異世界へようこそ

ホタル

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1章

別れの始まり

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ジェリドは、自分の大きな手の中にある、小さな可愛いリボンの付いた小箱をジッと見つめいた。


見つめていると言うより、悩んでいた。
プレゼントは、やはりリボンを付けるべきか?それとも、剥き出しの箱のまま、渡した方がいいか、どうするべきか、悩んでいた。


ミズキへの快気祝いにと、ギルドに預けていた、『封魔の黒真珠』を、ジェリドは、自分の血と魔力を封じ込めた、それによって、漆黒の黒から、藍色に変化し、ミズキに似合う藍色のピアスにした。
これをジェリドは箱の中にしまっている。


やっぱり、女の子なのだから、可愛いリボン付きがいいよな?他の女には、幾らでも、歯の浮く様なセリフで、可愛いリボン付きのプレゼントを渡せたが、ミズキには、それが出来ない、意外と不器用な自分を発見していた。


「はぁぁぁぁ~」


ジェリドは、箱を見つめて、今日、何度目かの、ため息を付いた。



※※



ーーーーーーー最近・・・

ダリル兄さんが、おかしい。

洗い物をしてる時、掃除をしてる時、食事をしている時も、ジッとこちらを見ている、視線に気がついて、ダリル兄さんを見ると、すぐに目を逸らす。


あと、今まで、部屋に鍵は付けていなかったのに、突然、私の部屋に鍵を付け出した。
寝る時は、必ず鍵を掛けて寝る様に、念を押して!


「ダリル兄さんが、いる時は、鍵を掛けなくて良いでしょう?」
「俺が居る時は、尚更、鍵をかけろ、無防備にも程がある、もう子供じゃ無いんだから」


ーーー訳が分からない。


こないだまでは、子供だから、知らない人に付いていかない様にと、耳にタコが出来るほど言っていたのに・・・・


ーーー解せぬ。


いったい、何があった?


まさか、密かに連絡を取ってる、ランスロットとの事がバレたか、いや、バレてはいないだろう、バレていたらこんな事では済まない、やっぱり、私は、隠し事があるから、全てが疑心暗鬼になってしまう。


「ははは」
「ふふふふ」
最近のダリルとミズキは、目があうと、2人とも、ぎこちない笑顔で笑う!そして、同時に視線をそらす。誰が見ても不気味でしかない。



ダリルは、今回一人で、ギルド依頼も護衛の仕事をする事になった。3日程家を空けると言って、ダリルが居ないときに、知らない人を入れてはいけないとか、何か困ったことがあれば、ジェリドに相談するようにと、暗くなる前に家に帰ってくること。やっぱり、子ども扱いしていた。


やはり、解せぬ!!


もっと、解せないのは、ジェリドが家に入っても、部屋には入れるなと、ダリルは言ったが、ジェリドさんが、私の部屋に一度も入ったことがないはずだが・・・・。




夕方近くになり、ダリルも居ないので、計画を実行するには丁度良い。まずは、ギルドに仕事を依頼しに行くことにした。
誰にもバレないように、深くフードを被って、ギルドに入っていった。

初めて入った、ギルドは人がごった返していた。何処に行けばと、周りをキョロキョロしていると、カウンターに座っている、ふんわり、綿菓子のような髪の可愛い女の子の受付嬢と目が合った。
可愛いいと、思ったが、この機会を逃すものかと、受付嬢まで、競歩で歩み寄り


「ここは、ギルド本部で間違いないですよね!」と、声を掛けた。

「はぁ~い、間違いございませんよ、ミズキさま」

「ん??なぜ???、私の名前を・・・・」


「はい!わたくし、キャサリンと申します、ミズキ様」

あっ、ダリル兄さんの彼女だ。いや、元、彼女だったかな?

「その節は、どうも・・・申し訳なく・・・・あの・・・」

「知っていらっしゃったんですね、いいんですよ、ミズキ様、もう気にしていませんわ、ほほほほ」
メッチャ、気にしてるじゃん!目が、半端なく、輝いてるよ!暗黒世界に片足、突っ込んでるよ。キャサリンさん!!


