842 / 1,168
- 26章 -
- 幸せの貌 -
しおりを挟む「あー、楽しかったぁー!やっぱ良いな、こーゆーの!クラレンスカッコいいし、メアリー可愛い!」
「シスターアロマもなかなか良いキャラしてるよな。お前が歳取ったらこーなりそう」
「…誉めてんだよなそれ?」
「勿論」
「ありがとうw なんていうか、これこそ“革命”って感じっ!」
「そうだな、これこそ “革命家” だなw」
「かく……あっ、違っ! そーゆー意味じゃなかったんだけどっ!!そこは触れないでおこww」
計らず今世間を騒がせている革命家を彷彿とさせる流れとなり意図的にストップをかけた。革命家というより、その親玉が…なのかもしれないけれど。凡そ平凡な人生を歩んできた自分の理解を越える彼独自の持論でウンチ扱いされるのはちょっと嫌だ。
触らぬ神に…というやつだ。
そんな事より。
明かりをつけるとうっかりそのままにしてしまっていた食器を持ち流しへと向かう市ノ瀬の背中を追いかけた。
「やるよ。これだけだし」
「うん、ありがと」
「……」
「………」
「なに? どうした?」
「あっ、えっと…なんでも、ない」
市ノ瀬の後ろに立ち最初の頃とくらべ手際よく洗い物をしている背中を無言で眺める。それは無言で居たかったわけではなく、ただなかなかに言いづらく言葉が出てこなかったというだけなのだけれど。
なんでもないと言いつつも何かを言いたそうにしている安積へ不思議そうな目を向けながらも言及する事はなく、すべての洗い物を終え手を拭いた市ノ瀬は改めて安積へと向きなおった。
「で? なにか言いたいことあんるだろ?」
「それは、まぁ、その……」
「…………」
「………なに、すんだよ」
「緊張ほぐしてやろうかと」
視線を泳がせ言い淀む安積の頬を両手で挟み込みうりうりと動かすと、心なしか力が抜けたように肩が降りた。
『なんか、小さい子供相手をしているみたいだな』
とは言えなにがあって緊張していたのかは分からないが、解れたのなら一陽来復と言うものだった。
「ただ、その、あれだ。……この後お前、どーするのかなって…帰っちゃうのかなって…聞こうと思って」
そんな市ノ瀬の気づかいのおかげでようやく口に出来た言葉だったけれど、それはまるで、とある場面で良く聞く、含みのこもった “ まだ帰りたくないの ” という誘い文句の逆バージョンのようで…
全力で、まったくもって、1ミリも、なんっにも期待していない、とは言えないだけに、恥ずかしさやら不安やらで地面が不安定に揺れているように感じる。更にはチラリと垣間見えた少し困ったような顔に様々な不安が押し寄せた。
0
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
刺されて始まる恋もある
神山おが屑
BL
ストーカーに困るイケメン大学生城田雪人に恋人のフリを頼まれた大学生黒川月兎、そんな雪人とデートの振りして食事に行っていたらストーカーに刺されて病院送り罪悪感からか毎日お見舞いに来る雪人、罪悪感からか毎日大学でも心配してくる雪人、罪悪感からかやたら世話をしてくる雪人、まるで本当の恋人のような距離感に戸惑う月兎そんなふたりの刺されて始まる恋の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる