やせ男とアイちゃん

こんさん

文字の大きさ
4 / 6

やせ男とアイちゃん その4

しおりを挟む
「加藤君、加藤君、ちょっと、ちょっと」

突然、同じ職場のおばちゃんに拉致される。

「加藤君、スポーツジムに通い始めたんだって?」

なんて耳の速さだ。

「アイちゃんも一緒に行ってるとか?」

お前は家政婦か!

「良く知ってますね~」
「でも、たまたまですよ。たまたま」

おばちゃんは、ニヤニヤしながら、

「なんだかんだで、仲いいんじゃない~?」

(「なんだ」と「かんだ」の中身が知りたいわ!)

「ほんと、偶然ですよ」

「いいのよ、隠さなくても。うふっ」

隠すって、何を妄想してるのか、気になるわ!
しかも、リアルに「うふっ」って初めて聞いた。

「いや、ねぇ~」
「この前、佐々木君がでっかい声でね」
「アイちゃんのことを、デカ女だの、痩せれば少しは見られるのになぁ、とかふざけて話してたのよ」
「それを、アイちゃんが聞いちゃって」
「それでジム?ってねー、はっはー」

(いやそれ、全然面白くないし)

「そんなことがあったんですか~」
「それは嫌ですね~、セクハラですよ~、はっはー」

適当に合わせて、早々に脱出を図る。
この手の人達に関わると、大抵は不要な被害を被る。

さて…問題の佐々木君。

何処の会社にも、必ず一人は居ると思われる、職場のイケメン君。
そして、絵に描いたように、軽~い。

しかし現実は、世の中見た目がモノを言う。

若い子達には、絶大な人気だ。

(そっかぁ。アイちゃんも、人の子だったかぁ)

(イケメンの一言が、それほどショックだったんだね…)

(まぁ、分からなくも無いよ)
(俺は慣れっこになってるけど…ふっ)

また、朝から自虐。

遠くの席で、佐々木君と永瀬さんが楽しそうに、「キャッキャッ」言いながら話してる。

(いいなぁ…あのポジションには、俺は行けないなぁ…)

そしてまた自虐。


「おはようございます」

真横にアイちゃん。

うわっ!

「お…おはようございます」


「…」

(だから、この沈黙怖いんだって!)

と、心で叫ぶ。


「さ…沢口さん、ジムはどうですか?」

「普通です」

ふむ…次の会話が出てこない…


「話してくればいいんじゃないですか?」

「はい?」

「羨ましそうな顔になってますよ」

「なっ…何を言ってるのか…はっは」

そう言うと、スタスタと視界から消えていく。

(な…何を言ってるんだ!)

(なんてデリカシーの無い女だ!)

(おい!アイ!お前のことだよ!)

と、心で叫ぶ。


しかし…

あの威圧感、欲しいっす…


続く…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

処理中です...