「も、申しわけ・・・」しどろもどろと言うミズキの言葉を遮り。

「それで、どの様な御用件でしょうか?ミズキ様」

「はっ、はい、こちらのギルドマスターへ、取り次いで、いただきたいのですが?」

「うちの、ギルマスへですか?それはちょっと、申し訳ないのですが、紹介状がない方はお取次ぎできないのですよ・・・」

「紹介状は無いのですが、これを出せば、取り次いでもらえると聞いてきました」

ミズキは、国王直筆の書状、金印の入った、勅命書をキャサリンに見せた。
「・・・・これは、本物・・ですね」

「はい、これで、こちらのギルドマスターに、お会いして、仕事の依頼をしたいです」

「そうですか、それでは、こちらへ」

あれ?キャサリンさん?さっきまでのふんわり感が消えた?


ミズキが、立ち尽くしていると、「何をしてるのですか、こちらですよ」と、ちょっと雰囲気が怖くなったキャサリンさんについていった。


2階のさらに奥に、3階へと昇る階段があり、その階段を上って「こちらで、お待ちくださいと」キャサリンさんと一緒に部屋に入った。


何時まで経っても、ギルドマスターが入ってくる気配がありません、心なしか、メチャクチャ寛いで、長椅子にクッションを肩肘ついてる、キャサリンさんが気になります。まぁ、似合っているから良いんですけど、煙草にまで手を出しますか?ここの会社の就業規則とは一体どうなっているのでしょうか?



「キャサリンさん、ギルドマスターさんはまだですかね?」


「ギルマスなら、ここに居るでしょう?」


「へっ?ここって?私とキャサリンさんしか・・」

「どんくさい子ね、ダリルったら、どこが良かったのかしら、こんな子、フン!!」


『どんくさいって、どんくさいって、キャラが変わっていませんか?キャサリンさん、キャラが!180度変わっています』


やっと状況を理解してきた私は、「あぁ~なるほど、コッチが地なんですね!違和感が消えました、納得です」
「なんだって、生意気なガキだねぇ!!」

「すっすいません」怒らせてしまった。


「お嬢、からかうのも、いい加減にしてくださいよ」ドアから碧眼の男は、入ってきた。

「それで、金印の入った、勅命書は本物かい?ミルディン!」

「はい、本物です、私も初めて見ました」


ミルディンとよばれた、碧眼の男は、ミズキに一礼をして、キャサリンの手に、勅命書を渡した。
「ミズキ様、これは一体どう言う事ですか?これを盗んだのなら、あなたを、役人に突き出さなければいけない」

「どうしたと言われても、直接、ランスロットに書いてもらったんだけど、まずかった?」
ミズキは頭をかいて、少し困った顔をした。

「・・・・・」

「お嬢の、負けですね!!」クスクスとミルディンは、勝敗を勝手に決めてくれた。

訳わからん!

「うるさいわよ、ミルディン!」面白くなさそうに、キャサリンの脚が綺麗に、碧眼の男の脚にヒットする。

結構痛いだろうに、ミルディンさんは、顔色一つ変えずに、ミズキに向き合った。


「あぁ、ミズキ様、申し訳ございまっせん、うちのギルマスは、あなたを試したんですよ」

「躾のなっていない、ギルマスで申し訳ございません」

ニッコリと笑う、ミルディンに、むっとしたギルマスの、キャサリンさん、

ミズキは、なんかいいコンビだなと思った。

「はぁ、試されたんだ、それで、私は合格ですか?」

「はい、合格でございます」
ニッコリと碧眼の男が笑った。

「良かった、それでは、仕事を依頼したいのですが、良いですか?」

「はいどうぞ、何でもやってやるわよ、もし断ったら、コッチの首が飛ぶわよ、フン」
キャサリンは、乱暴な言い方ではあったが、とても楽しそうだった。



アイテム紹介

封魔の黒真珠:基本的に、かなり貴重な鉱石のため、市場に出回らない、魔力をその石に蓄え、色が濃ければ濃いほど、そのグレードが高い、最上級品は漆黒の黒、さらに、その石に魔法をかける事によって、いろいろな作用が、追加できる優れもの!

黒真珠:一般的に市場に出回っている鉱石、こちらは、色が薄いほど、グレードが高い、魔力を封じる事しか出来ない。



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