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2章
真実
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ミズキが目が覚めたその日の深夜、部屋にランスロットがやってきた。
深夜の然も、女性の部屋に忍び込んでくるランスロットを、警備の誰もが、見て見ぬふりをする、当然だろう、この部屋は、愛人と噂の氷の貴婦人こと、ミズキの仮の部屋なのだから・・・。
「ミズキ、君に話して、おかなければいけない事があってね」
そう言って、ランスロットは、椅子を、ミズキの寝台の横に置いて座った。
「・・・・・・・」
ミズキは、痛み止めを飲んでいたせいもあり、まったく、目を覚まさない。ランスロットはそれを知っていて、ミズキに話しかけていた。
「・・・すまない、友達の君を、こんな危険な目にあわせた・・・。それに、ギルバルド ・フォン・オーエングリムだが、・・・・取り逃がした。必ず、君に目の前まで引きずり出してやる!それと、君が帰りたがっていた、君の世界への異世界転移魔法陣は、廃棄させてもらう、君はこのまま、このアルモニカを守ってもらう、君の知識が必要なんだ、許してくれとは言わない・・・だが、謝罪はさせてくれ、ミズキ、ごめん」
「・・・・陛下、それは・・・それはどういう事なんでしょうか?・・・・」
ランスロットは驚いて、振り向いた。居るはずの無い、男が立っていたからだ。
「グレン君は、夕方、自宅に戻って、1日の休暇を貰ったんでは無かったのか?」
「はい、確かに頂きましたが、今回の彼女の怪我は、私の責任です。いくら、休みを貰っても、彼女の護衛をしに戻ってきました。・・・それより、異世界転移魔法陣とは、どういう事なんですか?彼女と何の関係があるんでしょうか?・・・・差支えが無ければ・・・いいえ、ぜひ教えてください」
「まいったね、僕としたことが、気配を読み取るのはうまい方だったんだけどね。何処から、話そうかね」
ランスロットは、まるで昔話でも話すかのように言った。
「ミズキと初めて会ったのは、僕のおじいさまの屋敷に護衛として、ギルドから雇っていた男の妹として、彼女も滞在していたんだよ、その頃のミズキは目が見えなくてね、いつも、ミズキの側には兄とその友人が居たね・・・。兄の方は良くミズキの頭を撫でていたよ。見ていて本当に仲のいい兄妹に見えたよ。僕は、おじいさまの護衛には、ギルドの護衛なんて信用していなかったから、少しは腕の立つゴロツキを雇って、おじいさまの屋敷に放ったんだ」
「彼女は、目が見えなかったのですか?」
「ああ、そうだよ、精神的な失明だと聞いたよ。話の続きをして良いかな?」
「はい、すみません、お願いします」
「護衛の腕を試すだけの刺客だったが、その時ミズキも一緒に巻きもまれてね、ちょうど、護衛の男が、ミズキを薔薇園に行っているときに、襲われたんだ。兄の方はミズキを抱えて、武器無く、屋敷まで逃げてくると僕は思ったよ、でもね、あの男はミズキを抱えて、瞬時に相手の剣を奪い、そのまま、風が流れるように、目の前の男を、躊躇いもせず切り殺したよ。そのあとは、3人まとめて相手をしていたね。君も、騎士ならどれ程の腕か想像できるだろう?」
「・・・・・はい、普通では、考えられません、本当にその男は、彼女を抱きかかえながら、戦ったのですか?然も、4人全員を一人で・・・・俺だったら無理です。」
「そう、不可能を、可能にしたんだよ。ミズキの兄、確か、ダリルと言ったかな?それと、もう一人の男は、ジェリドだったね、ジェリドの方は、現場の戦術操作が、とてもうまいね」
「ミズキの口が悪いのは、君も良く知っているね?」
「はい、あそこまで口の悪い女は初めて見ました」
「ふふふ。そう、僕はね、彼女の口の悪さを利用して、不敬罪の罪で、城まで連れてこようとしたんだ、そうしたら、ジェリドと言う男がやって来て、瞬時にその場の、現状を把握し、的確な判断をして、ミズキを無理やり謝らせて、そのまま僕の前から、まんまとミズキを連れ出したよ、見事なくらいにね」
「戦略家と言われる、陛下から・・・」
「ああ、まんまと出し抜かれたよ、今の所、彼くらいだね」
「でも、どうやって、陛下は彼女を納得させたんでしょうか?」
「簡単な事だよ。彼女の弱みを握って、脅したんだよ」
「弱みですか・・・」
「ああ、弱みだよ。ミズキが『異世界人』と言う弱みだ!!」
「えっ?彼女が異世界から来たという事ですか?」
「その通り、彼女が、初めてこの世界に来たのは、5年前の事、その時この城で実験が行われた、異世界人の召喚だ、私も即位してから、その事実を知った。」
「なぜ、異世界人の召喚なんて事をしたんでしょうか?」
「君は、話しづらい事を、聞きたがるね?」
「もっ、申しわけありません」
