100 / 383
第3章 ダーコラ国国境紛争
第3章第017話 それでも開戦ですか?
しおりを挟む
第3章第017話 それでも開戦ですか?
・Side:ツキシマ・レイコ
なんだかんだありましたが、まだ昼前です。
軍使の人が戻ってきましたけど。今度は赤い鎧の人はいませんね。
…なんと開戦決定だそうです。時間はお昼丁度に。…この世界の戦争は、ともかく手順を重んじるんですね。その割には、下流の街を奇襲で襲おうなんてしてましたけど。
しかし、レイコ・バスターを見てまだ続けようとするとは。まぁもちろん私は、あれを人に向けて撃つ気はさらさら無いのですが。
「…おそらくはレイコ殿にダーコラ国兵士の虐殺をさせて、敗戦の責任を全部レイコ殿に被せた上で、道義的な優位を得ようとかそういう魂胆なんだろうな。主にあの赤い鎧の奴が」
カステラード殿下が解説してくれました。
敗戦の責任って、私はネイルコード国側にいるんですけど。
私にやる気があるかどうかは別にしても、ダーコラ国側からすれば私と戦えば負けは確実。だけど戦う前に逃げたら自分の立場が無いし、中途半端に負けても責任問題となる。なら、兵士達が全滅するほどの大敗をすれば、自分のせいではないという証明になるし。今後の交渉でも、こちらの非道を攻めることが出来る…とか考えているんだろうあの類いの馬鹿は…と、カステラード殿下がぼやきます。
攻めてきたのに、負けたら負かした相手が悪いと非難するんですか? どんなマッチポンプですか?
カステラード殿下の馬鹿の心理を見抜く能力が、なにげに凄いです。
…それでもまぁ、実はこの展開も想定の範囲です。次の手筈と行きますか。
まずは、レッドさんをカタパルトして、上空から哨戒です。相手が開戦を決定したともなれば、敵軍の動向を確認しておいてもらう必要があります。
数分で戻ってきたレッドさんから、情報を軍の人たちに伝えます。特に兵力の移動は無いそうです。…レイコ・バスターに対策するのなら、散開くらいはするのでは?と思いました。本当にむこうの指揮陣は兵士達を見殺しにするつもりのようですね。
あと、馬車を含む一隊が、三角州の反対側の輜重部隊から離れたところに待機していると…。誰か逃げるつもりのようですが、誰でしょうか?
この辺の情報をカステラード殿下の参謀の人に伝えておきます。。
「カステラード殿下、では行ってきてもよろしいでしょうか?」
「…済まないな。こんなに深入りさせるつもりは無かったのだが」
「…お気遣いありがとうございます。まぁ、降りかかる火の粉はなるべく振り払うだけです」
さて。まずは、対岸に渡りましょう。
砂利で滑りやすい川辺ですが。距離で速度を稼いで、とやっ!…と、対岸に並んでいる兵士達の前に飛びます。ざざざーとスライドしつつ、上手く着地できました。
逆に、ダーコラ国の兵士達はざざざーっと私から距離を取ります。槍を構えている人もいますね。あのデモンストレーションが効いているようですが。
「あのーっ?。ダーコラ国軍の本陣に行きたいんですけど。だれか案内してくれませんか?」
一番近くの兵に声をかけます。びくんっ!とびっくりする兵士さん。そこまでびびらなくても…と思いますが。
レッドさんの偵察で本陣のだいたいの場所は把握していますが。この兵士達の中を無双しながら突破するのはいがかかと思ってまして。平穏に案内して貰えるのなら、それに越して事はありません。
と思ってたら、背後から兵の一人が忍び寄って、私を羽交い締めにしました。
「ひゃっはーっ!巫女様を確保したぜ! オレ様が一番手柄だ!」
