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平安ブス

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秀吉がクラスメート達に
宣戦布告をした晩の
とある一軒家の2階。

「ハァ……ハァ……」

こけし顔のブサイク女が
ベッドの上で毛布にくるまり
ガタガタと震えていた。
この女の名前は木島明子(きじま あきこ)。
秀吉と同じクラスの人間である。
彼女は現在秀吉の復讐に怯えていた。

「どうしよう……
アイツ絶対私の事恨んでるよね……
絶対私に復讐しに来るよね……
だって私ちょっと前に
イタズラでアイツの弁当の中に
トリカブト毒仕込んじゃったもん……」

「あれはホントきつかった」

「!!???!!?」

突如近くで秀吉の声。
慌ててバッと起き上がり
部屋中を見回すが誰もいない。

(げ、幻聴……?)

そう思った矢先。

ガラガラ

「よぉ」

部屋にあった学習机の引き出しから
秀吉登場。

「きゃああああああ!!!!」

悲鳴をあげる木島。
そしてその悲鳴に気付いた
1階にいた彼女の母親が
2階へと上がってくる。

ダッダッダッダッダッ

ガチャ

「明子!?どうしたの!?」

「お母さん!!!
不審者!!!警察呼んで!!!」

木島はそう言いながら机に指をさす。

「不審者!?何言ってるの!?
誰もいないじゃない!!」

「え!?」

母親に言われて机の方を見ると
秀吉は消えていた。

「き、消えた!?
ついさっきまでここにいたのに!!」

「も~!悪い夢でも見てたんでしょ!
全く~心配しちゃったわよ~!
あんな大きい悲鳴あげて~!」

「ゆ……夢……かな……?」

「そうそう、夢夢
それより夕飯出来たわよ
下りてらっしゃい」

「……う、うん……」

木島は返事をし
母親の方に振り返る。

「!!!!」

木島は戦慄した。
なんと秀吉が母親の背後に
真顔で立っていたのだ。

「お母さん!!!後ろ!!!」

「失礼マダム」

トンッ

「はうっ!」

ドサッ

母親は秀吉の手刀を首に浴び
その場に倒れた。

「お母さん!!!」

「騒ぐなブス、気絶してるだけだ」

そう言うと秀吉はゆっくりと
木島の近くへと歩み寄る。

「よぉ木島……
俺がなぜここに来たかは当然分かるよな?」

「……ふ、復讐でしょ?」

「そうだ」

バッ

秀吉が答えた瞬間に
木島は土下座をした。

「……何のつもりだ?」

「ごめんなさい!!!
過去にアナタにやった行い
深くお詫び申し上げます!!!
どうか許してください!!!」

「………………」

「お願いします!!!
許してください!!!
何でもしますから!!!
あ、そうだ!!!ヤらしてあげる!!!
ね!!!それだったら許してくれるよね!?」

「ざっけんな!!!」

ビシィッ

「痛い!!!」

秀吉は懐から取り出した
節分の豆を木島の顔面に投げつけた。

「調子乗んじゃねぇぞアホ!!!
なぁにがヤらしてあげるよだ!!!
何が悲しくて己の様な"平安ブス"と
ヤらなきゃならねぇんだ!!!
罰ゲームかっつの!!!
3億貰えたとしても
てめぇとヤるのなんてお断りだっつの!!!」

「へ、平安ブス……!?」

「そうだ!!
平安時代にいそうな
のっぺり顔のブスで
平安ブスだ!!」

「ひ……ひどい!!」

「はぁ!?ひどい!?
ヘイヘイヘイ!!!
アナタが過去に僕にやった事に比べれば」
こんなもん可愛い方なんじゃ
ないでしょうかねぇ~!!??」

「う……」

「何なんですか!?
弁当にトリカブト毒って!!!
もうこれって
いじめやイタズラとかって
次元じゃないですよ!!!
犯罪ですよ犯罪!!!
俺じゃなかったら死んでたぞ!!!」

「うぐ……」

「あとそれだけじゃねぇ!!!
お前普段から※根元と一緒になって
ちょっと距離の離れた所から
俺の事ウザイだの気持ち悪いだの
言ってただろ!!!
あれはマジで不快だったぜ!!!
ブス2匹に気持ち悪いと言われる
俺の気持ち考えた事あるか!?
ねぇだろ!?おおん!?」

