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3章 二学期(1)。
124.ある昼休み
しおりを挟む次の日の昼休み。
(優馬side)
「俺ちょっと飲み物買ってくる。誰か一緒に行く?」
「「「「行かない」」」」
………というわけで俺一人で来た。
「ちぇー、なんだよ………俺いつからこんないじられキャラみたいな枠にいれられたんだ……?はぁ……………」
1人でぶつぶつ言いながら外の自販機でコーヒーを買った後。
すぐに戻ろうと振り返って………誰かにぶつかった。
「うわっ!!……っと…、」
咄嗟に体制を整えて相手の腰に手を回して、転ばないように助けてあげる。
よく見れば……それは、
「あ………真冬さんだ」
最近よく見る奴だった。
ーーー
「……」
真冬は俺と目が合って、5秒のフリーズのすえ、素早く方向転換して走り出した。
………けど、
「はい追いついたーー!もうにげられないですよぉぉぉぉ?????」
手首を掴んで、がっしり拘束した。
「っ……」
「お兄さんと楽しいことしよっかー、大丈夫怖くないからー」
拉致。
ーーー
とりあえず、自販機のすぐそばにある部室棟のちょっと高くなっている道に座らせた。
「今日李世さんいないんだねー、1人でここまで来れるんだ!何買うつもりだったのー?」
一方的にぺらぺら喋って、真冬はずっと下を見て、たまに頷くくらいだった。
(先輩の話もまともに聞かないなんて………このクソガキ)
眉をさげて、少しだけ困っているような顔をしている。
………そこでふと、目に入ったのは、
「……ねえ、ほっぺたつねっていい?」
「……は?」
すごく柔らかそう。
(俺……変態とかじゃないのに、何だろ、触りたくて仕方ない………)
ほっぺた触りたいなんて変態みたいだけど………
海斗「くしゅんっ」
了承を得る前に、勢いよく頬をつねって伸ばした。
「っ~~……!!」
「うわ何だこれめっちゃ伸びる!!!」
人間とは思えない伸び方で、
「餅みてー……!!」
「~~っ、ーー……!!」
餅だ……!!
ーーー
夢中になってしばらくつねっているうちに、
「……ッ!」かぷ
「っあ"…!!」
手の甲を……噛まれた。
「……!!何すんだこのガキ!!!」
明らかに悪いのは自分だけど、まあ大概俺もクズだから。
全力で悪人を演じますッ
「……、…!」
「やんのかゴルァァァ」
何故か取っ組み合いになった。
「……あ、ちょ髪はやめて髪は痛い!!」
髪を中心に狙ってくる真冬。
だから俺は体を狙った((
「っ……!!」ビク
「作品のR指定上ここまでしか出来なくて良かったなァ!!?」
ネクタイが下にだるんとほどけて、白のカーディガンが肩下に落ちている。
ボタンもひとつ外れて、つねられて赤くなった頬………
対して髪の毛が爆発しただけの俺。
「………ごめん、やりすぎた」
すぐに我に返った。
ーーー
とりあえず土下座してジュースを奢ってあげて、別れた。
「あ、優馬遅かったじゃん。もう昼休み終わるよ?」
「ちょっとタイマンしてきた」
「は?」
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