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謎の異空間に飛ばされたら金髪美少女が迫ってくるんだが?

59.ちょろい子2

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 施設に戻ると制御室に行き探索の結果をミリアに報告する。アサカの報告を聞くとミリアはアサカにジト目で「……ご苦労様」と労う。ガルフは黙ってその様子を生温かい目で見ている。

 ミリアとアサカはまた何か小声でやり取りしている。

「なに真面目に探索してるの? ちゃんと胸とか押し付けて誘惑したの?」

「だってイツキと二人きりだとドキドキして緊張するし……」

「イツキみたいなタイプは押しに弱いからグイグイ行けばすぐに堕とせるはず。頑張りなさい」

「うん……」

 小声でのやり取りが終わった後、ミリアは俺に向かって言う。

「イツキもご苦労様。お腹すいたでしょ。食事にしましょう」

 俺は頷き、四人で食堂に向かい談笑しつつ食事をした。




 その後、二人で部屋に戻る。部屋に戻るとアサカは待ってましたとばかりに俺に抱き着く。

「今日はするよね」

 俺もアサカとならしたいが、心の奥で何かが引っかかる。

「アサカは何か慌ててるの?」

「慌ててるよ。一刻も早くイツキを堕とさないと……」

 俺の問いにアサカは瞬時に答えるが、歯切れが悪い。

「堕とさないと?」

「……何でもない」

(イツキが彼女の事を思い出すかも、なんて言えないな)

「するかどうかはともかく、今日は半日森の中を歩き回ったからシャワー浴びて着替えようか」

 アサカは頷き、交代でシャワーを浴びてくる。着替え終わった俺達はベッドに並んで座る。腕を組み手のひらは指を絡めて握っている。アサカの体温と香りが伝わってきて俺の心音は高まる。

「イツキから見て私って綺麗なんでしょ?」

「うん、とっても」

「なんで襲ってこないの?」

「え?」

「ミリアが前に言っていたんだ。男はみんなケダモノだから、襲われないように気を付けなさいって」

「その辺は……そうかもしれないけど、男にも色々いるよ。俺はどちらかというとヘタレなのかも」

「会ったその日にえっちなキスしたのに?」

「う……、俺もケダモノだね」

「ねぇケダモノさん。またあのキスしてよ」

 俺はアサカの希望どうりに押し倒してキスをする。お互いの背中に腕を回しきつく抱き合ったまま何度もキスをした。アサカは上気した表情で俺を見つめている。俺の鼓動も速くなっていく。

 俺の背中に回したアサカの腕が一度緩んで、俺の首を抱きしめる。

「イツキ、今日はしてくれるよね」

「アサカ……でもこのまましたら出来ちゃうよ」

「う……、それは困る」

 アサカは俺の腕の中からもぞもぞと這い出しスマホを手にする。

「ミリアに持ってないか聞くよ」

 アサカはミリアにメッセージを送る。少ししてミリアから返事が来る。

「説明するの忘れてた。スマホの機能で展開する防御フィールドに避妊の効果を持たせることが出来るよ。明日説明するね」

 そのメッセージを見ると、アサカはあからさまにがっかりした。

「せっかくイツキがその気になったのにー! もういい今すぐしよ!? 私、元気な赤ちゃん生むよ!」

「アサカ、落ち着いて。赤ちゃんできても育てられないでしょ」

 俺はアサカを抱き寄せて頭を撫でる。

「まだしばらくこの異空間にいるんだから、今度にしよ」

「ううう、じゃあ今日はイツキと一緒のベッドで寝てもいい?」

「いいよ」

 俺達は手を繋ぎ一緒のベッドで横になった。



 ――アサカは目が覚める。スマホの時刻を確認すると6時24分。

(嫌な夢見た……。イツキが彼女とイチャついて私を置いていく夢……)

 アサカの隣では樹がスースーと寝息を立てている。樹の寝顔を見つめているアサカ。少しづつ胸が高鳴ってくる。樹の唇に自分の唇を合わせようとして、そっと顔を寄せる。

 すると、樹の両腕に捕まり抱きしめられてしまう。

「え? ちょっと、イツキ起きてるの?」

 しかし樹は目をつむり先ほどまでと変わらずスースーと寝息を立てている。アサカが驚いていると、樹はアサカに頬ずりをしだし、イツキの手がアサカの体を撫で始めた。

「あぁそんなところ……触られたら……」



 ――俺が目を覚ますとアサカを抱き枕の様にして抱きしめていた。アサカは俺の腕の中で顔を真っ赤にしてハァハァと肩で息をしていた。

「おはよ。アサカどうかしたの?」

「イツキに撫でられて気持ち良かった……」

「俺も気持ちよく眠れたよ」

 この状態は完全に言い逃れできないよな。俺、彼女いたらどうしよう。腕の中で金髪碧眼の美少女が蕩けている多幸感と、得体のしれない不安な気持ちが頭をよぎった。

 まぁ、その時はその時か。俺はアサカの頬に軽くキスをしてから起き上がった。



 二人で食堂に行くとミリアとガルフがいた。アサカはミリアにスマホを差し出し、設定をしてもらっているようだ。しばらくすると設定が終わったようで、ミリアはアサカにスマホを返し小声で話す。

「これで好きなだけやってもできないよ」

 アサカは嬉しそうに笑っている。

「よし! 食べたらすぐやろう」

「待ちなさいアサカ、その前に今日はイツキに鍛えてもらいなさい」

「二人で汗を流せば二人の距離がより近くなるはず」

「……分かった」

 その後、食事をしながら俺はミリアに話しかける。

「ミリアとアサカって仲が良いね。姉妹みたい」

 ミリアは俺の問いかけに笑顔で答える。

「そうね、血はつながってないけどアサカの事は妹の様に思っている」

「私達三人は、昔住んでた街がモンスターに襲われて孤児になってしまったの。それ以降は三人でいることが多かったから家族みたいに思っているのよ」

「社長は幼かった私達を引き取って面倒を見てくれた。昔はルイ姐って呼んでたんだけど、今では社長って呼んでいるわ」

 ガルフも昔の事を思い出したように言う。

「その時モンスターを倒してくれたのもルイ姐だったんだ」

「イツキも強いがルイ姐の強さも相当だぞ」

 今では明るい雰囲気の三人だが、昔は大変だったんだなと俺は感心した。

「そうだったのか……三人とも苦労していたんだな」

「苦労? 社長もミリアもガルフも優しくて頼りになるから楽しいことの方が多いよ」

 アサカは笑顔で俺の言葉を打ち消した。



 食事が終わるとミリアが亜空間収納から槍を2本だしアサカと俺に手渡す。

「訓練用の槍だよ。アサカを鍛えてあげて」

 俺は頷きアサカと二人で外に出て行った。

 お互いに槍を持って組み手をしてみた。アサカは槍の扱いに長けているようで動きがとても滑らかだ。しばらくやっていると、俺は槍の戦い方も覚えることが出来た。

「流石イツキだね。もう槍の戦い方が様になってるよ」

(境地クラスの固有スキルの効果で相手の動きを正確に捉える事が出来るとはいえ、こんな短時間で私の槍術をコピーしてしまうんて、今までどれほど戦闘経験を積んできたんだろう?)

「アサカは槍に魔法を込めないの?」

「できない事は無いけど、難しいから槍だけで戦うよりも弱くなってしまう」

「得意な魔法ってある?」

「水が一番得意かな。次に風」

 俺は槍に水の魔法を込めて森の方向に一突きする。すると槍の突きの威力が上乗せされて高圧の水流が射出する。俺の放った水流が木々を薙ぎ倒していった。

 次に槍に水と風の魔法を込めて槍を振るった。水と風でできた刃が地面ごと通り道の木々を切り裂いた。

「こんな感じでやってみたら?」

「そんなの簡単にできるわけないでしょ。簡単にやってしまうイツキが凄すぎるんだよ」

「今ではイメージするだけで当たり前の様にできるけど、必死で練習したような気がする。頭では覚えてないんだけど、体が覚えてるのかな……?」

「そうか……。やってみる」

 その後、アサカは水魔法を槍に込めて俺と組み手をした。アサカは一生懸命やっているので、水魔法を槍に込めて戦うのも慣れてきたようだ。

「だいぶ上手くなってきたでしょ」

「うん、アサカならできるようになるって思ってたよ」

「アサカは突きが特に鋭いから、それを磨いていくといいかも」

「突きか……。分かった頑張る!」

 昼休憩を挟みつつ一日中二人で練習した。水魔法を槍に込め突きと同時に水流を撃ち出す技が、威力、速さともに申し分ないほどに仕上がった。これなら今後はダロス程度の相手になら遅れをとることは無いだろう。

「たった一日でずいぶん上達したね」

「惚れなおした?」

「うん、頑張ってるアサカも可愛いよ」

「……じゃあご褒美頂戴」

 そういって顔を少し赤らめながら口をとがらせるような仕草をするので、俺はアサカにキスをした。アサカの事を愛おしく感じる気持ちが強くなるにつれ、俺の胸の奥の痛みが薄くなっていくような気がした。



 二人とも汗だくだったので、夕食の前にシャワーを浴びてきた。その後、食堂に向かう。

 食事中に上機嫌のアサカにミリアが声を掛ける。

「うまくいったみたいだね」

「うん、イツキと二人の特訓は楽しかった。それに槍術も魔法も上達したよ」

「良かったね」

 アサカが嬉しそうに話すので、ミリアも嬉しそうだ。夕食後、俺はアサカと手を繋ぎ部屋に戻る。

 部屋に入るとアサカは俺に飛びついてきた。

「イツキ、今日こそは……」

「もちろん。でもアサカは俺なんかとホントにいいの?」

「私はイツキの事が大好き。イツキがいいの!」

「ありがとうアサカ。俺もアサカの事が大好きだよ」

 俺はアサカをお姫様抱っこでベッドまで運びべッドにゆっくりと下ろした。そしてアサカに覆いかぶさり唇を重ね抱き合った。そして、そのまま俺達は最後までしてしまうのであった。



 ベッドで抱き合うアサカと俺。アサカは俺にいたずらな笑みを浮かべ言う。

「イツキもちょろい子だよね」

「うん……そうだね」
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