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監禁編
19話 自分で刺した
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「…それ、おれなんかに話してよかったのか?」
「いい。おれが話したくて話したことだ。だから飛鳥君は気にしなくていい。」
「…そうか。」
人を刺す?黎君が…?そんな、殺人紛いなことを黎君が…?
信じられなかった。
「…本当はそんなことしたくはなかったんだ。」
「え?」
「罪悪感があったから。…だから、人を刺すときには敬意は払った。人を刺す分───自分を刺して自分の過ちを消すことにしたんだ。」
「…自分を、刺す?」
「これで────平等だと思ってる。」
平等…。黎君の言っていることはおれにはよくわからなかった。
けど…黎君の真剣な表情を見て黎君は本気であることはわかった。
それとともに───黎君のお腹から包帯のようなものが見えた。
…その、包帯は、なんだ?
「…黎君、お腹包帯をしてあるけど…それは…」
「あぁ。これは───自分で刺した。」
「刺しっ…?」
予想外の答えが返ってきておれは驚きを返せなかった。
「おれは亮の弟の腹にナイフを刺してしまった。
だから────自分の腹にもナイフを刺したんだ。」
…勇太君を刺した?黎君が…?
「ど、どうして…?」
「どうして?それは亮を守るためだ。」
「亮君を…?」
「亮の弟は…亮を監禁すると思った。だから…腹を刺して動けなくしてしまえばいいと思ったんだ。
そうすれば───亮は監禁されなくてすむ。」
「…」
─────黎君にはそのような考えがあったのか。
確かに…それはそうだ。
監禁しないようにするにはさせないようにすればいい。
けど…それは、おかしいと思う。
だからといって人を傷つけてはいいのか…?と考える。
だめ…に決まっている。
けど…そのような選択を取ったのは黎君だけではない。
勇太君も─────そして、亮君も、そのような選択を取っていた。
忘れもしない、中学のころ。
勇太君は、亮君を守るため、いや、自分のものにするために
───────すべてを捨てた。
そして、それは亮君も同じだった。
人を守るためには他の人がどうなっても構わない。
だって…そうさせた、人が悪いのだから。
「…おれは間違っていると思う。」
「…そう、だろうな。おれも…そう、言われた。」
黎君はそういって笑った。
「おれは狂っているのかも。」
…狂っている。そう、黎君はいった。けど…おれはあまりそうとは感じられなかった。
だって…もっと狂っている体験をしたから。
意味がわからなくなるほど狂った日々をただただ送っていたのだから。
「…でも、それでいいと思うよ。それが黎君のいいところだと思う。」
「…そうか。」
黎君はそういうとおれにはなす
「いや、長々すまない。そのような話をするために来たのではなくて…!」
「…え?」
「亮は大丈夫だってことを伝えにきた…!」
「…え?」
「亮は今日、学校に来たんだ。
だから、監禁されなかったんだ。それを伝えようとして…」
「…え?」
監禁…されなかった?
「それは…本当に?」
「あぁ。本当だ。だからもう、心配しなくても大丈夫だぞ。飛鳥君にそれだけは伝えなければと…思って来たんだ…!」
「…あ。」
そっか…。亮君は監禁されなかった。
…よかった。
もう、会えないかと思った。
おれのせいでまた、亮君を監禁させてしまったのかと…。
…本当によかった。
体が浮いたように感じた。嬉しくて身体が震える。よかったという気持ちと過去の過ちがぐちゃぐちゃになってもう、どうにかなってしまいそうだ…。
よかった。
亮君の姿を見れると思ったらただただ嬉しくて嬉しくて…
心が─────溶けていった。
おれの心は解けそれは涙と変わりポロポロと落ちていった。
「…飛鳥君、泣いている…のか?」
「…あ。」
黎君にそう言われ自分の目から涙が零れているのを知る。
おれは、バカだな。
「いい。おれが話したくて話したことだ。だから飛鳥君は気にしなくていい。」
「…そうか。」
人を刺す?黎君が…?そんな、殺人紛いなことを黎君が…?
信じられなかった。
「…本当はそんなことしたくはなかったんだ。」
「え?」
「罪悪感があったから。…だから、人を刺すときには敬意は払った。人を刺す分───自分を刺して自分の過ちを消すことにしたんだ。」
「…自分を、刺す?」
「これで────平等だと思ってる。」
平等…。黎君の言っていることはおれにはよくわからなかった。
けど…黎君の真剣な表情を見て黎君は本気であることはわかった。
それとともに───黎君のお腹から包帯のようなものが見えた。
…その、包帯は、なんだ?
「…黎君、お腹包帯をしてあるけど…それは…」
「あぁ。これは───自分で刺した。」
「刺しっ…?」
予想外の答えが返ってきておれは驚きを返せなかった。
「おれは亮の弟の腹にナイフを刺してしまった。
だから────自分の腹にもナイフを刺したんだ。」
…勇太君を刺した?黎君が…?
「ど、どうして…?」
「どうして?それは亮を守るためだ。」
「亮君を…?」
「亮の弟は…亮を監禁すると思った。だから…腹を刺して動けなくしてしまえばいいと思ったんだ。
そうすれば───亮は監禁されなくてすむ。」
「…」
─────黎君にはそのような考えがあったのか。
確かに…それはそうだ。
監禁しないようにするにはさせないようにすればいい。
けど…それは、おかしいと思う。
だからといって人を傷つけてはいいのか…?と考える。
だめ…に決まっている。
けど…そのような選択を取ったのは黎君だけではない。
勇太君も─────そして、亮君も、そのような選択を取っていた。
忘れもしない、中学のころ。
勇太君は、亮君を守るため、いや、自分のものにするために
───────すべてを捨てた。
そして、それは亮君も同じだった。
人を守るためには他の人がどうなっても構わない。
だって…そうさせた、人が悪いのだから。
「…おれは間違っていると思う。」
「…そう、だろうな。おれも…そう、言われた。」
黎君はそういって笑った。
「おれは狂っているのかも。」
…狂っている。そう、黎君はいった。けど…おれはあまりそうとは感じられなかった。
だって…もっと狂っている体験をしたから。
意味がわからなくなるほど狂った日々をただただ送っていたのだから。
「…でも、それでいいと思うよ。それが黎君のいいところだと思う。」
「…そうか。」
黎君はそういうとおれにはなす
「いや、長々すまない。そのような話をするために来たのではなくて…!」
「…え?」
「亮は大丈夫だってことを伝えにきた…!」
「…え?」
「亮は今日、学校に来たんだ。
だから、監禁されなかったんだ。それを伝えようとして…」
「…え?」
監禁…されなかった?
「それは…本当に?」
「あぁ。本当だ。だからもう、心配しなくても大丈夫だぞ。飛鳥君にそれだけは伝えなければと…思って来たんだ…!」
「…あ。」
そっか…。亮君は監禁されなかった。
…よかった。
もう、会えないかと思った。
おれのせいでまた、亮君を監禁させてしまったのかと…。
…本当によかった。
体が浮いたように感じた。嬉しくて身体が震える。よかったという気持ちと過去の過ちがぐちゃぐちゃになってもう、どうにかなってしまいそうだ…。
よかった。
亮君の姿を見れると思ったらただただ嬉しくて嬉しくて…
心が─────溶けていった。
おれの心は解けそれは涙と変わりポロポロと落ちていった。
「…飛鳥君、泣いている…のか?」
「…あ。」
黎君にそう言われ自分の目から涙が零れているのを知る。
おれは、バカだな。
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