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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

29.お化け怖い

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 ルイさんのお願いに俺達が了解すると、ルイさんは笑顔で言う。

「快諾してくれてありがとう。君達の端末から私に連絡できるようにしておいた。何か困った事があれば遠慮なく連絡してくれ。それと、ここでの話の内容は、他のプレイヤーには口外しないで欲しい。いらぬ混乱を招きそうだからな」

「そこの転移ゲートから君達のログハウスに帰れる。使ってくれ」

 応接室の転移ゲートに入ると、自宅に戻ってきた。俺達が出てくるとその転移ゲートは消えた。

 久奈と結月は満面の笑顔で俺の腕に絡みついている。

「現実世界に戻っても一緒に過ごせるんだー♪」

「伴侶かーフフフ♡」

 ……二人ともご機嫌なようでなにより。



 さて、今からどうしようか。庭を見渡すと転移ゲートがある。あの中に入ってモンスターを狩れってことだよな。俺は転移ゲートを指差し、二人に聞いてみる。

「早速行ってみる?」

 二人は頷いたので俺達は転移ゲートに入った。

 転移先には、宵闇の中にいかにも怪しい雰囲気の洋館が立っていた。

 俺達が洋館の玄関に近づくと、ギィィィと音をたてて扉が開く。

「私、こういうの苦手」

 結月が眉をひそめて呟く。

 玄関の扉から洋館の中を見ると広くて天井の高いホールになっていた。正面には大きな階段がある。

 ホールには、槍や剣を持った甲冑が複数立っている。これ絶対動いて襲ってくる奴だよね。と思いながら洋館に入っていく。

 案の定、ガチャガチャと音を立てて襲い掛かってきた。今までは岩のモンスターばかりと戦っていたので新鮮だ。久奈と結月は甲冑たちを軽く一蹴する。

 洋館の中を見渡すとかなり広いようだ。部屋も沢山あり探索するには時間が掛かりそうだな、と考えていると、スーッと白いものが目の前を横切る。ゴーストタイプのモンスターだな。

「キャァァァ! お化け出たー!」

 大声をあげて結月が俺に飛びつく、ガタガタ震えている。

「落ち着いて、お化けじゃなくてモンスターだよ」

「嫌だよ! お化け怖い!」

 俺は結月の背中を抱いて声を掛けるが、子供の様に怖がっている。結月が取り乱しているのを見て、久奈が「私に任せて」と魔法でゴーストタイプのモンスターを倒した。

「この洋館のどこかにボスモンスターがいるのかな? 部屋がたくさんあるから一つずつ見ていくか」

「イヤッ! 無理! 怖いよ……」

「結月、怖かったら俺につかまっていて」

 結月は震えながら俺の背中につかまっている。無敵の強さの結月でも怖いものがあるんだ……、可愛いな。

 それから部屋を一つ一つ見て回るが、ゴーストタイプのモンスターが出るたびに結月は絶叫していた。久奈がすべて倒すので、戦力的には問題はないけど怯える結月がかわいそうだ。

 最後の部屋のにはボスと思われる大型のゴーストがいた。もはや結月は失神寸前だ。手早く久奈が倒すと、自動でログハウスの庭に戻ってきた。

 結月が青い顔をして震えているので抱き締めて「もう大丈夫だよ」と声を掛けていると、俺のスマホが振動した。

「メッセージの着信だ。ルイさんからだな」

 俺はメッセージを確認して、声に出して読んだ。

「どうだったかな? クリアするたびに転移先が変わるから楽しんで欲しい」

「全然楽しくないよ。怖かったよ……」

 涙目で文句をいう結月の頭を、小さい子供にするように撫でてやった。



 その夜、俺が自室でそろそろ寝ようとベッドに横になると、コンコンとドアをノックし結月が部屋に入ってきた。

「樹……、怖くて寝れないから一緒に寝ていい?」

「いいよ」と俺が答えると久奈も部屋に入ってきた。

「結月だけずるい。私も一緒に寝る」

 久奈と結月は俺のベッドの中に潜り込んできた。思いがけず三人で寝ることになってしまった……。

 俺の両隣りで、美少女二人が顔を寄せて俺の手を握り寝ている。俺って我慢強いよな。むしろこの状況って我慢しなくていいやつじゃないのか? などと悶々と葛藤しているのをよそに二人はスースーと寝息を立てていた。
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