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第88話 サーシャ達の過去
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たっぷり睡眠を取った翌日。
イネス先生とエクシエルさんとマリィの三人は城に行くとのことで、残った俺達で買い物に出掛ける。
「さて、店に着いたらまず何から買うかな」
「さっき話してたんだけど、やっぱり替えの服とかタオルとかじゃない?」
「おばあちゃんもあの服は動きづらいし、洗濯も出来ないから着替えが欲しいって言ってたよ」
「そしたらまずそれを買いに行くか。ウラガン団長から必要なものは買ってくれって言われてるから、リネット達も遠慮せず好きなものを買ってくれ」
「いいの!? 一昨日は遠慮せずになんて言わなかったじゃない」
「昨日ムルグスルドの奴等と戦ったし、その位のご褒美はあっていいだろう」
リネットとフィオは手を上げて喜び、二人で何を買うかの話を始める。
サーシャの案内で商店街に着いた俺達は、ゆっくり歩きながらお店を見て回る
「確かにここなら大体のものは揃いそうだな。家具とか大きいやつは引っ越しをしてから買おうと思うけど、布団くらいは買って帰ろう」
頼まれたものを確認するためポケットから紙を取り出して見ると、リネット達がさっき言ってたのと大体同じものが書かれている。
リネットとフィオが店を物色しながら俺の前を歩き、女性用の服屋を見つけるとすかさず入っていく。
俺はお店に入るのは少し気まずいので店の外で待つことにする。
外から店内の様子を見てみると、リネットがフィオの服を選んでるようだ。
「ふふっ、あの子達久しぶりの買い物だから楽しそうですね」
「こんなにのんびり買い物なんてする時間なかったもんな。サーシャは見に行かなくてもいいのか?」
「私は後で欲しい雑貨があるのでその時に買わさせてもらいます。それでソウタさんこの間のことなんですけど……」
「あー、サーシャが狙われてる理由ってやつか? 無理しなくてもいいんだぞ?」
「いえ、本当に大した話ではないんで聞いて下さい」
そう言いながらも気持ちを整理するためか、少し間を空けてから話を始める。
「……実は私の父と夫はエスプリマの研究者だったんです。夫は父の助手で私よりも十歳以上離れてますが、私が彼を好きなりその後父の許しを得て結ばれました」
「研究者ってのは大体察しがついてたけど、サーシャの旦那さんってそんなに年上だったのか! 親父さんもよく許してくれたな」
「早くに母を亡くした私達を男で一つで大事に育ててくれましたから、怒った父が夫をクビにしようとしてたりしてそう簡単ではありませんでした。それでもなんとか認めてもらい、私もよく研究所に遊びに行ってたんです」
「そりゃあいくらサーシャが惚れたとはいえ、自分の娘に手を付けられたら怒るよな。でもエスプリマの研究論文を欲しいなら、サーシャじゃなくて二人が狙われるんじゃないのか?」
「結論から言うと二人はすでに亡くなってるです。ある日父が帰ってこなかったので研究所に行ったら、荒らされた部屋の中で父が何者かに殺されてました」
「……誰に殺されたんだ?」
「犯人は今も判っていませんが、父が殺される少し前から二人の様子はおかしかったんです。父が殺された直後に夫が失踪したので最初は疑われてましたが、失踪してから数日後に私に会いにきました」
二人は自分達が狙われてることを察知してたんだろうな。さっき二人ともすでに亡くなってるって言ってたから旦那さんも……
「夫は私に謝りながら自分達の研究内容は全て破棄したと言って、どこかへ行ってしまったんです。そしてそれから数週間後に……遺体となって私のもとに帰ってきました」
「大事な人がそんなに短い期間で二人も失うなんて辛かっただろう……」
「父はもちろん、夫も『自分と一緒に居ると危険だから』と言ってすぐに消えてしまいましたので、まともに別れの言葉すら言えなかったのが残念でなりません」
サーシャは当時のことを思い出し目元から涙がこぼれ落ちる。
「ごめんなさい」
サーシャは謝りながらハンカチで涙を拭う。
そして、その後何か吹っ切るかのように笑顔になって話を続ける。
「とまあ、この世界に来る前そんなことがあったんです。フレッド達が研究論文を欲しがってたところをみると、二人を殺した犯人はあの人達なんでしょう。どうしてそこまでして手入れたいのかは判りませんが、私のために今回の作戦が立てられのは間違いないみたいです」
「サーシャが思い当たる節があるって言ってたのはこのことだったんだな。だとするなら親父さん達を殺したのはオルなんとかってやつか」
