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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?
20.オムライス
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絡んできた男を倒した後、ログハウスに戻る途中で結月が呟く。
「PvPか、それを使えば樹を効率よく鍛えられるかも。家に帰ったら試してみよ?」
「結月と戦うの?」
「そう、手合わせすることで得られることは多いんだよ」
「結月の剣技を受けるのか……。ちょっと怖いな」
俺が及び腰でいると、結月は俺の左腕に抱き付き身を寄せて言う。
「大丈夫、この世界ならケガしないでしょ?」
「そ、そうだね。やってみるか。……お手柔らかにお願いします」
結月の顔が近い! 思わずやると言ってしまった。その様子を見ていた久奈が俺の右手を握り腕に抱き付いて来た。
「じゃあ、二人が訓練している間に、私が夕食作るね」
「久奈って料理できるの?」
「できるよ。現実世界では、毎日私が準備してたよ。うちの親、共働きでお母さんも帰ってくるのが遅かったし」
「何か作って欲しいのある?」
久奈の手料理だったらなんでも食べたいな。でも女子の質問に”何でもいい”は最大の禁句らしいのでなんとなく「オムライス」と答えてみた。
「いいよー、買い物してから帰ろ」
買い物を終え家に戻ると、久奈はキッチンへ夕食の支度をしに行ったので、俺と結月は庭に出た。
俺と結月は4~5m程度はなれて向き合う。俺はインターフェースを操作して結月に決闘を申し込んだ。
音声アシストの「はじめ!」の号令で決闘開始だ。俺は結月の出方を窺っていると、結月が微笑み声を掛けてきた。
「樹には私の本気を見てほしいから、最初の一回だけ本気で行くね」
俺が「分かった」と返事をすると、結月の雰囲気が変わり凄まじいプレッシャーを放つ。俺は全身から汗が噴き出るのを感じる。魔刃を使っている様子はないが、向き合っているだけで押しつぶされそうだ。俺は恐怖を感じていた。
ゆらりと結月が動いたと俺が認識した刹那、体に衝撃が走り吹き飛ばされていた。たった一撃で俺のHPは0になり勝負がついた。
「WINNER 桜花結月!」
結月が駆け寄ってきて「大丈夫?」と俺に手を差し出す。
俺は「ああ」と返事して、結月の手を取り立ち上がる。
「なにが起こったか、分からなかったよ」
「そっか、今は私と樹の実力の差はそれだけあるってことだよ。でも私が手取り足取り教えてあげるからすぐ強くなれるよ」
結月の先程までの威圧感は消え去り、今は天使のような笑顔だ。俺は苦笑いをしながらも、気を取り直してもう一回決闘を申し込む。
「今度は樹が好きなように打ち込んできて」
「OKじゃ、行くよ」
俺は必死になって刀を振るうが、全てを軽く受け止められ、いなされてしまう。しばらくそうしていると久奈が「夕食の準備ができたよー」と呼びに来た。
「今日はここまでにしようか」結月は息を乱さずに言うと、刀をアイテムストレージにしまった。俺は肩で息をしながら頷く。結月に刀をかすらせる事さえできなかったな。
ダイニングに向かうと、美味しそうな香りが室内を満たしている。オムライス、サラダ、ポタージュスープが綺麗に並べられていた。オムライスの皿にはポテトとハンバーグも乗っている。
「おー、凄い。美味しそう」
三人揃って手のひらを合わせて「「「いただきます!」」」と声をそろえて言った。
オムライスって卵の部分をふわふわにするのは難しいって聞くけど、久奈の作ったのは完璧だ。それに美味しい。結月も美味しいと言って食べている。
「久奈の家族は、久奈の手料理を毎日食べれられるなんて羨ましいなぁ」
「樹も私の家族になればいいんじゃないかなー? 旦那さんとか」
「ソ、ソウダネー」
