玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす

文字の大きさ
86 / 397
第3章 ダーコラ国国境紛争

第3章第003話 タルタルソースの完成形

第3章第003話 タルタルソースの完成形

・Side:ツキシマ・レイコ

 六六の学校の子供達の研修遠足も恙なく終わり、日が暮れる前には私達もファルリード亭に戻ってこれました。
 醤油の瓶は、ザフロ祭司にも一つお渡ししました。ここでは魚食べる機会は多いですからね。赤竜神が人間だった頃の最もメジャーな調味料…と言ったら、そんな希少な物をとえらく感謝されました。…元は雑草なんですけどね。

 なぜか、クラウヤート様もファルリード亭に来ました。将来の伯爵様の来訪に、カヤンさん達がなんか恐縮しています。
 自動的に、ダンテ隊長にエカテリンさん、料理騎士さんも一緒です。今日仕入れた材料がどんな料理になるか興味あるようですね。

 まずはエビです。いただいた魚篭にはけっこうな大物も入っているですが。これ一本丸ごと揚げると中まで火が通らないかも。ここは四分割くらいに細くしますかね? 尻尾も四分割です。一人一匹と言うほど数がないので、丁度良いですね。
 モーラちゃんが、エビの見た目に引いています。虫と言わないでくださいって。ちゃんとレッドさんに確認して貰ってますので、毒の心配はありませんよ。
 今のファルリード亭には、油と卵とパン粉は常備されています。カヤンさん、コランさん、マヨネーズからのタルタルソースお願いします。シャカシャカシャカ…

 マヨを生産している間に。イカは、輪切りからの醤油バター炒めにして柑橘類を一絞り。ゲソは、醤油を塗りながらあぶり焼きで、マヨネーズを添えます。…うん、これは完全に酒のつまみですね。この体の見た目なので、私が飲むのは控えてますけど。こちらのお酒は、まだ舐める程度しかしていないのです。

 タルタルの準備が出来たところで。
 水気を取ったエビに、溶いた卵、パン粉、これをもう一回漬けして、油に投入。丸まらないように隠し包丁も完璧ですよ。
 …良い感じに色付いたところで、エビフライのできあがり!

 「これが、タルタルソースの完成形か…」

 …べつにこれがタルタルソースの完成形ではありませんが。エビフライのためにタルタルがあると言っても過言ではないので、間違いではないでしょう。はい有効です。

 エビの数が少ないので、一人一本なのは我慢してくださいね。
 アイリさん、これからも漁師の方々にエビも残すよう言っておいてください。エビは高級食材なんですよ!

 さて。私も早速いただきます。

 サクッ!

 カヤンさんが他のフライで習得した完璧なあげ具合の衣、その中のとろけるような柔らかいエビの肉と、旨みたっぷりに染み出る肉汁。これは凄いですよ! そこに、コクのあるタルタルソース! カヤンさん、初めての食材の調理でこの美味さ!素晴らしいです。

 他の人も、恍惚として噛み締めています。一人一本ですので、大切に食べています。

 「これは…もっと食べたいかも。ブール卿、これ邸でも作れるよね? 皆にも召し上がってもらいたい…」

 クラウヤート様も気に入ったようです。
 料理騎士ブールさん。伯爵邸でのマヨネーズ作り頑張ってください。え?それは領邸の料理人に任せる?



 さて。こんどはイカの方の試食です。

 「醤油だっけ。凄く良い匂いだな」

 ユルガルム組はイカを食べた経験ありますが。カヤンさんはイカは初めてのようですね。ただ、ユルガルム組も醤油バターの威力は未体験です。
 モーラちゃんは、やはり見た目で警戒しています。美味い不味い以前に食べ物に見えない? 食わず嫌いは良くないですよ。
 …まさかですが、猫にイカの如く、山の民はイカを食べちゃ駄目って事はないですよね? レッドさん~っ!あ、大丈夫ですか良かった。
 モーラちゃんがおそるおそるイカを食べます。噛み応えありますからね、ムグムグと…。咀嚼する速度が上がってゴックン。ほら美味しいでしょ?

