念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

文字の大きさ
66 / 180

第66話 ギフトは無事なんでしょうか

しおりを挟む
 五人がその場から立ち去り、サーシャ達は久しぶりに再会した先生達にお礼を言う。 
 
 「お二人が来てくださったおかげで助かりました!」

 「先生が来なかったら私達全員トレインに後ろから刺されてたかもしれないわ。でも、ノーマ達が……」

 「あの男はああやってずっとあんた達を見張ってたんだろうさ。ほら、元気だしな。ノーマ達の仇はあんたが討つんだろう?」

 「そうですよね。 きっと……いや、必ずノーマ達の敵をとってみせます!」

 フィオもマグナのときに助けてくれたエクシエルにお礼言う。

 「さっき槍で私を助けてくれたのはエクシエルさんだよね。 ありがとう!」

 「お礼なんかいいのよ。フィオが無事で良かったわ。あっそうだ! あなたに良いもの持ってきたのよ」

 エクシエルはポケットの中からアメを取り出して渡すと、フィオは嬉しそうに早速アメを口の中に入れる。

 いやぁ、それにしてもキレイな人だな。サーシャよりも少し年上だろうか。

 柔らかい物腰に大人の余裕を感じられるし、リネットにも是非こんな女性になってほしいものだな。

 そんな俺の心の声が届いたのか、リネットは俺をジトッとした目で見てくる。
 
 「あなた今私に対して失礼なことを考えてたでしょ?」

 「え? いや……まあ……。リネットも少しエクシエルさんを見習ったらいいのになってさ」

 怒られると思ったがリネットをフンッ、と軽くそっぽを向くが、いつものようには言ってこない。

 「エクシエルさんと比べられても困るわ。だって容姿端麗で頭脳明晰、それでいて優しくて強いんだから、私に限らずみんなの憧れよ。はあ……久しぶりに見たけどやっぱりため息が出るほど美しいわ」

 リネットがエクシエルさんをうっとり眺めていたら「そういえば」と、ふと何か思い出す。

 「エクシエルさん、よく私達の居る場所が分かりましたよね?」

 「ええ、マリィにあれを渡しておいて正解だったわ。それが無ければみんなの位置が分からなかったところよ。ご苦労様マリィ」

 エクシエルが労いの言葉を掛けるもマリィからの返事はない。

 それに気になった俺はなにやらマリィ様子がおかしいことに気付く。

 目はほぼ白目になりかけ、顎をガクガク震わせながら口をパクパクして何か言っている。

 「お、お、おお、おね、おね、おねえ、たま、たま……」

 「おい! どうしたマリィ?! 大丈夫か! どこか怪我でもしたのか!」

 俺がマリィに駆け寄ろうとしたらリネットがそれを止めて説明してくれる。

 「大丈夫よ。いつものことだから」

 「だって普通じゃないぞ? 体もブルブル震えてるし、言葉もまとも喋れてないじゃないか!」

 「エクシエルさんの前だと緊張してしまってこうなるのよ」

 「そ、そうなのか?」

 「久しぶりだから刺激が強かったのかもね。いつもより症状が重たいけど大体こんなもんよ」

 「マリィと初めて会ったとき「感情的になったことを言わないで欲しい」ってリネットにお願いしてた『あの人』ってのはもしかしてエクシエルさんのことだったのか?」

 「そうよ。マリィのエクシエルさん対する憧れは異常だからね。自分の恥ずかしいところを絶対に見せたくないのよ」

 「え……? あの姿を見せられるなら、どんなところも見せられそうなもんだけどな……。マリィのあんな剥き出しの感情見たことないぜ」 
 
 「それは言わないであげて。あの子はあれでも平静を保って話してるつもりなんだから」

 マリィは少し落ち着きを取り戻したのか、ポケットから一つのお守りを取り出す。

 「エ、エクシエルさんが万が一にと私に渡してくれたのは正解だったようですです」 

 「ふふっ『です』が一回多いわ。何も無ければそれに越したことはなかったけど、そうもいかなかったみたいね……」

 「そうか! トレインが裏切ったということは、あれのせいで私達の位置がバレてたんだ。 みんな! あの通信機を出せ!」

 マリィが自分のお守りを見てそのことに気付き、トレインから渡された全ての通信機を出して破壊する。

 「そういうことかよ。こいつで俺達の位置を特定してたのか。道理でどこ行っても現れるわけだ」
 
 「簡単な作りのものだが、トレインを仲間だと信じてる我々にとっては完全に盲点だったな」

 「あいつ……。あっ! その前に早くギフトのある建物まで行かないと!」

 「そうね。まだ終わってなければいいけど。先生、エクシエルさん、私達これから急いで行かなくてはならないところがあるんで、話は後でいいですか?」

 リネットがそう言うと二人も一緒に行くということで、七人でギフトがある場所に向かうことにする。

 「でも先生はここで待つか避難したほうがいいんじゃないか?」
  
 俺がそう言うも先生は鼻で笑い一緒に付いてこようとする。

 「私を甘く見るんじゃないよ。年こそとってるけど、あんた達にはまだまだ負けないよ。いいから私に構わず行きなさい」

 年の割には体力があるようなので先生に気を使わずに走って向かう。
 
 神殿のような建物の付近まで来るが、戦ってるような声は聞こえてこない。

 更に走り続けると昔のギリシャ神話に出てくるような大きな神殿が見えてくるが、サルブレム軍とアークの軍勢が戦ってる様子はなさそうだ。

 もう、戦闘は終わったのか? だいぶ遅れたとはいえまだ戦ってるはずだ。

 それにこの感じ……前にグラヴェールで感じた力と同じだな。

 まだ近くにこの大きな力の持ち主が居るはずだ!

 「ちょっと! 見てあそこ!」

 リネットが指を差した方を見ると、神殿の周りから激しい雷光が発っしている。

 神殿を守るように円柱状に発生している雷光はパリパリと音を立てながら、徐々に光が強くなる。

 「あれは……。ギフトを守る結界か?」

 円柱状の電光が一際大きな光を放ち、パンっ! と糸が切れたように霧散する。   

 俺達は急いでそこに向う。

 途中サルブレムの兵士がそこかしこに血を流して倒れているので、アークに敗北した可能性が高そうだ。

 神殿に着くと氷漬けにされたサルブレム兵がところせましと転がっていて、アークの軍勢が神殿を守るように周りを固めている。

 しかし、サルブレム側もまだ抵抗を続けてるようで、サルブレムの団長と数十人の兵士がまだ立ち向かおうとして武器を身構えてる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...