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- 23章 -
- 創始 -
しおりを挟む凄く嬉しいこと、たくさん言ってくれてるのに
凄く大事なことも、伝えてくれてる筈なのに
情報量の多さとあまりにもポンポンと進んでく会話に、ついていけない。
今はただ、添えられた手が暖かくて
頑張らなくて良いって言葉が優しすぎて
手放してしまったと思った物が
まだ直ぐ側にあってくれた事が嬉しくて
ずっと側に居たいと言ってくれて
自分に差し出される想いが
嬉しくて、安心をくれてー
「……もう、駄目なんだって思ってた」
漸く絞り出した声と共に、容量を超えた涙が安積の頬を次々とこぼれ落ちる。
「もう、1人なんだって思ってた。気を使って、優しくしてくれて、色々してくれてたのに、そんな事にも気がつかないで、酷いことして…頼る資格なんてないし、見放されたって思ってた」
「そんなわけないだろ。ばーか」
「お前は良く言ってくれたけど、俺、自分の事で手一杯で、色んな人を傷つけてばっかで、申し訳なくてー」
「誰でもそういう時はあるだろ」
「言えないこともたくさんあって、迷惑だっていっぱいかけたしー」
「そんなのしょうがないだろ。お前にかけられる迷惑なら喜んで受けるわ」
言葉を紡ぐ毎に止めどなく流れ落ちるそれを、一つ一つ市ノ瀬の親指が拭い去っていく。涙で滲むその目に輝く光がとても幻想的で、そこに映る自分の姿が今彼の心を動かしているのは他の誰でもなく自分なのだと、不謹慎にも市ノ瀬の中に幸せの粒を落としていく。
「なんでだよー」
「なにが?」
優しく頬を撫でるその指に、言葉にする不安や後悔を全て肯定と変えていく数々の言葉に、怖いくらいに救われていくのを痛いくらいに感じる。
どうして?
どうして?
自分の頬に触れるその腕を掴んで目を閉じた。
下らない嫉妬で悩んで落ち込んだあの時も
怖くて辛くて、発作をおこしたあの時も
目を覚まし、不安に怯えそうになったあの時も
そんな感情に揺れながら、同じベッドで寝たあの時も
そして目覚めたあの朝も
自分の気持ちに嘘をつき、班乃と2人話すその前も
そして、今日も、今もー
安らぎや勇気をくれたのは、いつだってこの温もりだった。知らず知らずの内に何度も差しのべられていた暖かさは、いつの間にか多くの物を与えてくれていて、手離す事なんて考えられないくらい、失くしてしまったたと考えただけで立ち上がれなくなりそうなくらい、大きな大きなものになっていてー
「なんで、そんなに、甘やかすんだよ…」
「好きなやつを甘やかさないでどうすんだ」
「1人じゃなにも出来ないやつになりそうで怖い」
「1人にしないから大丈夫」
「また迷惑かけるかも」
「いいよ、別に」
こっちは真剣に話してるのに、なんでそんなに嬉しそうに笑ってんだよ。もう、わけがわからない。
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