726 / 1,168
- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む『なんで今日なんだろ…』
別に月影が悪いわけじゃないのだけど、こうもあの日の事を思い出すような事が次々と起こると気が滅入っていく一方だ。
『とういか…』
自分でさえもこんななのに、月影本人はもっとしんどいのではないのだろうか?横目に見る顔からは微塵もそんな様子は見えず、むしろなんだかワクワクしているように見える。
『なんでこんな楽しそうにしてだろ?っていうか一体どこ向かってんのこれ…』
色々気にはなるが、一先ず…
「…ひじり」
「んっ?」
「お腹空いた」
「良いね! 我慢我慢っ!!」
「や、意味分からん」
意味分からない行動をするのはいつもの事ではあるけれど、今日はいつにも増してな気がする…
「まぁ、取りあえず安全運転でね」
「任せて!スタッドレスも履いてるし
聖との約束は死んでも守るよ!」
「ガス欠は起こさないでねっww」
色々と分からない事だらけだけれど月影があまりにもいつも通り…いや、それ以上に元気なお陰で暗くならずに居られるのはありがたい。
「…あのさ」
「なぁに?」
「…いや、どこ向かってんのかなぁって」
「もう直ぐだから、お楽しみに!!」
“聖はあの時の事どう思ってるの? ”
喉まで出かけた言葉は、気分良さそうにしている様子に飲み込まれた。わざわざ水を差す様な事を言うなんて無粋すぎる。
意味もなくダッシュボードを眺め時間を潰すこと数分。車はとある駐車場へと入っていった。
「ここ、どこ?」
「会社の駐車場だよ!」
「そう…で、あれはなに?」
「ふふっ! ほらっ、行くよー!」
笑って誤魔化し隅の一角に車を止めた月影が颯爽と車を降りていく。有無を言わせない行動に仕方なしに車を降りた安積はその後を追いかけるが、月影の向かう場所、その先の光景に興味と関わりたくない気持ちが競いあう。
「ねぇ、聖」
「なぁに?」
「あの人達誰?」
「会社の仲間だよっ!」
「そう。で、なにしてるの?」
「なにってー」
「「「あーーーっ!!!」」」
「ひっ!」
月影の言葉を遮るようにこちらに気がついた数人の叫び声が上がり、そのあまりの勢いに喉をひきつらせ思わず月影の後ろへ隠れる。
「ちょっと社長!急に居なくなってっ、一体どこ行ってたんですかっ!」
「言い出しっぺなのにいきなり居なくなるのどーかと思いますけどっ!?」
「ごめんごめんw」
「最後の仕上げは自分やるって息巻いてたのにっ!」
「まだ途中だしセーフでしょ!!」
「ってか、見てくださいよっ!!結構力作がぁー……って」
「「「……………」」」
0
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
徒花伐採 ~巻き戻りΩ、二度目の人生は復讐から始めます~
めがねあざらし
BL
【🕊更新予定/毎日更新(夜21〜22時)】
※投稿時間は多少前後する場合があります
火刑台の上で、すべてを失った。
愛も、家も、生まれてくるはずだった命さえも。
王太子の婚約者として生きたセラは、裏切りと冤罪の果てに炎へと沈んだΩ。
だが――目を覚ましたとき、時間は巻き戻っていた。
この世界はもう信じない。
この命は、復讐のために使う。
かつて愛した男を自らの手で裁き、滅んだ家を取り戻す。
裏切りの王太子、歪んだ愛、運命を覆す巻き戻りΩ。
“今度こそ、誰も信じない。
ただ、すべてを終わらせるために。”
僕のポラリス
璃々丸
BL
陰キャでオタクなボクにも遂に春が来た!?
先生からだけで無く、クラスカースト上位の陽キャ達も、近隣に幅を効かせる不良達からも一目置かれるまるで頭上の星のようなひとだ。
しかも、オタクにまで優しい。たまたま読んでいたボクの大好きなコミック「恋色なな色どろっぷす」を指差して、「あ、ソレ面白いよね」なんて話しかけられて以来、何かと話しかけられるようになっていった。
これだけだとたまたまかな?と思うけど距離も何かと近くて・・・・・・コレ、ってボクの勘違い?それとも?
・・・・・・なぁーんて、ボクの自意識過剰かな。
なんて、ボクの片思いから始まる甘酸っぱいお話。
みたいなBSS未満なお話。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる