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チート能力GETだぜ

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(……………)

(………………)

(……………………)

(…………………………あれ?)

前回、目を閉じて屋上から
身を投げた俺であったが
途中ある異変に気付く。
それは……いつになっても
地面に到達しないという事だ。
もう1分以上は経つというのに。
なので気になったので
そーっと目を開けてみる。

「!?」

目の前に広がっていたのは
信じられない光景だった。
何と俺は空中で静止していたのだ。

「ど、どうなってんだこれ!?」

「ワシが止めたんじゃよ」

「!?」

パッと右隣を見ると
競泳用のブーメランパンツを履いた
白髪の老人が空中に立っていた。

「あ、あなたは一体……!?」

「ワシか?ワシは"競パン仙人"
この世界を司る存在じゃ」

「きょ、競パン仙人……!?」

「ちなみにワシはゲイじゃ」

「!!」

俺は即座に肛門を両手で隠した。

「フォッフォッフォ、安心せい
ワシは"ネコ"で"ガタイ専"じゃ
お主の様なヒョロガリに興味はない」

(ホッ……)

それを聞いて俺は安心する。

「そんな事よりもじゃな
お主、中々悲惨な人間じゃな~」

「え?」

「両親からは特別愛されず
学校では毎日の様に常軌を逸した
いじめにあい、それで最終的には
屋上から飛び降り自殺じゃもんな~」

「……ど……どうしてそれを?」

「仙人じゃからな、何でも知っとる」

「……………」

「なぁ、お主………このままでいいのか?」

「……え?」

「自分をいじめてきた連中に
復讐してやろうとか思わないのか?」

「……無理ですよ……俺弱いし……
ましてや他人に復讐する度胸なんて
ないですよ………」

「フム………」

「というか……どうして俺の自殺を
止めたんですか!?
このままとっとと地面に落として
とっとと死なせてくださいよ!!
もう生きるのが辛いんですよ!!」

目に涙を浮かべ、仙人に訴える秀吉。

(可哀想に……相当蝕まれてるのうこれは………)

仙人はそんな秀吉にある事を伝える。

「一応言っておくがじゃな
お主、このまま落ちたところで死ねんぞ」

「え……!?ど……どうして!?」

「それはお主の"耐久値"が
人並外れておるからじゃよ」

「た、耐久値……!?」

「まぁ、口で言っても分からんじゃろ
こやつの"ステータスオープン"!」

仙人がそう叫ぶと
俺の目の前にRPGゲームに出てくる様な
ステータス表が表示された。

「な、何ですかこれは!?」

「お主のステータス表じゃ
ほれ、ここにさっき話した
耐久値が書いてあるじゃろ?」

「ほ…本当だ……え~……俺の耐久値は……400」

「そう、400じゃ
ちなみに人間の平均耐久値は80じゃ
それを考えるとお主のこの400という数値は
とても凄いという事がわかるじゃろ?」

「ど、どうして俺の耐久値は
こんなに高いのでしょうか!?」

「フム、それはじゃな
お主が長年いじめっ子達から
暴行を受け続けてきたからじゃ」

「え?」

「長年暴行を受け続けた事により
骨と皮膚が丈夫になり
耐久値が上がったというワケじゃ」

「は、はぁ………」

「つまり何が言いたいかと言うとじゃな
このまま地面に落ちても高い耐久値のせいで
即死する事はできず、中途半端に生きながらえ
地獄の様な苦しみが待ってるという事じゃ」

「ゴクリ……!」

俺は恐怖で唾を飲み込んだ。

「どうじゃ?今の話を聞いて
このまま下に落ちたいと思うかの?」

「いえ!!!思いません!!!
というかもっと生きたいです!!!」

「フォッフォッフォ
その言葉を待っとったぞ
よし、それじゃあ早速あの話を……の前に
とりあえず場所を変えようかの」

パチンッ

ブオンッ!

仙人が指パッチンをすると
2人はその場からどこかへとワープした。

ブオンッ!

「……ん……?ここって……?」

2人がワープした場所は
大量の美少女フィギュアが置かれ
大量の美少女ポスターが貼られた
ある部屋の中だった。

「………俺の部屋……?」

「そうじゃ、このTHE・キモオタって感じの
部屋はまさしくお主の部屋じゃ」

「あ~……やっぱり落ち着くなここは~」

「さて、落ち着く場所に着いたところで
早速話を始めようかの
え~と……お主名前は何じゃったかの?」

「あ、え~と、徳川秀吉です」

「フム、それじゃあ秀吉よ……
ワシは今からお主に
"チート能力"を授けたいと思う」

「へ!?な、何ですかそれ!?」

「おいおいチートも分からんのか……
お主、普段ゲームとかやらんのか?」

「ゲーム………あ!はいはい!
チートってあのチートですね!
理解しました!………って
いや!意味分からんですよ!
どういう事ですか!?
俺にチート能力を授けるって!!」

「まぁ、四の五の言わずに
とりあえず受け取れい!!」

そう言って仙人は俺に右手を向ける。
するとその手がパーッと光だし
部屋全体を明るく照らし出した。

「うわ!眩しい!」

光は5秒程経つと消えた。

「………………よし、完了じゃ」

「え?」

「これでお主は今日からチート人間じゃ!
その能力を使って今まで自分をいじめたり
馬鹿にしてきた奴らに復讐してやるとよいぞ!」

「え……いや、あの……よく意味が……」

「あ、そうじゃ!忘れてた!
"なろう"と言えばやっぱり
主人公を無条件で好きになってくれる
ヒロインが必要じゃろう!ほれ!」

そう言って仙人は
部屋に魔方陣の様なものを描く。
するとそこから
短髪で巨乳で
きわどい服を着た1人の少女が現れた。

「え……!?か、彼女は!?」

「紹介しよう、彼女は寧々(ねね)
お主好みの巨乳ボーイッシュ少女じゃ
これからは彼女がお主の事を一途に愛し
一生懸命サポートしてくれるぞい!」

仙人の紹介が終わると
その彼女は俺に向かって抱き付いてきた。

「よろしくお願いしま~す秀吉さま~~!!
これからは私が秀吉様を
一生懸命サポートしま~す!!」

「え……あ……ど、どうも……こちらこそ……」

彼女の巨乳が俺の体に
ガンガン当たってくる。
俺はもう……どうにかなりそうだった。

「というわけでじゃの、ワシはこれから
GOGO BOY達と飲み会があるから
おいとまさせてもらうぞい!
詳しいチートの使い方等は彼女に聞いてくれい!
それじゃ、まったの~う!」

そう言って仙人はどこかへと消えていった。
そして部屋に残された
俺と寧々とか言う女の子。

「………え~と……ど、どうしようか?」

「何でも構いませんよ!
私は秀吉様に従うだけです!」

「あ……そ、そう……?
じゃあ……とりあえず~……
ご飯でも食べようか……腹減ったし……」

「わっかりました!
それじゃあ寧々がとびっきりのご馳走を
秀吉様に作りま~す!」

というワケで俺は
今日は彼女とゆっくり自宅で過ごす事にした。
仙人から授かったチート能力は
明日から少しづつ試していきたいと思います。
それじゃ、次回また会いましょう。
さよなら~。
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