念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

文字の大きさ
45 / 180

第45話 ちょっ! 待てよ!

しおりを挟む
 突然の出来事にしばし呆然とする一同だったが、ハッと我に返り追いかける準備をする。

 ちょっ! 逃げんのかい! 

 俺は慌てて荷物からロープを取り出し後を追う。

 リネット達も追いかけるが差は広がっていく一方だ。兄貴は追いかけてくる俺達に気付いて、後ろを振り返り余裕をみせてくる。

 「ははは! 俺の新スキル【早駆】には付いてこれまい!」

 くっ! このままだと逃げ切られしまうぞ!

 そう思ったその時、後ろから馬に乗ったマリィがやってくる。

 「少し貸してもらった。後は私に任せろ」

 俺は通り過ぎようとする馬にジャンプして後ろに乗る。

 「なっ?! 邪魔だ! 降りろ!」

 「俺の見せ場がなかったんでな。悪いけど乗せてもらうぜ!」

 「ちっ! 私の足だけは引っ張るなよ」
 
 俺達の乗った馬は兄貴との距離をどんどん縮まっていく。

 ヤムーは追い付かれまいとは振り向いてファイヤーボールを打ってくる。
  
 マリィは馬を巧みに操りそれをかわしていき、ある程度の距離まで近づくと片手で手綱を握り、もう片方の手に黒いライフルを出現させ発砲する。

 「うげー! あの女撃ってきましたぜ!」
  
 ヤムーが大声を上げ危険を知らせる。それを聞いた兄貴は的を絞られないようジグザグに走り出す。

 「今のは威嚇だ! 止まらんと次は当てる!」

 マリィは止まる様子のない二人を確認した後、片手でライフルを回転させリロードする。
  
 おお、かっこいい! 某SF映画でバイクに乗りながら銃を撃った後にこうやってるのを観たことあるぞ!

 マリィは狙いを定めつつ、俺に話し掛けてくる。
 
 「お前さっきからそのロープ持ってるが使えるのか?」

 「多分な。もうちょい近づけば投げて捕まえてやるんだが……」

 「なら、私が動きを止めるからやってみろ」
 
 そう言って俺の返答を待たずに、前を走る二人に向かって弾を撃つ。

 パンっ! と音が鳴った瞬間、前方に走ってた兄貴が地面に張り付けられたように、ピタッと足が止まる。

 走ってた慣性が働いて足は直立したまま顔からビタン! と、おもいっきり地面に倒れこむ。

 二人は慌てて起き上がり走り出そうとするが、俺はロープを投げて二人を縛りあげる。
 
 「ふう、どうにかなったな。今の動きを止めるやつどうやったんだ?」

 「影を撃って相手の動きを止めただけだ。あんなのは誰でも出来るから大したことではない」

 いや、普通出来ませんが……。
   
 マリィは平然とそう答えて二人に歩み寄る。
 
 「さて、貴様等がどうして私達を狙ったのか聞こうか?」

 「殺されてもそれだけは言えないな。どうしてもと言うなら金を寄越せ!」

 「……お前達自分の置かれた状況が分かってるのか? 私達が異世界の人間だと知ってるなら、ここで殺人を犯したところで罪には問われんことも分かるだろ?」

 ヤムーの頭にライフルを突き付け引き金に指をかける。

 「ちょっ、おい! 本当に殺すつもりかよ!?」

 俺はマリィの肩を引っ張って止めさせようとするが、それを振りほどき今度は俺に銃口を向ける。

 「前にも言ったがこれは遊びじゃないんだ。お前みたいになんの覚悟もないような人間が首を突っ込んでいいものではない」

 「そうかもしれないけど、そこまでしなくてもいいだろ!」

 「……やはりお前を連れてきたのは間違いだったようだ。やはりあの時殺しておくべきだったな」

 マリィが俺にライフルを向けたまま睨み合いが続く。

 どうしようかと考えていたら、後ろからリネット達の声が聞こえてくる。

 「どう? いきなり走り出して逃げるなんてビックリしたわ。……それで、あなた達は何してるのよ?」

 マリィが俺に向けた黒いライフルを見て、ただ事ではないと思ったのか仲裁に入る。

 「マリィ……あなたがどうしてもと言うなら私も考えてるから銃を下ろして?」   

 マリィ何も言わずライフルを再びヤムーに突き付ける。

 「こいつらが誰に頼まれたのか話さないからって殺すつもりなんだよ。リネットからも止めてくれ」

 リネットは答えづらそうにマリィを庇う。

 「……それは仕方ないわ。私達もこの世界で命のやり取りをしてる以上、殺すことだって殺されることもあるのよ。殺したりなんかしたくないけど私達も必死なの」

 そう言われてしまえば俺もこれ以上何も言えなくなってしまう。

 「確かにそうだけど殺すの良くないよ。殺したら自分も一生苦しみ続けることになる……」

 リネットも黙ってしまい俺もマリィになにも言えずにいたら、少し遅れてやってきたサーシャが俺に賛同してくれる。

 「そうよ。殺しは良くないわマリィ。そこまでしなくても、要はその二人が誰に頼まれたか言えばいいんでしょ?」

 サーシャ! やっぱりサーシャ解ってくれた!

 思わぬ援軍に歓喜してマリィ達に説得を試みるつもり……だったが。

 「だったらまず逃げられないように足の腱を切断して監禁しましょう。その後交代で不眠不休の尋問をして、それから爪の間に針を一本一本刺していくの。これで大抵の人間は白状するけどそれでも無理そうなら……」
 
 おいおいおい! 発想が鬼畜過ぎるだろ! それならいっそのこと殺してやった方がマシだろ!

 忘れてた……。サーシャには狂気の一面があることを……。

 サーシャは笑顔でマリィに提案するが、さすがのマリィも顔がひきつっている。

 「いや……サーシャ……。それの方が酷くないか?」
 
 サーシャ推奨の、殺さないで拷問をするという話を聞いていた二人は、あたふたして今にも泣きそうな声を上げる。

 「調子に乗ってすいません! なんでも話しますからそれだけはご勘弁を!」

 「あら! 話してくださるんですか!? 私達が人を殺すような人間じゃないことが伝わったのね。良かったわねマリィ」

 サーシャはどうして喋る気になったか理解してない様子で、ニコニコと笑顔で手を叩く。

 天然なのか計算なのか分からないが。多分前者だろうな……。

 小男二人を五人で取り囲んで、リネットが聞いてみることに。

 「まったく。最初から素直に言えばいいのに。で? どうして私達を狙ったの?」

 「別に誰かに頼まれたのわけではないんですが。たまたま皆さんの顔を知ってまして……」

 ようやく喋りだした話に耳を傾けて聞いていると、「何を話してるんだい?」と不意に横から聞き慣れない声の主に声を掛けられる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...