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第2章 親友って。

第4話 【奈緒】くらすめいと

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??「おはよう。」
??「ああ、おはよー!秀我!」
??「よ、昨日のイテQみた?」
??「見てないや、ごめん。」
??「おう、大丈夫ー!」


来た、あいつが……
森 秀我(もり しゅうが)、僕のクラスメイト。
クラスの皆から人気がある、爽やかイケメンだ。
でも、僕は彼が嫌い……
だって……
秀我「奈緒。」
奈緒「!」
秀我「おはよう。」
奈緒「う、ぅん……」
嫌いというか、怖い……




だって昔、僕はこの人に強姦……されたから。
しかも今日は、その時の夢を見てしまった。
学校なんて来たくなかったけど、兄さんに心配かけたくないし……
秀我「奈緒、その怪我どうしたの?」
秀我は僕の頬の湿布を見て聞いた。
これは、昨日お兄ちゃんに殴られて……


なんて、言えるわけないか。
奈緒「関係、ない……」
俯いて、ぼそぼそと答える。
彼と目を合わせるのが、嫌だった。

秀我「……冷たいんだな、奈緒は。」
秀我はしゃがみこんで、僕の耳元で冷たい声で囁いた。
突然の事でゾッとした。
奈緒「ひっ……」
秀我「あはは!じゃっ。」
そう言って秀我は仲間の元へ行ってしまった。
怖い、もう嫌だ……!
??「奈緒、何固まってんの?」
奈緒「あ、澪……」
澪「あ、まってその体勢めっちゃBLっぽい……まって、目に焼き付けさせて。」
奈緒「え、やだよ!」
澪「あはは、冗談。」
と、無気力そうに感情のこもらない喋り方をするのは、吉田 澪(よしだ みお)、数少ない僕の友達。
澪「アイス食べる?間接キ……」
奈緒「気持ち悪いな!!」
澪「冗談なのに……てかアイス買ってないし。冬だよ?」
奈緒「はあ……」
ちなみに、澪は“腐男子”というものらしい。
澪「奈緒、これ見る?『お兄ちゃんのいう○おり』っていうやつなんだけど、めっちゃ最高……10回読み返した……」
奈緒「いらないってば。変なの読ませないで!」
澪「oh......これ買うの大変だったんだけどな……どこにも売ってないからネットで買った。」
澪「聞いてないよ、HR始まるからしまいなよ。」
澪「……わかった。」
澪は渋々と鞄に本を入れ、鞄をロッカーへと入れる。
そして席に座ると、隣の僕にまた話しかけてきた。
澪「奈緒……卓球部に入らないか?」
奈緒「……また勧誘?」
澪が目を輝かせて言った。
澪「部員が少ないんだ!澪って部活入ってないだろ?いいじゃん……」
奈緒「それは、お兄ちゃんがはいるなって言ってるからで……」
澪「なんで?」
奈緒「怪我させたくないんだって。」
澪「…………いや、頬怪我してるじゃん。」
と言って澪は頬を指さした。
奈緒「!これは……別に………」
慌てて頬の湿布を隠す。
澪「……殴られた、とか?」
奈緒「……!!」
澪はするどい、普段は無関心無気力なのに……
澪「……なんちゃって。」
口を三角にして、普段のジト目よりのタレ目にも戻った。
奈緒「………変なこと言わないでよ……」
少しだけ、恐怖を感じた。
澪「奈緒んちの次男、少し怖いし……見るからに攻めだし、奈緒が心配……」
奈緒「………うん……」



秀我「…………」
僕達の会話を、秀我はひとつも聞き逃すことなく聞いていた。
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