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24話 弟の好きな人って飛鳥君なのか!?by 黎
しおりを挟む「えっと…な、なに?」
「嬉しい」
飛鳥君はそういっておれの手を握る。
え?どういうこと?
混乱でハテナがいっぱいになった。
なんで…手を握ってくるんだ?
「えっと…飛鳥君…「朝から亮君に会えて嬉しいんだ。また一緒にご飯が食べれることも…ほんと、夢みたいなんだ。本当にありがとう。」
お礼を言われてしまった…。
そんなにおれたちとお弁当を食べたかったのだろうか?
「えっと…飛鳥君っ。」
『おれも嬉しいよっ』
と答えようとしたが────
鋭い視線を感じ言葉が出なくなった。
…あぁ、見なくてもわかる。
弟の───視線だ。怖ぇ。
めっちゃ睨んでいるに違いないっ。
「飛鳥君!もう授業が始まる時間だよっ!早く教室に戻ろうよっ。」
パッとおれと飛鳥君の手を弟が離してきた。
そして、俺の手をバンっと叩いた…っ!
…いってっ!!
弟はバイバーイといって俺を睨みつけていた。
飛鳥君は逆ににこにこと笑顔で
教室をでていった。
何というか…嵐が去った感じだっ。
はぁっとため息をついていると黎が話しかけた。
「…最終的におれは一緒に昼ご飯を食べていいのだろうか…?」
「…いいんじゃない?あ、でも途中でおれと黎は抜けよう。」
「…えっ?」
黎はきょとんと首を傾げる。…?
わからないのか…?
「…二人っきりにしたほうがいいだろう?飛鳥君と弟。」
「…なぜ?」
なぜって…そりゃっ…
「勇太が…飛鳥君のことが好きだからさ、まぁ兄として少しは協力してあげようっていう…」
「好き?」
黎は『えっ』といってびっくりしたような顔をした。えっ?そんな驚く?
もしかして…わかってなかったのか!?
「えっと…勇太が飛鳥君のこと好きって…もしかして、気づいてなかった?」
黎はポカーンとして俺を見ていた。
「…あぁ。」
と頷いて目を丸くしていた。
まじか…?あんなにわかりやすいのに!?
「まじで!?わかってなかったのか!?嘘っ!だって勇太、飛鳥君の前だと明らかに態度が違うだろ!?本当に!!?」
逆に尋ねてしまった。
「…確かに、亮の弟は飛鳥君に対しては態度が変わりすぎているとは思った…けど…。」
黎はそういうと俺から視線を逸らした。
「…作り物、のように見えるんだ。何か…演じているように感じてしまった…。」
演じて…?まぁ確かに弟はキャラを演じているけど。
「キャラ演じるのは好きな人によく見られたいからだろ?だから、あんなキャラ演じてんだよ。見てて気持ち悪いけど。」
黎はピンとこないらしくうーんと悩んでいた。
「…本当に?そうなのか?おれは…信じられないんだ。亮の弟が飛鳥君のことが好き、ってことに。」
「そうかな?」
「だって…好きな人には自分の素を出したいと思うだろ?どんなに繕おってもいつかバレてしまう。
なら好きな人だからこそ自分の嫌な部分を
出していったほうがいいと、思うし。」
黎はうーんと頭を抱えてした。そんな黎におれは尋ねた。
「黎は違うと思うのか?…勇太が飛鳥君を好きだって思わないのか?」
「…おれはそう思う。だって熱意が感じられない。」
「熱意?」
「…あぁ。」
黎はそういうと俺をじっと見た。
え?何?
「俺が思うに…弟は飛鳥君よりも
お前の方が好きだと思うぞ?」
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