 「これはお酒の飲む人に受けそうだね!」

 …この歳でお酒のおつまみ前提で考えてます、末恐ろしい子ですね。

 えっ? 厨房から漂う匂いを嗅いだお客さんから、食べてみたいとリクエストが?
 …イカと言うより醤油の匂いでしょうが。夕食にはちょっと早い時間ですが、厨房から漏れた匂いに、たまたま来ていたお客さんが反応したようです。

 「…お客さんに、まだ残っているイカを見せてあげて下さい。それでなお食べてみたいという勇者になら、供しましょう」

 出してから文句を言われては、勿体ないです。とくにゲソ。
 …勇者だったお客さんは、半分くらいでした。でも、食べてみれば納得、明るい内から酒の注文も入ります。
 まぁ食べたら分るその美味しさ。そのうち市場にもイカやエビが並ぶでしょう。

 アイリさんとタロウさんは、醤油の奉納と量産について、いまから悩んでいるようです。収穫というか、栽培しないと追いつかないだろうというのが、当面の課題ですね。



 うーん。醤油の実があるのなら、どっかにカレーの実もあるかもしれない。夢広がりんぐ。

 …そのまえに米を見つけなければ。今のところ、この国にはなさそうですし。
 私の勘が、この世界にもお米があると言ってます。絶対、赤井さんがどこかに用意しているはずです。彼も日本人なのですから!
 …赤井さんのところで食べたご飯、この世界産でしょうかね? お米への執着は、異世界物の小説とかではあるあるネタではあるのですが。実際食べたくても食べられないとなると、ホント辛抱たまらんです。日本人にはゲノムに米が刻まれているのです。途中データだけになったはずの私でも、お米を愛する心は受継がれているのです。
 アイズン伯爵に、海外と取引のある商会、紹介してもらおうかしら?

感想 2

あなたにおすすめの小説

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり
ファンタジー
 異世界に突然迷い込んだ主人公は、目の前にいた人物に何故かぶぶ漬け(お茶漬け)を勧められる。  そして、自身を神の補佐である天使というその人物(一応美少女)に、異世界について教わることに。  それから始まった異世界での生活は、様々な種族や立場の(個性的な)人に出会ったり、魔界に連れていかれたり、お城に招待されたり……。  そんな中、果たして主人公はどのような異世界生活を送るのだろうか。  異世界に迷い込んだ主人公が、現地の様々な人と交流をしたり、一緒に何かを作ったり、問題をなんとかしようと考えたりするお話です。  山も谷も大きくなく、話の内容も比較的のんびり進行です。 現在は火曜日と土曜日の朝7時半に投稿予定です。 感想等、何かありましたら気軽にコメントいただけますと嬉しいです! ※カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様にも投稿しています

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

裏スキルで最強異世界攻略~異世界召喚されたのだが、勇者じゃないと追い出されたので新しい国を造りました~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
いつものようにヤンキーに絡まれて逃げていたら、いつの間にか異世界召喚されてました。でも、スキルが『農民』しかなかったから、いらないと追放されました。 エブリスタ、カクヨム、ノベリズム、ノベルアップ、小説家になろうにも掲載しています。

前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。 けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。 というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない? そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。 小説家になろうでも掲載しております。

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

異世界転生 剣と魔術の世界

小沢アキラ
ファンタジー
 普通の高校生《水樹和也》は、登山の最中に起きた不慮の事故に巻き込まれてしまい、崖から転落してしまった。  目を覚ますと、そこは自分がいた世界とは全く異なる世界だった。  人間と獣人族が暮らす世界《人界》へ降り立ってしまった和也は、元の世界に帰るために、人界の創造主とされる《創世神》が眠る中都へ旅立つ決意をする。  全三部構成の長編異世界転生物語。