※10話登場。

「そういうワケで木島……
悪いけど俺はお前を許せねぇわ
ちょっとここらで
苦痛を味わってくれや」

「うぅ……な、何をする気!?」

ガタガタと震え出す木島。

「チートON"ゲテモノフルコース"」

木島の目の前にイナゴや芋虫や
ミルワームといった素材を
ふんだんに使った
10人前のゲテモノ料理と
60分にセットされたタイマーが出現。

「こ、これは!?」

「食え」

「え!?」

「制限時間は1時間
それ以内に食いきれなかったら
母親を殺す」

「!??!??」

「よ~い、スタート!」

カチッ

合図と共にタイマーが作動する。

「む、無理!!!
こんなの食べれない!!!」

「安心しろ全て食用だ」

「そういう問題じゃない!!!!
気持ち悪いから無理って言ってんの!!!!」

「お前が俺に食わせた
トリカブト毒よりは
マシだろうが!!!!!
いいから黙って食えや!!!!
母親殺してぇのか!!!???」

「う……うう……
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ガツガツガツガツ

料理をものすごい勢いで口に運ぶ木島。

(おえ~……マジに食ってるよ……)

ドン引きの秀吉。

「ガツガツモグモグ……
うっぷ……!!!」

食べている最中に
木島は吐きそうになった。

「おっと!!
吐いたらペナルティとして
またさらに料理を追加するからな!!」

「ッッッ!!!
ふぅ~!!ふぅ~!!」

木島は呼吸を整え嘔吐を回避。
そしてまた料理を口に運び出す。

ガツガツガツガツ

(しっかし……コイツマジにブスだな……
地球上にコイツよりブスな女って
存在するのかな……?)

料理を必死な形相で頬張る木島を
まじまじと眺めながら
秀吉はそう思っていた。
そしてそれから55分後………。

「ハァ……!!ハァ……!!
ごぢぞうざまでじだ……!!」

なんと木島は
10人前ゲテモノフルコースを
全て平らげた。

パチパチパチパチ

「ブラボー!!ブラボー!!
コングラッチェ~ショ~ン!!」

拍手をしながら木島を褒め称える秀吉。

「正直途中で
ギブアップするかと思ってたよ!!
まさか本当に食べ切るとはねぇ!!
これってつまり
それだけ母親を助けたいという思いが
強かったって事だよな!!
感動したよ!!ハハハ!!
全米が泣くぜこりゃ!!」

「ハァ……ハァ……
こ……これで……
過去の事を許してくれる?」

「ああ、許すよ"トリカブトの件"はな」

「……え?」

「ウザイだの気持ち悪いだの
言った件に関しては
まだ許してねぇからな」

「そ、そんな……!!」

「チートON"カンガルー"」

部屋に1頭のカンガルーと
5分にセットされたタイマー出現。

「木島……
コイツの腹のポケットの中に
5分間顔突っ込め」

「え!?」

「成功すれば今までの件は
全てチャラにしてやるよ」

「……あ……あの……
カンガルーのポケットって……」

「ああ、尋常じゃないくらい臭い」

「そこに……5分間……?」

「ああ、そうだ
あとそれからな
鼻止めて口で呼吸するなんて
愚かなマネはするなよ?
このカンガルーには
特殊なセンサーが付いてるから
そんな事やったら即バレるからな?」

「………………」

しばらく沈黙する木島。
それから少し経って口を開いた。

「……いいよ……5分間でしょ
やったろうじゃん……」

「がんば」

「ふ~……はぁぁぁぁい!!!」

ズポッ

カチッ

ポケットに顔を入れると同時に
5分間のタイマーが作動した。

「ヴォォォエエエエアア!!!!!
くっさぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

木島は顔を入れた瞬間絶叫。
ポケットの中は想像していたよりも
20倍程臭かったようだ。

「木島!!!吐くなよ!!!
吐いたら失格だぞ!!!」

「がぁぁぁぁぁ!!!
ぬぅぅぅん!!!ほぉぉぉぉぉ!!!
ヒッヒッフ~!!ヒッヒッフ~!!
ヒッヒッ……ヴォォォエエエエアア!!!!」

(そ……そんなに臭いのか………)

そう思いながら
やや青ざめた表情で木島を見つめる秀吉。

「ヴォア!!!ゲェハァッ!!!
がはぁぁぁん!!!フォッ!!!
ゲバルッ!!!ベェェェアッ!!!
ゴッフォ!!!………………………」

「ん?」

途中で突然木島の反応がなくなった。

「おい……木島どうした?」

「………………」

返事がない。

「………まさか………」

秀吉はポケットの中から
木島の顔を取り出す。

「!!」

木島は
あまりの臭さに耐えきれず
白目を向いて気絶していた。

「……やはり5分間は無理だったか………」

そう言いながら秀吉はゆっくりと
木島を床に寝かす。

「木島、チャレンジは失敗だけどよ
中々楽しませてもらえたから
今までの件は全て許してやるよ
それじゃあな」

秀吉はそう言い残して木島宅を出ていった。
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みんなの感想(2件)

朝ラー
2023.03.14 朝ラー

書きかけで送信してしまったので改めて書きます。
チートによる復讐行為がほぼ暴力だけでつまらない。

解除
朝ラー
2023.03.14 朝ラー

チートがほぼ暴力だけで終わってつまらない

解除
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