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飛鳥告白編
21話 勇太さん…ごめんなさい…
しおりを挟む…何をいってるのか、わからず、おれは頭の中がくらくらした。
…なにをするんだ?
ばきっ!!
音がした、と思ったらおれ指が有り得ない方向へと曲がっていた。
「いっ…だぁぁっ!!!やめ、やめろぉっ!!!ぐっ…あぁあぁっ!!!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
激痛が走ってボロボロと涙がこぼれる。
「指が手足合わせて…あど19本。はい、もう一本」
「ぐ、いや、いたっ、っひっ、ぐわぁぁっ!!!」
「痛い?」
「痛い痛い痛い痛い痛い~~~!!」
「ごめんなさいは?」
「…え?」
「勇太さんのお兄ちゃんをとってごめんなさい、はいいって。」
「え、なっ…」
「言わないの?」
ばきっ!!
「ぐっいぁっ!!!いう、いうからぁっ!!!」
ばきっ!!
「ごめん、聞こえなかった。」
「ご、ごめんなさい。」
「声が小さい、『ばきっ!!』」
「ぎぁっ!!!いたっぁ!!」
「勇太さんのお兄ちゃんを、とって、『ばきっ!!』いだぁっ!!」
「もーと大きな声で?」
「ごめんなさい!!勇太さんのお兄ちゃんを取りました!」
そういうとおれの右手を置く。
と思ったら左手を取り出す。
ばきっ!!ばきっ!!ばきっ!!ばきっ!!ばきっ!!ばきっ!!ばきっ!!ばきっ!!
「う、うわぁっ───!!!いた、いた、いたい、いたい───!!や、やめ…────!!」
「あー、面白い♡人の手を潰すのって面白い。
もう、お兄ちゃんを触れない体にしてあげる。全部の骨、折ってあげる。
もう、お兄ちゃんのこと忘れて─────おれという恐怖だけ、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと残してあげる。」
ばき、ばき、ばき、ばき、ばき、
「いたい、いたぁっっっあああ~~!」
おれの身体がいろんなところで悲鳴をあげ、もう、何もかも残らない。
おれの体の骨という骨がどんどん折られていく。もう、自分の体ではなくなったみたいだ。
そして、呪文のように、声が響く。
その声に合わせておれは声を出す。
「すみません、すみません。
ご、ごめんなさい。ごめんなさい。勇太さんのお兄ちゃんをとってすみません。
もう、おれは生きていく権利はありません。すみませんすみませんすみませんすみません、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
もう、何もかもわからない。
ただただ体も精神もすべての悲鳴が聞こえる。
身体が震え恐怖で自分が死んでいく。
──────死ぬってこういうことだったのか?
「あ~、もう、君で遊ぶのは楽しくない!もう、いらないよ!」
あはっと笑った勇太さんの笑顔はまるで悪魔のようだった。
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい…。」
自分がなんなのか、何をしていたのか、わからなくなる。
けど、一つだけ、わかっているのは───
───────勇太さんに、逆らってはいけないという、絶望。
「…じゃあ、僕はもういくから。楽しませてもらったよ。」
勇太さんはそういうとにこっと笑っておれを見る。
「バイバーイ。もう、お兄ちゃんに会うことはないよ。二度とね。」
その声が、あはは!!と笑う表情が…中学のときのことを思い出す。
「いや…だ。」
おれは昔、みたいにはならないと決めたのに─────何も変えられなかった。
「あっ~~~!!おれっ…いやだっ…亮君っ…亮君っ…!!」
おれの声だけがそこに残った。勇太さんの姿はもうなくなっていた。
ごめん、亮君。おれは今も昔も何も変わらないらしい。ごめん、ごめんね。
「亮君…好き、好きだよ…。」
もし、願いが一つ叶うのなら───
「また、亮君に、会いたいよ…。」
ただ、好きだっただけなのに。
ただ、友達でいたかっただけだったのに。
どうして…こんなことを、してしまったんだろう。
「…亮君っ、逃げて…。」
でも、今は───亮君が勇太から逃げてくれていることを祈るしか考えることは出来なかったのだ。
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