下
57 / 260
1章 一学期。

53.考えてること

しおりを挟む

「はー、疲れた~」
「優馬何もしてないじゃん……」
「………」


体育が終わってきがえている間も、澪は何か考えているようにぼーっとしていた。


「……澪?」
「…何?」


いつも通りに見えるけど………


(何だろ、違和感……)



「………」
「澪、ボタンかけちがえてるよ?」
「えっ、あ…うん、ありがと……」


……様子、おかしいよな………



「………あれ…、あれ……」
「な、何やってるの……、」


何度やってもボタンがかけちがえてるから、郁人が直してあげると、

「………あ…ありがと………」


やっぱり、少し………




ーーー



「様子が、おかしい?」
「うん……」


澪にトイレに行くと言って郁人と抜けてきた。


「なんかぼーっとしてるっていうか………」
「ああ、確かに………いつもぼーっとしてるけど、今日のは筋金入りでぼーっとしてたね。」


………



「……聞いてみた方いいんじゃないっ?」


……!



後ろから、久々に聞くような声がした。



振り向くと……そこにいたのは、





「……あっ、莉音だ」



桃髪の……男。




「………えっ」




この前の女装男子……その面影はあるけど、髪は短いし、赤いフレームの眼鏡をかけている。


「り…莉音……?!」
「……え、」



莉音は初めは俺に気付いていなかったのか、俺と目が合って……


「っ…!ゆゆゆ優馬……さん…!!?」



かなり動揺していた。



「い……いると思わなかった……えと、その………」

郁人の後ろに隠れて、小さな声で話し始める。
………人見知り、なのかな。



「優馬、莉音は学校では普通に男子の格好してるから。それに少し人見知りにもなるけど……そこ理解しててくれると嬉しいかな。」
「そ、そっか、分かった。」


てか……



(うちの学校って人見知り多いなーー)


未来斗の後輩の真冬さんとか、あと澪も少し人見知りだし……、



「人見知り率高いな、ここ」
「そう、だね……?」



作者の趣味っ(・ω<)




ーーー



「えっと……、その、」
「てか、でここにいたとしたらなんか面白そうだな!」


女装してる時。


そう言うと……莉音は少しだけぱぁ、と明るくなった。



「………ふ、普段の格好が……女の子の格好してる時の方……そっか、…ふふ、そっかぁ………」


……?
まあ、幸せならいいか。





………………さて、




ーーー


『莉音に貸したもの返してもらいに行ってくるから、先行ってて。』


ってわけで郁人と莉音と別れて、教室に戻った。

「……おかえり」
「ただいま、澪。」


まだ少しぼーっとしてるけど………



「……熱でもある?」
「えっ?……な、ないと思う……けど」


じゃあ、どうしたんだろ………

(心配だな……)



…………澪は、じっとこちらを見つめていた。


「……?」


顔になにかついてるかな。
あ、俺がかっこいいから見とれてる……?



「……あ、あの、ゆう…「ただいまーっ、何話してるのー?」あ……」

郁人がもどってきた。


「澪は天使だって話。」
「そ、そんなこと話してないし………自分で自分の話なんてしないよ」


…………




(…………なんだろ、もやもやする)





澪は………何を考えてるんだろ。




しおりを挟む

処理中です...