Pop Step

慰弦

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- 26章 -

- 幸せの貌 -

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『そんなん、もう』

駄目なわけがない。

安積の背中を支えながらソファーの上にゆっくり体を寝そべらせるとその要望に応えていく。
息を切らさないよう呼吸の隙を作りつつ、1回と言わず何度も重ね合わせた。

それはまだ子供のようなモノだったけれどそれで良い。焦らずゆっくりと歩みを進めて行く方が良いと、そう思っていたから。

『ーでも、これは』


「むっ、むつきっ!ちょっ、ちょっと待ってっ」

「なに?」

「ちょっとっ…」

「ぅん?」

「ちょっと…ヤバい、かも……」

「ヤバい…? なにが?」


意地悪な事を言っているとは思う。
徐々に表れていた安積の変化には気がついていたし、なにがと聞かなくても分かっていた。

でも、聞かずには居られなかった。


「それはそのっ……ちょっ、ちょっとトイレっ!!」

「なんで?」

「なんでってっ……えっとっ……」


折り重なるようにソファーに体を預け触れ合った箇所から感じる ” ソレ ” に、安積へと抱いていたイメージがガラガラと音を立てて崩れていく。

勝手に純真無垢みたく思っていたけれど
それは全て外れているわけではないけれど
そうじゃない所も勿論あったということで。

でもそれは悪いことではなくて
ちょっと、いや、かなり嬉しい誤算でもあって…
ただ、中々の試練を与えてくるなぁと
頭を悩ませてくる。

『まだ、キスしかしてないのに…』

本当はこのまま何も気がつかないふりしてトイレに立たせてあげるのが紳士的なのだろうけど。
そうしてあげたいのは山々なんだけれど。

少しだけ上体を起こした市ノ瀬はテーブルに置かれた電気のリモコンへ手を伸ばし照明を落とした。


「っ!? 睦月っ!?」


『…めっちゃ焦るじゃん』

起き上がろうとする安積を片手で制して再び上体を元に戻すと、押し退ける様に両手が胸元へとあてがわれるが躊躇があるのかその力はか弱い。


「なっ、なにっ!?なにしてんのっ!?」

「そんなに焦るってことは、なんとなく分かってんだろ?」

「っ、それ…はっ……」


思わぬ誤算に頭を悩ませながらも、安積でもそんな事を考える時があるという事実にどうしようもなく心がざわつく。

一体彼の頭の中では、自分達で、どんな事を、どれくらいまで、考えているのだろうか?
彼の頭の中では、自分達はなにをしているのだろう?
聞いてみたい思いが顔を出すけれど、取り合えず今は押し込めておくことにする。

それと同じくして安積のそんな事実に思っていたよりも早くにコトを進める事が出来るかもしれないという喜びも沸々と沸き上がった。
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