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至福の時間は、あまりにも短かった。
高級な羽毛布団に包まれ、意識を深い闇へと沈めていたミュークオの耳に、執拗なノックの音が響く。
それはまるで、平穏な老後を約束された退職者の家に押し寄せる、血気盛んな取り立て屋のような不吉なリズムであった。
「……アンナ。私は昨日、不法侵入者は書類送検すると言ったはずよ」
布団の中から、地を這うような低い声が漏れる。
部屋の隅でガタガタと震えながら、侍女のアンナが申し訳なさそうに声を絞り出した。
「も、申し訳ございません、ミュークオ様! ですが、門前に、その、カイル・フォン・ランバート宰相閣下が……」
「宰相? ああ、あの仕事中毒(ワークアホリック)の眼鏡ね。放っておきなさい。どうせ『予算案の計算が合わない』とか『外交文書の翻訳が間に合わない』とか、そんな泣き言でしょう。私はもう公務員ではないの。ただの、無職の、最高に自由な令嬢なのよ」
ミュークオは枕を頭に乗せ、外界との遮断を試みた。
しかし、次の瞬間、寝室の扉が「失礼する」という短い断りとともに、音を立てて開け放たれた。
「無職とは冷たい言い方だな、ミュークオ嬢。君のような稀代の才女が市場に放流されたと聞いて、私は昨夜、三回ほど祝杯を挙げさせてもらったよ」
聞き慣れた、低く理知的な声。
ミュークオが渋々枕をどけると、そこには完璧に整えられた軍服姿の青年、カイルが立っていた。
その手には、不吉なほど真っ白な、そして公的な香りのする紙束が握られている。
「……閣下。人の寝室に土足で踏み込むのが、今の王国の流行りですの? それとも、宰相の権限には『令嬢の睡眠を妨害する権利』でも含まれているのかしら」
ミュークオは寝起きのボサボサな髪を隠すこともせず、ベッドに座り直してカイルを睨みつけた。
カイルは不敵な笑みを浮かべ、手に持った紙をこれ見よがしに振ってみせる。
「不法侵入の件については、後でいくらでも謝罪しよう。だが、それよりも緊急性の高い案件がある。これを見てくれ」
「嫌です。文字を見るだけで蕁麻疹が出そう。私は今、活字アレルギーなんです」
「そう言わずに。これは君が一番好む『極めて合理的で、利潤の高い契約書』だ。……タイトルは、『婚姻届』。夫の欄にはすでに私のサインがある」
部屋の中に、沈黙が降りた。
アンナが「ひえっ」と短い悲鳴を上げて口を抑える。
ミュークオは、数秒間、カイルの顔と紙束を交互に眺め、それから優雅に欠伸をした。
「閣下。仕事のしすぎで脳に酸素が回っていないようですね。それとも、新しい冗談のジャンルを開拓中かしら。婚約破棄されてから十二時間も経っていない女に求婚するなんて、効率が悪すぎますわ」
「いや、最高に効率的だ。君を皇太子妃という『飾り物の椅子』から引きずり下ろすために、私はどれほど裏工作……いや、準備を重ねてきたと思っている」
カイルは一歩、ベッドに歩み寄った。
その瞳は、恋する男の情熱というよりは、有能なビジネスパートナーをスカウトしようとする冷徹な投資家のそれに近かった。
「君は知っての通り、あのレオポルド殿下は、君が去った後のデスクにある『やるべきことリスト』を見て、泡を吹いて倒れた。リリィ嬢はリリィ嬢で、予算案の羊皮紙を『お花の折り紙』にして遊んでいる。王宮の事務機能は、あと四十八時間で完全に停止するだろう」
「あら、おめでとうございます。バカンスの始まりですわね」
「笑い事ではない。私は自分の睡眠時間を削ってまで、他人の尻拭いをする趣味はない。そこで提案だ。ミュークオ・ド・ベルシュカ。私と結婚しろ。そうすれば、君には以下の特権を約束する」
カイルが指を一本立てる。
「第一に、王宮への登城義務の免除。君は私の『影の相談役』として、自宅でパジャマのまま、好きな時に好きなだけ書類を捌けばいい。第二に、最新の計算機と、君専用の特製ティーセットの支給。そして第三に……」
カイルはそこで言葉を切り、ミュークオの目を真っ直ぐに見つめた。
「……一日の最低睡眠時間、十時間の完全保証。これを国法に優先する『家訓』として契約書に盛り込もう」
ミュークオの眉が、ピクリと動いた。
「十時間……。二度寝を含めて?」
「三度寝まで許可する。私の給与の半分を君の自由裁量費として譲渡しても構わない。どうだ? 愛だの恋だのという不確定な要素を排した、純粋なる利害の一致に基づく契約結婚だ」
