Pop Step

慰弦

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- 26章 -

- 幸せの貌 -

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「あー、楽しかったぁー!やっぱ良いな、こーゆーの!クラレンスカッコいいし、メアリー可愛い!」

「シスターアロマもなかなか良いキャラしてるよな。お前が歳取ったらこーなりそう」

「…誉めてんだよなそれ?」

「勿論」

「ありがとうw なんていうか、これこそ“革命”って感じっ!」

「そうだな、これこそ “革命家” だなw」

「かく……あっ、違っ! そーゆー意味じゃなかったんだけどっ!!そこは触れないでおこww」


計らず今世間を騒がせている革命家を彷彿とさせる流れとなり意図的にストップをかけた。革命家というより、その親玉が…なのかもしれないけれど。凡そ平凡な人生を歩んできた自分の理解を越える彼独自の持論でウンチ扱いされるのはちょっと嫌だ。

触らぬ神に…というやつだ。

そんな事より。

明かりをつけるとうっかりそのままにしてしまっていた食器を持ち流しへと向かう市ノ瀬の背中を追いかけた。


「やるよ。これだけだし」

「うん、ありがと」

「……」

「………」

「なに? どうした?」 

「あっ、えっと…なんでも、ない」


市ノ瀬の後ろに立ち最初の頃とくらべ手際よく洗い物をしている背中を無言で眺める。それは無言で居たかったわけではなく、ただなかなかに言いづらく言葉が出てこなかったというだけなのだけれど。

なんでもないと言いつつも何かを言いたそうにしている安積へ不思議そうな目を向けながらも言及する事はなく、すべての洗い物を終え手を拭いた市ノ瀬は改めて安積へと向きなおった。


「で? なにか言いたいことあんるだろ?」

「それは、まぁ、その……」

「…………」

「………なに、すんだよ」

「緊張ほぐしてやろうかと」


視線を泳がせ言い淀む安積の頬を両手で挟み込みうりうりと動かすと、心なしか力が抜けたように肩が降りた。

『なんか、小さい子供相手をしているみたいだな』

とは言えなにがあって緊張していたのかは分からないが、解れたのなら一陽来復と言うものだった。


「ただ、その、あれだ。……この後お前、どーするのかなって…帰っちゃうのかなって…聞こうと思って」


そんな市ノ瀬の気づかいのおかげでようやく口に出来た言葉だったけれど、それはまるで、とある場面で良く聞く、含みのこもった “ まだ帰りたくないの ” という誘い文句の逆バージョンのようで…

全力で、まったくもって、1ミリも、なんっにも期待していない、とは言えないだけに、恥ずかしさやら不安やらで地面が不安定に揺れているように感じる。更にはチラリと垣間見えた少し困ったような顔に様々な不安が押し寄せた。
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