遺志を受け継ぐ者

みつさん

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第一章 平安時代

2決意

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 太陽の光が差し、草木が目覚め春の朝のひんやりとした風が辺りを優しく包んだ。少し肌寒い朝であった。
 彦左衛門は、両手をうえに伸ばして、大きな口を開け美味しい空気を沢山吸い込んだ。
「気持ちのいい朝だ」
 思わず声が出た。蓑とむしろをきれいにたたみ、馬の背中の箱にしまう。
「今日も頼むぞ」
 馬の鬣を撫でながら今度は朝飯の麦と小さな鍋と火口箱を取り出した。それから、昨夜の焚き火の跡に小枝を並べはじめた。小太郎はまだ寝ている。そんな小太郎を横目に見ながら、「小太郎、そろそろ起きろよ。朝飯の準備だ」そして、眠い目をこすりながら体を伸ばし終えるとすぐの起き上がった。「父上、おはようございます」まだ眠そうな声で小太郎は返事をした。彦左衛門は小枝に火をつけ終わると、次に薪をくべ始めた。
「おはよう、よく寝れたみたいだな」
「よく寝れました、まだ寝たいぐらいです」蓑とむしろをたたみながら笑顔で答えた。
「鍋に水筒一杯の水と、この麦全部鍋に入れてくれないか?その後、火にかけてくれ」
「はい!」元気のいい返事を聞きながら、昨日の獲物の肉を切り始めた。巨大な猪だったため、肉はまだ腐るほどある。
「肉、食べるだろ?」
「食べます!」
 再び元気の良い返事を聞き、少し大きめに切った肉を枝に刺して焚き火で焼き始めた。
 しばらくして、脂で光る黒く焦げ目のついた肉を二人で頬張る。
「やっぱり肉は美味しいですね」
「美味しいな。」
 猪肉を食い終わるころ、麦粥がグツグツと美味しそうな音をたてはじめた。
「そろそろ出来たかな」鍋の中を覗くと、丁度食べ頃である。
「出来たぞ!」彦左衛門の声と同時に、木製の飯椀に小太郎はよそい、ほうばり始めた。

 朝の楽しい食事を終え、旅を支度をしている小太郎の後ろで、冷たい川の水で顔を洗い終えた彦左衛門は、湯を通した猪肉を藁に包んでいた。本当であれば腐らぬよう塩漬けにするが今は塩がない。
 草鞋の紐を結び直し、手綱を握ると
「行くぞ」
「はい!」小太郎の元気な声と共に、ゆっくりと歩き始めた。腹一杯になった二人の旅が再び始まった。

 昨日まで歩いていた山道を歩いていく。途中、山を下り南へと進路を変えた。しばらく歩き、民家が見え始めると川沿いに道が見えてきた。その道を川の流れる方向に沿って歩いて行く。二人はすでに周防国を歩いている。
「この道を行けば海が見えてくるはずだ。そして広い道に出る。その道を東に向かって歩こう」
「わしは、安芸の国にある厳島が見てみたい」
「厳島?どんな島ですか?」いつの間にか拾った長い木の棒で小石を弾きながら小太郎は答えた。
「美しい島らしい。聞いた話では、安芸守であった知盛様の父上の清盛様が、昔からある厳島神社を寝殿造の様式に造営したみたいなんだ。寝殿造とは、清盛様みたいに偉い人が住む立派な建物さ。一度見てみたいものだ」
「私も見とうございます。父上、急ぎましょう」
 そう言うと、長い木の棒を目の前に伸ばし足早になった。
「そうあわてるな、安芸はまだ遠い。それまで弱音を吐くなよ」
 聞こえたか聞こえていないか、小太郎は自分の足音に追われるように歩いている。

