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飛鳥告白編

13話 僕たち、友達になろう

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「え?」

飛鳥君はそういうと真剣な顔をしておれを見る。

「好きじゃない?」

飛鳥君はショックそうに顔を青くした。

「おれっ…弟のこと関係なく…飛鳥君とは付き合えない…。おれは飛鳥君のことそういう好きとは見れないんだっ…。」

「…なんで?」 

飛鳥君の声を聞き恐る恐る目線を飛鳥君の方に向けると飛鳥君が青い顔をしていた。

「なんで?なんで?おれじゃだめなの?どうして?おれ…前のおれじゃないんだよ?前みたいに嫌われてない、いじめられてもないんだよ?クラスの人気者なんだ。なんで?どうして?」

飛鳥君の声がどんどん大きくなる。

「なんで!!どうして!?ねぇ、亮君!!」

がっとおれの肩を掴む。おれはそのまま倒れ込んでしまう。

「うっ…」

そのまま押し倒される形になる。おれは動けず飛鳥君の様子を見ることしかできない。


「おれは…今が好きだから。今の関係を変えたくないっ。だからっ───」

「──────あ、わかった。」

飛鳥君はそういうと真っ青な顔が変わる。


「────黎君のせい?」


「え?」

「黎君が悪いんだよ。亮君の友達になるから。亮君はずっと一人でいればよかったのに…。」

「ひと…り?」

何をいってるんだ?飛鳥君は…。

「あのくそがっ…!黎黎黎黎黎黎黎黎黎黎黎!!あいつ…おれの邪魔ばかりしやがって…!!」

そういうとおれの顔を手でぐっと掴む、そしてつねった。

「誓ってよ。」

「え?」

「ぼくと友達になろう。

僕はね、君の隣に立てればどんな形でもよかったんだ。君のそばで一生一緒にいるよ。───友達として。」

あはあはっ!と飛鳥君は笑う。奇妙な笑みを浮かべるんだ。

「それでいい。だから、黎君なんて捨てよう?」 

「いっ…嫌だっ!」

「嫌だ…?」

そういうと飛鳥君はおれの顔を殴った。

「ぐっ…!!」

おれはびっくりしてそのまま息を吐く。

「嫌じゃないよ。黎君なんてどこがいいの?何かあったとき君のこと守ってくれないよ?逃げるよ?ねぇ、」

「それでも…おれは黎と一緒にいることが好きなんだ…!落ち着くんだ…おれの大切な友達なんだ…!!」

友達…そう飛鳥君は呟きはっと笑い出す。

「そっか。なら仕方がない。」

そういうと飛鳥君はおれを優しく抱きしめた。

「なら、黎君はおれがなんとかしてあげる。大丈夫、亮君は何もしなくていい。僕が頑張るから。君を守るから。そのために僕は、なんでもしてあげる。」

…飛鳥君が怖い。そして、黎に何をするつもりなのか…それが怖かった。

「黎になにかするつもりか?そんなことしたら…飛鳥君でも許さないっ」

「綺麗な目。だけど───」

飛鳥君はそういうともう一発おれの腹に蹴りをいれた。

「────…亮君は何もできないよ。」

「ぐっ…ほっ!」

「かわいいっ…かわいいっかわいいっかわいいかわいいっかわいいっかわいいっかわいいっかわいいっかわいいっかわいいっかわいいっかわいいっかわいいっ!!」

飛鳥君はそういっておれを大切そうに抱きしめた。

「────好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き!!大好き大好き大好き大好き大好き!!このときをずっと待ってた!僕と一緒にいようね!もう、君を離さないから!!」

飛鳥君はにこっとおれを見ると俺の唇に舌を落としなめる。

「ぢゅるっ…おいしいっ!亮君、おいしいっ!かわいい!!」

飛鳥君が───怖くなっておれはもう、拒否すらできなくなっていた。

唇どころか口の中をかき回される。

「んっ…くっ…くちゃつ…じゅるっじゅるるっ…」

知らない音がどんどん口の中で流れる。あぁ…なんだ、これ。


「かわいいっかわいいっかわいいっ…」


─────飛鳥君の声を聞きながらおれは弟のことを考えていた。
なんで…おれ、こんなことになってる?
勇太、お前飛鳥君のこと好きだっていっけど…お前の恋なかなか難しそうだぞ?

そしておれも甘くかかってた。こんなことになるとは思ってなかった。


「ちゅっ…じゅるっじゅるるっ…んっ!くっ…。」

「────何、よそ見してるの?」


飛鳥君の声が聞こえる。そして、言う。



「そんな亮君には────お仕置きが必要だね♡」


笑いながら飛鳥君はおれを大切そうに抱きしめ




「───────亮君は僕のものだ」

そういって笑ったんだ。

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