ミュークオは顎に手を当て、高速で思考を回転させた。
ベルシュカ公爵家で「無職」を貫こうとしても、いずれは別の貴族から求婚という名の「再就職要請」が来るだろう。
ならば、自分の能力を正確に評価し、かつ「睡眠」という対価を提示してきたこの男に乗るのは、一つの解ではある。
「閣下、一つ確認ですが。その『婚姻届』、裏面に特約事項を書き加えるスペースはありますか?」
「もちろんだ。余白はたっぷり用意してある」
カイルが勝ち誇ったようにペンを差し出す。
ミュークオはそれを受け取ると、淀みのない動作で裏面にさらさらと条件を書き連ねた。
『一、食事のメニュー決定権は妻が持つ』
『二、夫が仕事を持ち帰った場合、一案件につき一時間のマッサージを妻に提供すること』
『三、愛の囁きは週に一回、三分以内で効率的に行うこと』
「……三番目は、ずいぶん手厳しいな」
書き込まれた内容を見たカイルが、苦笑いを浮かべる。
「あら、感情の吐露は脳のリソースを無駄に消費しますわ。時間は有限です。さあ、これに同意するなら、私もサインしてあげてもよろしくてよ」
「承知した。これほど心躍る契約交渉は、他国との通商条約以来だ」
ミュークオは迷うことなく、自分の名を記した。
婚約破棄から一夜。
彼女は「悪役令嬢」から、一気に「宰相夫人」という、より強力な戦闘職へとジョブチェンジを果たしたのである。
「では、ミュークオ。早速だが、妻として最初の大切な仕事がある」
「……なんですの。まさか、今すぐ王宮へ行けとは言いませんわよね」
「いや。一緒に朝食を摂り、その後、私と共に二度寝をすることだ。……私も、昨夜は一分も寝ていなくてね」
カイルが珍しく疲れを見せて微笑む。
ミュークオはふん、と鼻を鳴らした。
「いいでしょう。ただし、私の寝相が悪いことに苦情を言うのは禁止ですわよ、旦那様(ビジネスパートナー)」
こうして、前代未聞の「効率的結婚生活」が幕を開けた。
しかし、彼らが寝室で平和な二度寝を満喫している頃、王宮ではレオポルド皇太子が「ミュークオ、あいつどこに書類を隠したんだ!」と絶叫し、リリィが「殿下ぁ、お腹が空きましたぁ」と泣きつく地獄絵図が展開されていた。
高級な羽毛布団に包まれ、意識を深い闇へと沈めていたミュークオの耳に、執拗なノックの音が響く。
それはまるで、平穏な老後を約束された退職者の家に押し寄せる、血気盛んな取り立て屋のような不吉なリズムであった。
「……アンナ。私は昨日、不法侵入者は書類送検すると言ったはずよ」
布団の中から、地を這うような低い声が漏れる。
部屋の隅でガタガタと震えながら、侍女のアンナが申し訳なさそうに声を絞り出した。
「も、申し訳ございません、ミュークオ様! ですが、門前に、その、カイル・フォン・ランバート宰相閣下が……」
「宰相? ああ、あの仕事中毒(ワークアホリック)の眼鏡ね。放っておきなさい。どうせ『予算案の計算が合わない』とか『外交文書の翻訳が間に合わない』とか、そんな泣き言でしょう。私はもう公務員ではないの。ただの、無職の、最高に自由な令嬢なのよ」
ミュークオは枕を頭に乗せ、外界との遮断を試みた。
しかし、次の瞬間、寝室の扉が「失礼する」という短い断りとともに、音を立てて開け放たれた。
「無職とは冷たい言い方だな、ミュークオ嬢。君のような稀代の才女が市場に放流されたと聞いて、私は昨夜、三回ほど祝杯を挙げさせてもらったよ」
聞き慣れた、低く理知的な声。
ミュークオが渋々枕をどけると、そこには完璧に整えられた軍服姿の青年、カイルが立っていた。
その手には、不吉なほど真っ白な、そして公的な香りのする紙束が握られている。
「……閣下。人の寝室に土足で踏み込むのが、今の王国の流行りですの? それとも、宰相の権限には『令嬢の睡眠を妨害する権利』でも含まれているのかしら」
ミュークオは寝起きのボサボサな髪を隠すこともせず、ベッドに座り直してカイルを睨みつけた。
カイルは不敵な笑みを浮かべ、手に持った紙をこれ見よがしに振ってみせる。
「不法侵入の件については、後でいくらでも謝罪しよう。だが、それよりも緊急性の高い案件がある。これを見てくれ」
「嫌です。文字を見るだけで蕁麻疹が出そう。私は今、活字アレルギーなんです」
「そう言わずに。これは君が一番好む『極めて合理的で、利潤の高い契約書』だ。……タイトルは、『婚姻届』。夫の欄にはすでに私のサインがある」