 川沿いの道をしばらく歩いていると、右手に檜皮葺ひわだぶき屋根で出来た小さな寺が見えてきた。さらに近づくと、門の前では若い僧侶が一人掃き掃除をしていた。門の高い位置にある扁額へんがくには真言宗 塩正寺と書かれている。
「こんにちは」
 元気よく小太郎は挨拶をした。
「こんにちは」若い僧侶は笑顔で挨拶を返した。がっちりとした筋肉質な体系であるがまだ十代前半の子供を思わせる声である。
「こんにちは、私は旅の者だが少しお聞きしたいことがある。ここは周防国であろうか?」
 彦左衛門は笑顔を見せながら若い僧侶に聞いた。
「そうです、ここは周防国です。この辺りは畑と田しかない田舎でございます」
「そうですか。ところで、そなたの歳はいくつであろうか?随分とお若いようだが」
「私は今年で十三歳になります」彦左衛門の目を見ながら答えた。
「私の父が亡くなってから、ここの塩正寺の和尚様にお世話になっています。父が和尚様と仲が良かったものですから」
「母上様はいるのですか?」
 少し悲しげな表情の僧侶に小太郎はすかさず聞いた。
「母も出家して塩正寺に一緒に住んでいましたが……今は何処にいるか分かりません……。この前、母と二人でいつもの通り、門の前を掃除をしてると、馬に乗った鎧を着た兵士達が通りかかったのですが、母を見るなりいきなり襲いかかり連れ去りました。私は腹を蹴られ何も出来ませんでした……」
 衝撃であった。源氏の兵か、もしくは平氏……若い僧侶の母は遊び女にされたのか……いろいろな事が頭に浮かんできた。と、その時、門の奥から和尚らしき人物が現れた。ひょろっとした背の高い黒色の法衣を着用している優しそうな老人である。
「これはこれは旅の方……」と言いかけた瞬間、和尚の目の色が変わった。和尚の視線の先には彦左衛門の腰に差している刀があった。和尚からは先ほどまでの笑顔が消えていた。
「そなたらは、この寺に何をしに来た!」
 突然怒鳴られた。いきなりの強い口調に彦左衛門は少し戸惑ったが、
「私たちは旅の者であり、決して怪しいものではありません。たまたま通りかかり、ここは周防国かと尋ねただけであります」和尚の目を見ながら訴えた。
「ではなぜ刀を差している。源氏か平氏の兵であろう、人を殺める悪党であろう、違うのか?」
 若い僧侶の体が小刻みに震えているのが分かった。
「それは……」
「確かに私は平氏の兵で平知盛様に仕えておりました。しかし……」
 彦左衛門は言葉を詰まらせた。
「父上は悪い人ではありません!」突然、小太郎は答えた。真剣な表情で和尚を見ている。こんな真剣な小太郎の顔は見たことがなかった。
「父上は立派な人です!私にこうおっしゃいました。人として正しき道を行け、他人を思いやり弱きものを助けよと。自分の欲の為に行動してはならない、その為にも強くなれと!」
 奮い立つようなしっかりとした声であった。小太郎の澄んだ眼差しは和尚の心を覗き込むように見つめている。
 どれくらい時が経ったのか、数秒ではあるが長く感じる時間が流れた。その時、和尚は心が晴れたように笑顔を見せた。
「良い目をしておる」顎から伸びた白い髭を撫でながら言った。
「そなたたちを信じよう、目は人の心を映し出す。すまなかったの、茶でも飲みながら旅の話でも聞かせていただけぬか?暇なものでな」
「よろしいのですか?では、少しお邪魔いたします」
 彦左衛門は軽く頭を下げた。
黙念もくねん、馬を預かり茶の準備をしなさい」
「はい!」元気のよい返事である。先ほどの緊張がほぐれ皆の表情が穏やかになっていた。

 門をくぐり境内に入ると、湿った土の匂いや草木の匂いそして、歴史を感じる正面の本堂から漂うお香の匂いか空気に溶け込んでいた。その本堂の右側にひっそりと建っている方丈ほうじょうに案内された。方丈とは和尚の居室である。
「先ほどは失礼いたした、お詫びいたす」軽く二度頭を下げ謝った。
「挨拶が遅れて申し訳ない。わしはここの和尚の慈念じねんと申す。ここは小さな田舎の寺じゃ。この寺には、先ほどの黙念と息子の信念しんねんが住んでおる。そちらは?」
「私は彦左衛門と申します。そして息子の小太郎でございます」小太郎は軽く会釈をした。
「平清盛様の四男、知盛様に仕えておりました。ご存じだと思いますが壇ノ浦の戦にて平家が滅亡いたしました。知盛様の命により、戦には参加せず源氏の兵から逃れております」
「知盛様は無事なのか?」と、心配そうに聞いた。
「自害しました」と彦左衛門は答えた。「清盛様の正室の時子様と幼い安徳天皇が入水し平家滅亡の様を見届けた知盛様も……海に身を投げました」
 その時、「失礼します」障子を開け、外の新鮮な空気と共に黙念が入ってきた。
「お茶をどうぞ」笑顔でそういうと皆の前に置き始めた。「いただきます」小太郎はゆっくりとお茶を飲んだ。
「黙念ありがとな、さあ、わしの隣りに座りなさい」
「はい、和尚様」お盆を抱えたまま、きちんと正座をした。
「黙念は可哀想な子でしてな……話してもよいか?」和尚は黙念の顔色をうかがった。
「はい。先ほどもお話し致しました」笑顔のままである。和尚は無言でうなずいた。
「この寺には、訳あって黙念の母上も一緒に住んでおりました。掃除や食事の手伝いなど積極的にやっていただき我々もすごく助かっておりました。しかし……」和尚は大きく息を吸い込んだ。緊張した空気が辺りを包む。
「しかし四日ほど前に、いつもの通り、門の前を掃除していると馬に乗った兵士に突然連れ去られてしまったのじゃ。その時、兵士に蹴られ黙念が軽い怪我をしてしまった」
ここまでの話は黙念に直接聞いてはいたが、とにかく痛ましい話で黙念の事を思うと胸が張り裂けそうである。
「黙念殿、少し思い出していただきたいのだが……」
 彦左衛門は黙念の顔を見た。目を丸くしてこちらを見ている。
「母上を連れ去った兵士に何か特徴は無かったかな?」
 どうにかして母上を連れ戻してやりたい、もしかして……もう……心の中で葛藤しながらも、その笑顔の奥にある深い闇を何としてでも取り除いてやりたい一心であった。息子の小太郎と年も近い事もあり母を失った子の悲しい目だけは二度と見たくは無い。
「たしか、体はとても大きく頬から顎にかけて濃い髭が生えていました。そして……」そう言いかけ一度目を閉じ再び丸い目を開いた。「左目の上に傷がありました。刀で切られたような傷でした」彦左衛門は頷いた。
「和尚殿、その者は今どこにおるかご存じないか」無理を承知で聞いてみた。
「まさか、そなた行く気か?」
「ご存じなのですね」彦左衛門の目は真剣である。すると、「和尚様、お願いします教えてください」頭を床につけ小太郎が言った。「黙念さんに悲しい思いをさせたくないのです。お願いします!」
 床につけた頭を上げ和尚を見ている。和尚もしばらく小太郎を見た。そして静かに目を閉じる。しばらく時が経ち考え込んでいた和尚の口がようやく開いた。
ふーっと軽く息を吐き「そなたらには負けた」そう言うと目を見開いた。「寺の前の川を下り山と山の間を通り抜けると大きな集落に着く。そこに流れる大きな川に架かる橋の近くに廃寺がある、そこを住処としていると聞いたことがある」そう言い、さらに話を続けた。
「その男は悪事を働き、人々を苦しめておる。しかも相当な剣の腕前と聞く。仲間は何人いるかまでは分からない。わしの知っている事はここまでじゃ。それでも行くのか?」
「おやめください!」すぐに黙念は強い口調で言った。「私のようなものの為に、彦左衛門様と小太郎さんに……万が一のことがあっては……」黙念はうつむいている。
 そんな黙念の悲しげな姿を見て小太郎が声をかけた。「黙念さんはお優しいのですね。父上は強い人です。大丈夫ですよ」
「黙念殿、母上殿は必ず連れて戻って参る。心配いたすな。和尚殿、よろしいか?」
 彦左衛門達の言葉を聞いた黙念の瞳からは涙があふれていた。見知らぬ人の為に自らの命を懸ける人間がこの世にどれほどいようか、そんなことは彦左衛門達には関係ない。ただ目の前に困ってる人がいるから助けようとするだけ、人間として当たり前のことをしているだけである。そんな彦左衛門達の気持ちを汲み取ったのか和尚は笑顔になり、口を開いた。