女の子にベタベタと。気持ち悪いですね。…まぁ、後ろから来ているのは分ってわざと捕まったのですが。
後ろから羽交い締めにしている兵士の腕を掴み。そのままバキンと。
「ぎゃーっ!腕が!」
思わず私を放り出して、悶絶しています。
「…これが回答ということで、よろしいのでしょうか?」
と。指の間にバリバリと放電させてすごみます。電撃とレイコ・バスターに関係はないのですが。これから撃つぞ?という脅しにはなるでしょう。
にしても。さきほどのレイコ・バスターの舞は、皆見ていると思うんですけど。それで手を出してくるとは、この兵士は良い度胸というか、頭が悪いというか。
「い、いや。申し訳なかった、今のは此奴の独断だ!。私がここの部隊の隊長だ。本陣へ御案内する!」
ちょっと装備の良い兵士が前に出てきて言いました。ゴルゲットも大きめですね。ダーコラ国もゴルゲットが身分証になるようです。
把握している本陣は、陣列の後方。ここから数百メートルくらいです。
隊長さんが先頭になって、他の兵士が周囲を囲んでます。…まぁ、私を警護していると言うよりは、他の兵を私から警護しているつもりかもしれませんが。
「あれが巫女様と小竜様か…」
「小さいドラゴンっても、実物はもっとでかいかと思ってた。巫女様もまだ子供じゃ無いか」
こそこそ噂している兵士の方に、ニコッとして手を振ってみます。
おっ。びっくりしながらも手を振り返してくれました。…まぁ、兵士個人単位で言えば、悪い人ばかりではないのでしょう。なるだけ無事に済ませてあげたいものです。
・Side:ツキシマ・レイコ
なんだかんだありましたが、まだ昼前です。
軍使の人が戻ってきましたけど。今度は赤い鎧の人はいませんね。
…なんと開戦決定だそうです。時間はお昼丁度に。…この世界の戦争は、ともかく手順を重んじるんですね。その割には、下流の街を奇襲で襲おうなんてしてましたけど。
しかし、レイコ・バスターを見てまだ続けようとするとは。まぁもちろん私は、あれを人に向けて撃つ気はさらさら無いのですが。
「…おそらくはレイコ殿にダーコラ国兵士の虐殺をさせて、敗戦の責任を全部レイコ殿に被せた上で、道義的な優位を得ようとかそういう魂胆なんだろうな。主にあの赤い鎧の奴が」
カステラード殿下が解説してくれました。
敗戦の責任って、私はネイルコード国側にいるんですけど。
私にやる気があるかどうかは別にしても、ダーコラ国側からすれば私と戦えば負けは確実。だけど戦う前に逃げたら自分の立場が無いし、中途半端に負けても責任問題となる。なら、兵士達が全滅するほどの大敗をすれば、自分のせいではないという証明になるし。今後の交渉でも、こちらの非道を攻めることが出来る…とか考えているんだろうあの類いの馬鹿は…と、カステラード殿下がぼやきます。
攻めてきたのに、負けたら負かした相手が悪いと非難するんですか? どんなマッチポンプですか?
カステラード殿下の馬鹿の心理を見抜く能力が、なにげに凄いです。
…それでもまぁ、実はこの展開も想定の範囲です。次の手筈と行きますか。
まずは、レッドさんをカタパルトして、上空から哨戒です。相手が開戦を決定したともなれば、敵軍の動向を確認しておいてもらう必要があります。
数分で戻ってきたレッドさんから、情報を軍の人たちに伝えます。特に兵力の移動は無いそうです。…レイコ・バスターに対策するのなら、散開くらいはするのでは?と思いました。本当にむこうの指揮陣は兵士達を見殺しにするつもりのようですね。
あと、馬車を含む一隊が、三角州の反対側の輜重部隊から離れたところに待機していると…。誰か逃げるつもりのようですが、誰でしょうか?