……結月の方をチラリと見ると、特に反応は無いようなのでホッとする。余計な事は言わなければよかったと思いながら、久奈の手料理を堪能したのだった。
「PvPか、それを使えば樹を効率よく鍛えられるかも。家に帰ったら試してみよ?」
「結月と戦うの?」
「そう、手合わせすることで得られることは多いんだよ」
「結月の剣技を受けるのか……。ちょっと怖いな」
俺が及び腰でいると、結月は俺の左腕に抱き付き身を寄せて言う。
「大丈夫、この世界ならケガしないでしょ?」
「そ、そうだね。やってみるか。……お手柔らかにお願いします」
結月の顔が近い! 思わずやると言ってしまった。その様子を見ていた久奈が俺の右手を握り腕に抱き付いて来た。
「じゃあ、二人が訓練している間に、私が夕食作るね」
「久奈って料理できるの?」
「できるよ。現実世界では、毎日私が準備してたよ。うちの親、共働きでお母さんも帰ってくるのが遅かったし」
「何か作って欲しいのある?」
久奈の手料理だったらなんでも食べたいな。でも女子の質問に”何でもいい”は最大の禁句らしいのでなんとなく「オムライス」と答えてみた。
「いいよー、買い物してから帰ろ」
買い物を終え家に戻ると、久奈はキッチンへ夕食の支度をしに行ったので、俺と結月は庭に出た。
俺と結月は4~5m程度はなれて向き合う。俺はインターフェースを操作して結月に決闘を申し込んだ。
音声アシストの「はじめ!」の号令で決闘開始だ。俺は結月の出方を窺っていると、結月が微笑み声を掛けてきた。
「樹には私の本気を見てほしいから、最初の一回だけ本気で行くね」
俺が「分かった」と返事をすると、結月の雰囲気が変わり凄まじいプレッシャーを放つ。俺は全身から汗が噴き出るのを感じる。魔刃を使っている様子はないが、向き合っているだけで押しつぶされそうだ。俺は恐怖を感じていた。
ゆらりと結月が動いたと俺が認識した刹那、体に衝撃が走り吹き飛ばされていた。たった一撃で俺のHPは0になり勝負がついた。
「WINNER 桜花結月!」
結月が駆け寄ってきて「大丈夫?」と俺に手を差し出す。
俺は「ああ」と返事して、結月の手を取り立ち上がる。
「なにが起こったか、分からなかったよ」
「そっか、今は私と樹の実力の差はそれだけあるってことだよ。でも私が手取り足取り教えてあげるからすぐ強くなれるよ」
結月の先程までの威圧感は消え去り、今は天使のような笑顔だ。俺は苦笑いをしながらも、気を取り直してもう一回決闘を申し込む。
「今度は樹が好きなように打ち込んできて」
「OKじゃ、行くよ」
俺は必死になって刀を振るうが、全てを軽く受け止められ、いなされてしまう。しばらくそうしていると久奈が「夕食の準備ができたよー」と呼びに来た。
「今日はここまでにしようか」結月は息を乱さずに言うと、刀をアイテムストレージにしまった。俺は肩で息をしながら頷く。結月に刀をかすらせる事さえできなかったな。
ダイニングに向かうと、美味しそうな香りが室内を満たしている。オムライス、サラダ、ポタージュスープが綺麗に並べられていた。オムライスの皿にはポテトとハンバーグも乗っている。
「おー、凄い。美味しそう」
三人揃って手のひらを合わせて「「「いただきます!」」」と声をそろえて言った。
オムライスって卵の部分をふわふわにするのは難しいって聞くけど、久奈の作ったのは完璧だ。それに美味しい。結月も美味しいと言って食べている。
「久奈の家族は、久奈の手料理を毎日食べれられるなんて羨ましいなぁ」
「樹も私の家族になればいいんじゃないかなー? 旦那さんとか」
「ソ、ソウダネー」
……結月の方をチラリと見ると、特に反応は無いようなのでホッとする。余計な事は言わなければよかったと思いながら、久奈の手料理を堪能したのだった。
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