「父と夫が亡くなる前から私は今のエスプリマを研究する機関に所属してましたが、オルビルト局長がエスプリマについて調べてるなんて聞いたことがありません。ですが、色々照らし合わせると辻褄が合いますね」
「他の連中に見覚えはないのか? ほとんどのやつがエスプリマを使ってることを考えると、向こうの世界で会ったことありそうだけど」
「私は見たことはありませんし、先生でさえトレイン達を知らないみたいです」
俺達が何者なのか首を捻って考えてると、リネット達が荷物を抱えて戻ってくる。
「二人とも難しい顔してどうしたの?」
「ちょっとな。それよりみんなの服は買ったのか?」
「ええ、これだけあれば替えの服には困らないはずよ。ただ、商店街に売ってる程度の物だから仕方ないんだけど、もう少しオシャレな服が欲しかったわ」
「あまり贅沢言うなよ。それに異世界なんだから好みの服なんてそうそう無いだろ。さっ、まだ買う物は一杯あるんだから次の店に行くぞ」
「もう、そんなに急かさないで」
俺達は預かった買い物リストを見ながら、次のお店に向かう。
サーシャ達にそんな過去があったなんてな。リネットを見てると信じられないけど、人は見かけによらないってことか。
それからしばらく買い物もしていき、一通り買い揃ったので家に帰ることする。
リネットとフィオは、商店街で買ったフライドポテトとサンドイッチを食べながら歩いてる。
「二人とも美味しそうだな。うまいか?」
「久しぶりに食べるフライドポテトは最高よ。それにしても『荷物は俺が持つから好きなのを買うといい』だなんてどういう風の吹き回し?」
「三人のおかげで買い物も早く終わったから純粋にそのお礼をしたいと思っただけだ」
「なんか気持ち悪いわね」
リネットはフィオと顔を見合わせて俺を疑ってるようだ。
サーシャの話を聞いてつい優しくしたのが間違いだったようだな。
こんなことなら普段通りにしておけばよかったか……。
「そんなこと言うなら二度買ってやらないからな」
「いやねえもう、冗談に決まってるじゃない。でも突然ニヤニヤしながら言われたらこっちだって戸惑うわよ」
えっ! 俺、気付かない間にニヤニヤしてたのか? だったら確かに気持ち悪かったかも……。
慣れない気遣いをしたもんだから変な態度になってしまってたんだろうか。
「そ、そういえば布団は夕方に運んでくれるってさ。これでみんなゆっくり寝れるな」
家に着いたので買った物を出して、ゴロゴロしながらイネス先生達の帰り待つ。
夕方には三人とも帰ってきて、リネットとフィオが買ってきた服などを広げて見せる。
「色々買ってきてくれたんだね。これで着替えられるから助かるよ」
「俺達も今日はのんびりさせてもらいましたよ。イネス先生達の方はどうでした?」
「ロルム国王と話してきたよ。中々話の解る人物みたいだから、おかげで話がまとってきたね」
「明日もまた行くんですか?」
「まだまだやることは沢山あるからね。それから、団長さんがあんた達の家の鍵を預かってくれてるらしいから、明日にでも取りに行くといいよ」
「解りました。じゃあ明日みんなと一緒に鍵を貰いに行きますね」
イネス先生とエクシエルさんとマリィの三人は城に行くとのことで、残った俺達で買い物に出掛ける。
「さて、店に着いたらまず何から買うかな」
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「いいの!? 一昨日は遠慮せずになんて言わなかったじゃない」
「昨日ムルグスルドの奴等と戦ったし、その位のご褒美はあっていいだろう」
リネットとフィオは手を上げて喜び、二人で何を買うかの話を始める。
サーシャの案内で商店街に着いた俺達は、ゆっくり歩きながらお店を見て回る
「確かにここなら大体のものは揃いそうだな。家具とか大きいやつは引っ越しをしてから買おうと思うけど、布団くらいは買って帰ろう」
頼まれたものを確認するためポケットから紙を取り出して見ると、リネット達がさっき言ってたのと大体同じものが書かれている。
リネットとフィオが店を物色しながら俺の前を歩き、女性用の服屋を見つけるとすかさず入っていく。
俺はお店に入るのは少し気まずいので店の外で待つことにする。
外から店内の様子を見てみると、リネットがフィオの服を選んでるようだ。
「ふふっ、あの子達久しぶりの買い物だから楽しそうですね」
「こんなにのんびり買い物なんてする時間なかったもんな。サーシャは見に行かなくてもいいのか?」
「私は後で欲しい雑貨があるのでその時に買わさせてもらいます。それでソウタさんこの間のことなんですけど……」
「あー、サーシャが狙われてる理由ってやつか? 無理しなくてもいいんだぞ?」
「いえ、本当に大した話ではないんで聞いて下さい」
そう言いながらも気持ちを整理するためか、少し間を空けてから話を始める。
「……実は私の父と夫はエスプリマの研究者だったんです。夫は父の助手で私よりも十歳以上離れてますが、私が彼を好きなりその後父の許しを得て結ばれました」
「研究者ってのは大体察しがついてたけど、サーシャの旦那さんってそんなに年上だったのか! 親父さんもよく許してくれたな」
「早くに母を亡くした私達を男で一つで大事に育ててくれましたから、怒った父が夫をクビにしようとしてたりしてそう簡単ではありませんでした。それでもなんとか認めてもらい、私もよく研究所に遊びに行ってたんです」
「そりゃあいくらサーシャが惚れたとはいえ、自分の娘に手を付けられたら怒るよな。でもエスプリマの研究論文を欲しいなら、サーシャじゃなくて二人が狙われるんじゃないのか?」
「結論から言うと二人はすでに亡くなってるです。ある日父が帰ってこなかったので研究所に行ったら、荒らされた部屋の中で父が何者かに殺されてました」
「……誰に殺されたんだ?」
「犯人は今も判っていませんが、父が殺される少し前から二人の様子はおかしかったんです。父が殺された直後に夫が失踪したので最初は疑われてましたが、失踪してから数日後に私に会いにきました」
二人は自分達が狙われてることを察知してたんだろうな。さっき二人ともすでに亡くなってるって言ってたから旦那さんも……
「夫は私に謝りながら自分達の研究内容は全て破棄したと言って、どこかへ行ってしまったんです。そしてそれから数週間後に……遺体となって私のもとに帰ってきました」
「大事な人がそんなに短い期間で二人も失うなんて辛かっただろう……」
「父はもちろん、夫も『自分と一緒に居ると危険だから』と言ってすぐに消えてしまいましたので、まともに別れの言葉すら言えなかったのが残念でなりません」
サーシャは当時のことを思い出し目元から涙がこぼれ落ちる。
「ごめんなさい」
サーシャは謝りながらハンカチで涙を拭う。
そして、その後何か吹っ切るかのように笑顔になって話を続ける。
「とまあ、この世界に来る前そんなことがあったんです。フレッド達が研究論文を欲しがってたところをみると、二人を殺した犯人はあの人達なんでしょう。どうしてそこまでして手入れたいのかは判りませんが、私のために今回の作戦が立てられのは間違いないみたいです」
「サーシャが思い当たる節があるって言ってたのはこのことだったんだな。だとするなら親父さん達を殺したのはオルなんとかってやつか」
「父と夫が亡くなる前から私は今のエスプリマを研究する機関に所属してましたが、オルビルト局長がエスプリマについて調べてるなんて聞いたことがありません。ですが、色々照らし合わせると辻褄が合いますね」
「他の連中に見覚えはないのか? ほとんどのやつがエスプリマを使ってることを考えると、向こうの世界で会ったことありそうだけど」
「私は見たことはありませんし、先生でさえトレイン達を知らないみたいです」
俺達が何者なのか首を捻って考えてると、リネット達が荷物を抱えて戻ってくる。
「二人とも難しい顔してどうしたの?」
「ちょっとな。それよりみんなの服は買ったのか?」
「ええ、これだけあれば替えの服には困らないはずよ。ただ、商店街に売ってる程度の物だから仕方ないんだけど、もう少しオシャレな服が欲しかったわ」
「あまり贅沢言うなよ。それに異世界なんだから好みの服なんてそうそう無いだろ。さっ、まだ買う物は一杯あるんだから次の店に行くぞ」
「もう、そんなに急かさないで」
俺達は預かった買い物リストを見ながら、次のお店に向かう。
サーシャ達にそんな過去があったなんてな。リネットを見てると信じられないけど、人は見かけによらないってことか。
それからしばらく買い物もしていき、一通り買い揃ったので家に帰ることする。
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「二人とも美味しそうだな。うまいか?」
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「三人のおかげで買い物も早く終わったから純粋にそのお礼をしたいと思っただけだ」
「なんか気持ち悪いわね」
リネットはフィオと顔を見合わせて俺を疑ってるようだ。
サーシャの話を聞いてつい優しくしたのが間違いだったようだな。
こんなことなら普段通りにしておけばよかったか……。
「そんなこと言うなら二度買ってやらないからな」
「いやねえもう、冗談に決まってるじゃない。でも突然ニヤニヤしながら言われたらこっちだって戸惑うわよ」
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