俺の脱ヲタ計画を彼女らは放っておいてはくれない

俺乃妹子

文字の大きさ
8 / 12
我らアニメ部へようこそ

1-4

しおりを挟む
今日の授業は何も聞いていないし何も書いていない。
だが、大丈夫だろう。まだ入学から1週間しか経っていない。
まだ、オリエンテーションや部活見学などを終えたばかりで、授業という授業は受けてはいないのだ。

俺は帰りのホームルームが終わると、この一週間で通い慣れた図書室へと向かう。
最近の放課後は必ず図書室に行き、この部活動入部書と睨めっこだ。

「全く、何を悩んでるんだか…」

俺は立ち上がってライトノベルコーナーに立ち寄った。
棚の上から見ていくと、どれも見慣れた背表紙が広がっていた。

俺の部屋の本棚の方が充実してたな…なんて考えながら、
俺はそっと、1冊の本をとってペラペラとめくる。
この本は俺が初めて読んだライトノベルだ。懐かしい挿絵が見える。

「懐かしいな。これ読み切った時は感動で小説家になるとか言ってたっけ…」

過去を思い出すと恥ずかしくなりながらも懐かしさが込み上げてくる。
誰も居ない図書館でこうやって過去を振り返るのも悪くない。
窓から差し込む夕陽や、静けさが今という時間を輝かせてみせる。

「バラされたいのかと思ったら、放課後に1人でラノベ大会かしら。随分とやる気ね?」

突然後ろから声をかけられた。顔を見なくてもからかうよう表情で言っているんだろうと言うことがよく分かる。振り向くまでもない上野だ。

「別にそういう訳じゃない。俺はもう辞めたんだ。」

「そう、どうでもいいわ。それよりも、明日の土曜日暇?コホン、ごめんね。暇じゃないわけないよね」

なんなんだ。この女…失礼にもほどがある。まぁ暇なんだけど。

「言い方は腹立つが、暇だ。それがどうした?」

「明日、8時に光明高校駅前に集合ね。現金は多めに持ってきて。遅刻したら殺す」

「ちょ、なんだよそれ?どこかいくのか?」

「行くのかもね?とりあえず、まことくんのそのあきらめ顔を消し去ってあげるわ」

「いや、だから俺はせいだって…」

上野はそれだけ言うと、さっさと帰ってしまった。
1人残された俺は現実を受け入れられず、佇むだけだ。

「女子に誘われた……これはデートか!?」

だが、考えてみろ。あの上野だぞ?出会ってまだ数週間だぞ?
気がつくと、俺は手に取ったライトノベルを落としていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「お兄ちゃん!おっはよー!!!!」

ドン!!と、鈍い音と共に俺の腹元に衝撃が走る
意識は夢の中から一瞬で現実にドロップアウトだ。

「げふぇええ!!!」

「もう、お兄ちゃんの唾がすごいよォ。ほら、でーとでそ?起きて!お兄ちゃん!」

視界がぼんやりとしている中で、俺の部屋に明るく日光がさしているのがわかる。
そして、こちらを見つめる可愛い妹が見えた。

「ゲホゲホ、お、おう…。おはよう瑠香…」

だが、朝からなんてダメージだ。美少女の妹でさえ重さがゼログラムなんてことはない。思春期の美少女が思いっきり乗っかったらどんな奴でも衝撃に苦しむはずだ。

妹よ、兄に優しくしてくれ…

ちなみに、久しぶりだから紹介しておくとこいつは俺の妹の瑠香だ。
歳は1つ下で、顔はめっちゃ可愛い。妹ながら嫁にしたいレベルで可愛いのだが、実の兄に結婚する権利などない。
いつか、お兄ちゃんキモイなど言われると思うと時々しんどくなる。

「お兄ちゃん?何キモイ顔してこっちみてるの?顔洗ってきなよ」

ガハァ!言われたぁぁああ!

だが、待てよ?思ってたのとちがった。俺の妹のセリフは嫌な感じがせず、言葉に冷たさを感じない。
この暖かさを含む暴言なら、興奮すらできる…新しい扉を開く時がきたのか!?

「お兄ちゃん?また変なこと考えてるの?ほら、準備しないと。」

「そうだな。準備しないとな…そうだ、俺は今日デートなんだ」

「うん、そうだね。妹からすれば嬉しさ半分、悲しさ半分です…ウルウル」

「悲しんでくれるのか!?じぁ、今度お兄ちゃんとデートするか?」

「えへへ、嫌です♡」

デスヨネーあれ、目から汗が…

「それはいいとして、妹よ。今日も頼む!俺を何となくオシャレに見えるようにしてくれ」

「うん!まかせて!お兄ちゃんをでーと仕様におしゃれさせちゃうよ?任せなさい!」

瑠香は、エッヘン!と胸を叩く。こいつは本当によく出来た妹だ。
俺が脱オタを計画をしたとき、ボサボサの髪や服装など、妹にお願いしてイメージチェンジをしてもらったっけ。

今回も妹に服や髪をいじってもらって手伝わせてしまっている。
本当に妹神感謝です。
愛してるぜ!妹よ!

その後、俺の服選びになった。
あれやこれやと俺のクローゼットから取り出した服を合わせて、瑠香は唸っている。

あの服をあてては、この服をあてて…と、かれこれ1時間だ。

「あ、あのー、迷ってるのはいいけど、長すぎませんかね?」

「うるさい!お兄ちゃんは黙ってて!」

「はい……」

まぁ、こんな感じだ。
とりあえず形になったと、鏡を見た俺は驚いた…これが…俺なのか!?

「まぁ、こんなもんかなぁ!どう?お兄ちゃん」

「す、すげぇーよ!本当にお前は天才だな」
俺は妹の頭をわしゃわしゃと撫でる
瑠香もえへへとはにかみ、穏やかな時が流れた。
って、出かけなくては!

それから何かとデートについて一通りレッスンを受けて俺は家を出た。

「行ってらっしゃい!お兄ちゃん!DQNに絡まれないようにね!」

「おーう!行ってくる」

今日の扉は何だか重く、大きく感じた。
そんな扉をグッと開くと俺は歩みを進める。

俺こと、秋葉誠。16歳。初めて女の子とデートしてきます

って、デートじゃないだろ……

重かった扉は一瞬にして紙切れのように軽くなった



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...