部屋の中に、沈黙が降りた。
アンナが「ひえっ」と短い悲鳴を上げて口を抑える。
ミュークオは、数秒間、カイルの顔と紙束を交互に眺め、それから優雅に欠伸をした。
「閣下。仕事のしすぎで脳に酸素が回っていないようですね。それとも、新しい冗談のジャンルを開拓中かしら。婚約破棄されてから十二時間も経っていない女に求婚するなんて、効率が悪すぎますわ」
「いや、最高に効率的だ。君を皇太子妃という『飾り物の椅子』から引きずり下ろすために、私はどれほど裏工作……いや、準備を重ねてきたと思っている」
カイルは一歩、ベッドに歩み寄った。
その瞳は、恋する男の情熱というよりは、有能なビジネスパートナーをスカウトしようとする冷徹な投資家のそれに近かった。
「君は知っての通り、あのレオポルド殿下は、君が去った後のデスクにある『やるべきことリスト』を見て、泡を吹いて倒れた。リリィ嬢はリリィ嬢で、予算案の羊皮紙を『お花の折り紙』にして遊んでいる。王宮の事務機能は、あと四十八時間で完全に停止するだろう」
「あら、おめでとうございます。バカンスの始まりですわね」
「笑い事ではない。私は自分の睡眠時間を削ってまで、他人の尻拭いをする趣味はない。そこで提案だ。ミュークオ・ド・ベルシュカ。私と結婚しろ。そうすれば、君には以下の特権を約束する」
カイルが指を一本立てる。
「第一に、王宮への登城義務の免除。君は私の『影の相談役』として、自宅でパジャマのまま、好きな時に好きなだけ書類を捌けばいい。第二に、最新の計算機と、君専用の特製ティーセットの支給。そして第三に……」
カイルはそこで言葉を切り、ミュークオの目を真っ直ぐに見つめた。
「……一日の最低睡眠時間、十時間の完全保証。これを国法に優先する『家訓』として契約書に盛り込もう」
ミュークオの眉が、ピクリと動いた。
「十時間……。二度寝を含めて?」
「三度寝まで許可する。私の給与の半分を君の自由裁量費として譲渡しても構わない。どうだ? 愛だの恋だのという不確定な要素を排した、純粋なる利害の一致に基づく契約結婚だ」
ミュークオは顎に手を当て、高速で思考を回転させた。
ベルシュカ公爵家で「無職」を貫こうとしても、いずれは別の貴族から求婚という名の「再就職要請」が来るだろう。
ならば、自分の能力を正確に評価し、かつ「睡眠」という対価を提示してきたこの男に乗るのは、一つの解ではある。
「閣下、一つ確認ですが。その『婚姻届』、裏面に特約事項を書き加えるスペースはありますか?」
「もちろんだ。余白はたっぷり用意してある」
カイルが勝ち誇ったようにペンを差し出す。
ミュークオはそれを受け取ると、淀みのない動作で裏面にさらさらと条件を書き連ねた。
『一、食事のメニュー決定権は妻が持つ』
『二、夫が仕事を持ち帰った場合、一案件につき一時間のマッサージを妻に提供すること』
『三、愛の囁きは週に一回、三分以内で効率的に行うこと』
「……三番目は、ずいぶん手厳しいな」
書き込まれた内容を見たカイルが、苦笑いを浮かべる。
「あら、感情の吐露は脳のリソースを無駄に消費しますわ。時間は有限です。さあ、これに同意するなら、私もサインしてあげてもよろしくてよ」
「承知した。これほど心躍る契約交渉は、他国との通商条約以来だ」
ミュークオは迷うことなく、自分の名を記した。
婚約破棄から一夜。
彼女は「悪役令嬢」から、一気に「宰相夫人」という、より強力な戦闘職へとジョブチェンジを果たしたのである。
「では、ミュークオ。早速だが、妻として最初の大切な仕事がある」
「……なんですの。まさか、今すぐ王宮へ行けとは言いませんわよね」
「いや。一緒に朝食を摂り、その後、私と共に二度寝をすることだ。……私も、昨夜は一分も寝ていなくてね」
カイルが珍しく疲れを見せて微笑む。
ミュークオはふん、と鼻を鳴らした。
「いいでしょう。ただし、私の寝相が悪いことに苦情を言うのは禁止ですわよ、旦那様(ビジネスパートナー)」
こうして、前代未聞の「効率的結婚生活」が幕を開けた。
しかし、彼らが寝室で平和な二度寝を満喫している頃、王宮ではレオポルド皇太子が「ミュークオ、あいつどこに書類を隠したんだ!」と絶叫し、リリィが「殿下ぁ、お腹が空きましたぁ」と泣きつく地獄絵図が展開されていた。
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