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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

22.久奈vs結月

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 三人で遅めの昼食を食べている。俺は気まずいので大人しくしていた。久奈が結月に話しかける。

「昼から私もPvPしてみたい。結月、勝負しよ?」
 
 俺と結月がこっそりえっちしようとしてた事をやっぱり怒っているのかな? とドキッとする。結月は恐る恐る久奈に尋ねる。

「久奈……、怒ってるの?」

「怒ってないよー。PvP楽しそうだから、やってみたいと思って」

「そっか、じゃあやってみよ」

 久奈は笑顔を見せたので、結月も笑顔で応えた。久奈は怒っていないようなので、俺も話に混ざる。

「久奈と結月が暴れると地形が変わるから、フィールドにいこう」

 久奈は半眼で俺に視線を送り軽く抗議する。

「樹は私達の事をなんだと思ってるの?」

 俺は前々から言おうと準備しておいたセリフを言ってみた。

「美人で可愛い、俺の大事な人」

 久奈は呆れた様子で言う。

「樹も言うようになったよね」

 結月は俺を窘めるように言う。

「どこかのモテ男みたいなこと言わないの」

「……」

 くっ、頬を赤らめてデレてくれると思ったのに不発だった……。




 というわけで、北の山岳地帯フィールドの2番目の広間。この近辺のモンスターと戦える人は俺たち以外にはまだいないらしく人が全くいない。ここなら大破壊を起こしても問題ないはず。

 久奈と結月が向かい合い、礼をする。

「じゃいくよー」

 久奈は予備動作もなく炎の矢を高速で放つ。しかし、結月は難なく避ける。あれ俺なら避けられないな。

「どんどんいくよー」

 色とりどりの魔法が四方八方から結月に襲い掛かる。それらをひらりひらりと躱し、結月は久奈に鋭く斬りかかるが、久奈は軽々と避けたように見えた。

 結月は不思議に思ったのか「刀の軌道が滑った?」と呟いた。

 久奈は胸を張って、得意げに語る。

「風の魔法を体の周りに覆ってガードしているんだよ。魔刃を使わないと多分切れないよ」

 結月の雰囲気が変わる。あ、本気出したな。「甘く見ないでね」と言い終わると同時に結月が消え、次の瞬間ギィィィンと衝撃音が響く。

 俺が気付いた時には、久奈の正面には氷の壁が出来ており、氷の壁に結月の刀がめり込んでいた。

「驚いた。風の壁を切っちゃうなんて。とっさに氷の壁を出して正解だったね」

 久奈はふわりと後ろに跳んで結月から離れる。氷の壁がピキピキと音を立て、結月の刀を包んでいく。

「驚いたのはこっちだよ。まさか本気でも切れないなんて。しかも氷に飲まれて刀が動かせない。しょうがない……魔刃を使うよ」

 結月の刀に青色のオーラが宿る。氷を粉々に砕き仕切り直しだ。その様子を見た久奈が笑みを浮かべながら言う。

「じゃあ、私も本気で行くからね!」

 今まで本気じゃなかったのかよ……。え? 久奈が宙に浮いてる!

「へへっ、風の魔法の応用で飛べるんだよ」

「なるほど、魔刃を使わなければ、刃は届かない。それでは絶対に勝てないね」

 久奈は空から氷の矢を雨のように降らせる。氷の矢が着弾した場所はたちどころに凍り付く。結月は青いオーラを纏った刀で氷の矢を叩き落しつつ、久奈に斬撃を飛ばす。あまりに高速な戦いに、ただ見ているだけの俺も必死だ。

 久奈は縦横無尽に飛び回り、結月の放つ魔刃の斬撃を危なげなく躱しながら、氷の矢を連射し続ける。次々と地面に着弾して、氷が高さを増していき次第に柱の様になっていく。
 
 結月の周りが氷の柱だらけになったところで、今度は炎の矢を連射する。炎の矢が氷の柱を砕き無数の氷塊となって結月に落下する。
 
 高速で絶え間なく放たれる炎の矢に対処しつつ、崩れ落ちてくる氷塊にも対処しなければいけない。

 結月は渋い顔で「厄介な……」と呟き、刀を強く握り締めた。刀に宿る青いオーラが増大し、渾身の一振りで周りの氷柱と氷塊をすべて吹き飛ばした。

 しかし、一息つく間もなく巨大な火球が地面をえぐりながら結月に襲い掛かる。結月が大技を使うのを見越して、久奈は強力な魔法を放っていた。

「結月、私の全MPをぶつけるからね」

 久奈の全てのMPを使って放った巨大な火球。これは流石に結月でも避けきれないかな……と俺は思った。だが結月はその巨大な火球すら、青いオーラを伴う斬撃で両断してしまった。

「今のは、ギリギリだった……MPも無くなった」

 結月は苦悶の表情を浮かべるものの一気に久奈に近づき一閃、久奈は吹っ飛んだ。同時に結月も何かの衝撃を受けて倒れた。
 
 久奈は試合序盤の受け攻めで、アイテムストレージからミスリルロッドを出し上空に魔法で待機させておいた。結月が勝負を決めに来たところを狙って叩きつけていのた。

 二人の試合が終了して、音声アシストが聞こえる。

「DRAW」

 俺は倒れている二人に近づき「大丈夫?」と声を掛け、手を差し出して起こした。二人のステータスを確認すると、MPは0だけどHPは全回復してるな。よかった。それにしてもどこかの戦闘民族みたいな強さだな。

「やっぱり結月は強いね!」

「久奈もすごく強かったよ」

 久奈と結月はお互いを讃え合う。二人の美少女の本気バトルを見て、俺は自分が一番弱いことを再確認し心で泣いていた。
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