「今わしが断ったところで、そなたらは必ず行くであろう。わしも長いこと生きてきたが、そなたらのような人には初めて出会った。本当に良い目をしておる。彦左衛門殿、小太郎殿、黙念の母をよろしく頼みまする」
 和尚と黙念は深々と頭を下げた。「お任せください」そういうと彦左衛門も小太郎も頭を下げた。
「先ほど話した集落に妙安寺みょうあんじという寺がある。そこの和尚を訪ねなさい。今から立っても夕刻に着く。その寺で一晩過ごすとよい。旅の途中、腹が空くであろう、今から握り飯を作り致す。それと妙安寺の和尚に書状を書くゆえしばらくお待ち願う」そして握り飯を作らすため黙念に命じ庫裏くりへと走らした。庫裏とは寺の台所である。「さて、わしは書状を書く故、その間ゆっくりと休んでいて下され」こんなにも優しく尽くしてくれる和尚と黙念に人間の温かみを感じた彦左衛門と小太郎であった。
「恩に着ます。ところで、本堂で旅の無事を願いたいと思うのですがよろしいですか?」
「それはよい、少し待って下され」そう言うと大声で信念を呼びつけた。
「和尚の息子の信念でございます」そう言い一礼をした。歳は彦左衛門と同じぐらいであろうか和尚に似て背が高く優しそうな顔である。「信念、彦左衛門殿と小太郎殿を本堂へご案内しなさい」「かしこまりました」丁寧な口調で言うと二人を本堂へと案内した。本堂に近づくにつれお香の匂いが強くなった。「さあ中へどうぞ」信念に案内され一礼をして本堂の外陣げじんに入った瞬間、強いお香の匂いと独特な雰囲気が三人を包み込んだ。そして薄暗い本堂の中、目の前に現れたのは胸の前で手を組み静かにこちらを見つめる大日如来坐像である。
「正面に御鎮座されています仏様が大日如来坐像でございます」それほど大きくはないが、歴史を十分に感じる見た目と自然と手を合わせてしまう神々しさであった。
「父上、生まれて初めて見ました」小太郎の目には何故か涙が浮かんでいた。それを見た信念が「小太郎さんが素直だから涙が出るんですよ。昔、和尚が言ってました、素直で心の綺麗な人間は仏様を見ると涙が出るそうです。父上に自慢できますね」小太郎の目線に合わせ木の床に片膝をつきながらさとした。
「少し慌て者のところはあるが自慢の息子ですよ」笑いながら彦左衛門は言った。そして、大日如来坐像の傍らにひっそりと立っている二体の仏様に気付いた小太郎は信念に聞いてみた。
「信念さん、大日如来坐像のそばにある小さいのも仏様ですか?顔が怖いように思うんですが」
「そうですよ。皆さんの右側におられる仏様は不動明王で私たちを正しい道に導くために叱咤してくれる仏様です。顔は怖いですが私たちの事を心の底から思ってくださる故に怖い顔をされています。そして左側が毘沙門天で守護神であり財宝の神様と呼ばれています。戦の神とも呼ばれていますよ」
 三体の仏様に見られた二人はしばらく動く事は出来なかった。彦左衛門はいつの間にか毘沙門天を見つめていた。何かを感じる、何か分からない、心臓の鼓動が早まるのを感じた。力なのか、毘沙門天の力強さが伝わってくる感じがした。
「それではみなさん、旅の無事を祈りましょう」信念が両手を合わせ、大日如来坐像に深々と頭を下げたのを見た彦左衛門と小太郎も深々と頭を下げた。二人が頭をあげると丁度、和尚と黙念が本堂に入ってきた。和尚の手には丸めた書状、黙念は木の葉に包まれた握り飯を持っていた。
「彦左衛門殿、遅くなってすまん」和尚が言うと、手に持っていた書状を彦左衛門に渡した。「この書状を妙安寺の住職にお渡しくだされ。力を貸していただけるはずじゃ。それと黙念が作った握り飯じゃ」
「私が心を込めて作りました。旅の途中でお食べください」そう言うと笑顔で小太郎に渡した。
「ありがとうございます。ありがたくいただきます」暖かい握り飯を小太郎はいつの間にか頬に当てていた。そんな二人を見た彦左衛門は、必ず黙念の母上を連れて帰ると再び心に誓ったのである。
まもなく、みんなで本堂を出て門をくぐると彦左衛門達は振り返った。
「和尚殿、信念殿、そして黙念殿、お世話になりました。黙念殿の母上は必ず連れて帰ります」三人の目を見ながら彦左衛門が言うとすぐに「和尚さん、信念さん、そして黙念さんお世話になりました。黙念さんの母上を必ず連れて帰ります」と深々と頭を下げながら小太郎は言った。彦左衛門と同じ事を言ったのが面白かったのか、かわいく見えたのか、皆声を出し笑った。小太郎も少し照れたのか頭に手をやり笑い始めた。そして、二人は妙安寺に向け旅立つのである。



 

 



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