この辺の情報をカステラード殿下の参謀の人に伝えておきます。。
「カステラード殿下、では行ってきてもよろしいでしょうか?」
「…済まないな。こんなに深入りさせるつもりは無かったのだが」
「…お気遣いありがとうございます。まぁ、降りかかる火の粉はなるべく振り払うだけです」
さて。まずは、対岸に渡りましょう。
砂利で滑りやすい川辺ですが。距離で速度を稼いで、とやっ!…と、対岸に並んでいる兵士達の前に飛びます。ざざざーとスライドしつつ、上手く着地できました。
逆に、ダーコラ国の兵士達はざざざーっと私から距離を取ります。槍を構えている人もいますね。あのデモンストレーションが効いているようですが。
「あのーっ?。ダーコラ国軍の本陣に行きたいんですけど。だれか案内してくれませんか?」
一番近くの兵に声をかけます。びくんっ!とびっくりする兵士さん。そこまでびびらなくても…と思いますが。
レッドさんの偵察で本陣のだいたいの場所は把握していますが。この兵士達の中を無双しながら突破するのはいがかかと思ってまして。平穏に案内して貰えるのなら、それに越して事はありません。
と思ってたら、背後から兵の一人が忍び寄って、私を羽交い締めにしました。
「ひゃっはーっ!巫女様を確保したぜ! オレ様が一番手柄だ!」
女の子にベタベタと。気持ち悪いですね。…まぁ、後ろから来ているのは分ってわざと捕まったのですが。
後ろから羽交い締めにしている兵士の腕を掴み。そのままバキンと。
「ぎゃーっ!腕が!」
思わず私を放り出して、悶絶しています。
「…これが回答ということで、よろしいのでしょうか?」
と。指の間にバリバリと放電させてすごみます。電撃とレイコ・バスターに関係はないのですが。これから撃つぞ?という脅しにはなるでしょう。
にしても。さきほどのレイコ・バスターの舞は、皆見ていると思うんですけど。それで手を出してくるとは、この兵士は良い度胸というか、頭が悪いというか。
「い、いや。申し訳なかった、今のは此奴の独断だ!。私がここの部隊の隊長だ。本陣へ御案内する!」
ちょっと装備の良い兵士が前に出てきて言いました。ゴルゲットも大きめですね。ダーコラ国もゴルゲットが身分証になるようです。
把握している本陣は、陣列の後方。ここから数百メートルくらいです。
隊長さんが先頭になって、他の兵士が周囲を囲んでます。…まぁ、私を警護していると言うよりは、他の兵を私から警護しているつもりかもしれませんが。
「あれが巫女様と小竜様か…」
「小さいドラゴンっても、実物はもっとでかいかと思ってた。巫女様もまだ子供じゃ無いか」
こそこそ噂している兵士の方に、ニコッとして手を振ってみます。
おっ。びっくりしながらも手を振り返してくれました。…まぁ、兵士個人単位で言えば、悪い人ばかりではないのでしょう。なるだけ無事に済ませてあげたいものです。
43
あなたにおすすめの小説
【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。
ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。
ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。
時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。
だから――。
「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」
異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ!
============
小説家になろうにも上げています。
一気に更新させて頂きました。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~
ヒロノF
ファンタジー
死後に転生した魔界にて突然無敵の身体を与えられた地野改(ちの かい)。
その身体は物理的な攻撃に対して金属音がするほど硬く、マグマや高電圧、零度以下の寒さ、猛毒や強酸、腐食ガスにも耐え得る超高スペックの肉体。
その上で与えられたのはイメージ次第で命以外は何でも作り出せるという『創成魔法』という特異な能力。しかし、『イメージ次第で作り出せる』というのが落とし穴! それはイメージ出来なければ作れないのと同義! 生前職人や技師というわけでもなかった彼女には機械など生活を豊かにするものは作ることができない! 中々に持て余す能力だったが、周囲の協力を得つつその力を上手く使って魔界を住み心地良くしようと画策する。
近隣の村を拠点と定め、光の無かった世界に疑似太陽を作り、川を作り、生活基盤を整え、家を建て、魔道具による害獣対策や収穫方法を考案。
更には他国の手を借りて、水道を整備し、銀行・通貨制度を作り、発電施設を作り、村は町へと徐々に発展、ついには大国に国として認められることに!?
何でもできるけど何度も失敗する。
成り行きで居ついてしまったケルベロス、レッドドラゴン、クラーケン、歩く大根もどき、元・書物の自動人形らと共に送る失敗と試行錯誤だらけの魔界ライフ。
様々な物を創り出しては実験実験また実験。果たして住み心地は改善できるのか?
誤字脱字衍字の指摘、矛盾の指摘大歓迎です! 見つけたらご報告ください!
2024/05/02改題しました。旧タイトル
『魔界の天使 (?)アルトラの国造り奮闘譚』
2023/07/22改題しました。旧々タイトル
『天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉体と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~』
この作品は以下の投稿サイトにも掲載しています。
『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n4480hc/)』
『ノベルバ(https://novelba.com/indies/works/929419)』
『アルファポリス(https://www.alphapolis.co.jp/novel/64078938/329538044)』
『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093076594693131)』
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~
エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます!
2000年代初頭。
突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。
しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。
人類とダンジョンが共存して数十年。
元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。
なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。
これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる