念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第171話 出発進行

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 「まずは、情報を持って帰ってきてくれてありがとうございましたシュヴィさん」

 エクシエルさんと一緒にいるシュヴィさんがコクりと頷く。

 「それで……帰ったばかりでちょっと頼みづらいんですけど、もう一度行ってきてもらってもいいですか?」

 「構わない。何を調べてくればいいんだ?」

 「包囲をしてくるいくつかの軍の中に、多分黒い鎧を着た奴等がいると思うんです。そいつ等がどの地点から攻めて来るのか調べてきてほしいんです」

 「……調べる地点が多いと少し時間が掛かる。それでもいいか?」

 「ええ、その間に俺達もすぐに動ける場所まで移動しておきますので、少しくらい時間が掛かっても大丈夫です」

 「はいはい! だったら私達もシュヴィさんと一緒に調べてくるよ!」

 俺達の会話を聞いていたノーマが、いきおいよく手を挙げて横から入ってくる。

 「ノーマ達も手伝ってくれるのか?」

 「偵察は私達の得意分野だしね。それに、こっちに来てからまともに仕事してないから、ちょっとくらいは役に立たせてよ!」

 「それはありがたいけど……いいんですかエクシエルさん?」

 「彼女達も優秀な人材よ。ここは任せてあげて」

 「なら、ノーマ達にもお願いしようかな。俺の予想だとザイール平原には来ないはずだから、そこは最後にして他の場所を探してきてほしい」

 「分かった! じゃあちょっと行ってくるから、移動先だけ教えといて!」

 俺達の行き先を聞いたノーマ達はシュヴィさんと共にすぐさま偵察へ向かう。
 
 「でも、黒い鎧を着た人達を探してどうするの? 待ってても向こうから出てきそうなもんだけど」

 リネットが腑に落ちない顔をして聞いてくる。

 「精霊の力については向こうも知ってるはずだ。にも関わらず攻めてくるってことは、それに対抗出来るだけの力を持った奴等がいるとみていいだろう」

 「あの黒い鎧を着た奴等がそうだってことね。直接戦ってみないとわからないけど、他の奴等も手強そうだったわ……」

 「後は、持久戦に持ち込まれるのも分かってるだろうから、別動隊がこの城を落としに来る可能性は高い」

 「それはありそうね。城を落とせばこっちは補給が出来なくなるし、向こうの士気も上がるでしょう」

 「そうなれば少数精鋭で攻めて来ると思うんだ。つまり、あの黒い鎧を着た奴等が城に攻めて来るんじゃないかと予想している」

 「ソウタはあいつ等が本命だって言いたいわけね?」

 「ああ、頭を潰せばこの戦いもすぐに終わらせることが出来るからな。どうだろうか?」

 俺がみんなにそう聞いてみるが、特に反対意見などは無くそれでいくことに決まる。

 その後気になるところをいくつか修正して詳細を詰めていく。

 「……うん。これで決まりだな」

 「後はどこに現れるか待つだけね! よーし! 私も頑張るわよ!」

 話がまとまり、リネットは手を握って意気込む。

 「あー、でも今回リネットとマリィには休んでてもらおうかと思ってるんだけど?」

 「え……なんで?」

 俺が唐突に言ったせいか、リネットは口をポカンと開けて聞いてくる。

 「いや、二人共この間の戦いで疲れてるだろうし、無理をせずここでフィオ達と待っててくれ」

 「何よそれ!? それだったら早く言ってよね! 行きもしないのに真面目に聞いてた私達がバカみたいじゃないのよ!」

 「だってほら……リネットがグイグイ来るもんだから中々言い出せなくてさ……」

 「そりゃあ大事な話なんだから、自分の意見くらい言うに決まってるじゃない! もしかして『こいつ行かないのに何言ってんだ?』とでも思ってたわけ?!」

 「言わなかったのは悪かったよ。けど、そんなに怒らなくてもいいだろ? というか、二人を思ってのことなのに、どうして怒られなくちゃいけないんだよ!」

 「うっ……それを言われるとちょっと困るわね……。も、勿論そこに関しては感謝してるわ。でもここにきて置いていかれるのは絶対にイヤよ」

 「まあせっかく一緒にやってきたわけだし、俺も出来れば二人にいてほしいけどさ。……行くか?」

 「当然よ! ダメって言われても付いて行くからね!」

 「まったく、強情なのは初めて会ったときから全然変わらないよな」

 「あなた方こそ相変わらず大事なことは黙ってるみたいね?」

 「ははっ、それもそうか。少し成長したと思ったけど、お互いそんなに変わってなかったようだな」
 
 「いがみ合うことが無くなったことくらいかしらね。まっ、その方が私達らしいとは思うけど」

 「……泣いても笑ってもこれが最後の戦いだ。どうせなら、みんなで笑ってこの旅を終わらせよう!」

 この後、アリエルとアークの人達に作戦の内容を説明して、明日の準備に取り掛かる。

 そして一夜開けた次の日、俺達はドルムの町から少し南にあるゼイラル湖畔に向かう。

 「湖畔付近いれば、どこから攻めて来てもすぐに対処が出来るだろ」

 「攻めて来ている北西にはザイール平原があるから、別動隊が来るとすれば西か西南ってことね」

 「北はこっちの軍が配備されてるし、奇襲以外の目的なら別ルートを選ぶと思うんだ」

 「もうすぐグラヴェールの軍もムングスルドに入ってくるから、私達も急がないとね」

 それから歩くこと五日が経ち、目的地であるゼイラル湖畔に着く。 

 みんなは広めの場所に荷物を下ろして、大きめの野営地を作り始める。

 俺はマグナ達と一緒に自分達のテントを張った後、リネット達のテントを張りに行く。  

 「手伝ってもらって悪いなマグナ」

 「みんな疲れてる中やってるんだ。俺達だけ何もしないわけにはいかないだろう」

 「しかし、エイドとお前達が一緒に戦ってくれるとは思わなかったよ」

 「こっちは人数が少ないと言っていたからな。俺達でも少しくらいは戦力になれるだろう」
 
 「俺達とアークの人達だけだからな。まあ、それでも五千くらいはいるはずだ」
  
 そんな話をしながら二人でテントを組み立てていたら、フィオとウィステリアが俺達の前に顔を出す。

 「あっ、ソウタ君とマグナ君だ! 何か手伝おうか?」

 「もうすぐ完成するから大丈夫だ。ちょっと待ってろよ二人とも」

 「……ねえ、みんな結構大変みたいだし、私も一緒に戦った方がいいんじゃないかな?」
 
 「そこも気にするな。フィオの代わりにマグナ達が戦ってくれるってさ。なっ?」

 マグナに目で合図を送る。

 「ああ、お前の強さは知っているがこれは戦争だからな。後のことは俺達に任せてお前達はここで待っていろ」

 マグナはぶっきらぼうに言って、テントを入念にチェックする。

 「……これでいいだろう。待ってる間風邪とかに気を付けろよ?」

 「うん、ありがとうマグナ君。大人しくここでみんなの帰りを待ってるね」

 フィオは俺達にお礼を言ってテントの中に入っていく。

 ……マグナって面倒見が良いよな。特にルルカとかフィオに対して優しいみたいだし、もしかして妹とかいるのか?
  
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