「まあ、いいよ、これからいう事は、口外しないように」
グレンはコクリと頷いた
「不減の谷に異世界から漂流物が流れてくるのは知っているかい」
「はい、噂では・・・」
「それは、噂ではなく事実だよ。そして、今まで、流れて来た物は、何が何だか判らずにいた。そこで、分らないなら、分る人間を連れて来れば良いという、事になった、だがそれは、大失敗に終わった。手伝いの10人のメイドと召喚しようとした神官3人が犠牲になった。」
「それでは、彼女はどうやって?」
「話は、最後まで聞こう?まあ、焦る気持ちはわかるよ」
「はい、すみません」
「本当は、失敗では無かった。13人もの犠牲はあったが、ミズキは、ちゃんと、この世界に来た、場所は不減の谷だったけどね」
「そう、不減の谷でダリルはミズキを見つけて、妹として、一緒に生活をしていたというわけさ」
「それをネタに、彼女を城に、呼んだんですね」
「まあ、そんなとこだ」
「それじゃあ、僕は戻るよ」
「ミズキの事は、頼んだよ」
「・・・はい」
「・・・だからこいつは『睨まれても、私の勝ちよ・・・弟が可愛ければ、わたしを護衛しなさい・・・・まぁ、私も好きで、王宮に居る訳でもないから、気持ちはわかるわ』何て言っていたのか・・・」
「・・・それに、帰れないと知ったら・・・・・」
深夜の然も、女性の部屋に忍び込んでくるランスロットを、警備の誰もが、見て見ぬふりをする、当然だろう、この部屋は、愛人と噂の氷の貴婦人こと、ミズキの仮の部屋なのだから・・・。
「ミズキ、君に話して、おかなければいけない事があってね」
そう言って、ランスロットは、椅子を、ミズキの寝台の横に置いて座った。
「・・・・・・・」
ミズキは、痛み止めを飲んでいたせいもあり、まったく、目を覚まさない。ランスロットはそれを知っていて、ミズキに話しかけていた。
「・・・すまない、友達の君を、こんな危険な目にあわせた・・・。それに、ギルバルド ・フォン・オーエングリムだが、・・・・取り逃がした。必ず、君に目の前まで引きずり出してやる!それと、君が帰りたがっていた、君の世界への異世界転移魔法陣は、廃棄させてもらう、君はこのまま、このアルモニカを守ってもらう、君の知識が必要なんだ、許してくれとは言わない・・・だが、謝罪はさせてくれ、ミズキ、ごめん」
「・・・・陛下、それは・・・それはどういう事なんでしょうか?・・・・」
ランスロットは驚いて、振り向いた。居るはずの無い、男が立っていたからだ。
「グレン君は、夕方、自宅に戻って、1日の休暇を貰ったんでは無かったのか?」
「はい、確かに頂きましたが、今回の彼女の怪我は、私の責任です。いくら、休みを貰っても、彼女の護衛をしに戻ってきました。・・・それより、異世界転移魔法陣とは、どういう事なんですか?彼女と何の関係があるんでしょうか?・・・・差支えが無ければ・・・いいえ、ぜひ教えてください」
「まいったね、僕としたことが、気配を読み取るのはうまい方だったんだけどね。何処から、話そうかね」
ランスロットは、まるで昔話でも話すかのように言った。
「ミズキと初めて会ったのは、僕のおじいさまの屋敷に護衛として、ギルドから雇っていた男の妹として、彼女も滞在していたんだよ、その頃のミズキは目が見えなくてね、いつも、ミズキの側には兄とその友人が居たね・・・。兄の方は良くミズキの頭を撫でていたよ。見ていて本当に仲のいい兄妹に見えたよ。僕は、おじいさまの護衛には、ギルドの護衛なんて信用していなかったから、少しは腕の立つゴロツキを雇って、おじいさまの屋敷に放ったんだ」
「彼女は、目が見えなかったのですか?」
「ああ、そうだよ、精神的な失明だと聞いたよ。話の続きをして良いかな?」
「はい、すみません、お願いします」
「護衛の腕を試すだけの刺客だったが、その時ミズキも一緒に巻きもまれてね、ちょうど、護衛の男が、ミズキを薔薇園に行っているときに、襲われたんだ。兄の方はミズキを抱えて、武器無く、屋敷まで逃げてくると僕は思ったよ、でもね、あの男はミズキを抱えて、瞬時に相手の剣を奪い、そのまま、風が流れるように、目の前の男を、躊躇いもせず切り殺したよ。そのあとは、3人まとめて相手をしていたね。君も、騎士ならどれ程の腕か想像できるだろう?」
「・・・・・はい、普通では、考えられません、本当にその男は、彼女を抱きかかえながら、戦ったのですか?然も、4人全員を一人で・・・・俺だったら無理です。」
「そう、不可能を、可能にしたんだよ。ミズキの兄、確か、ダリルと言ったかな?それと、もう一人の男は、ジェリドだったね、ジェリドの方は、現場の戦術操作が、とてもうまいね」
「ミズキの口が悪いのは、君も良く知っているね?」
「はい、あそこまで口の悪い女は初めて見ました」
「ふふふ。そう、僕はね、彼女の口の悪さを利用して、不敬罪の罪で、城まで連れてこようとしたんだ、そうしたら、ジェリドと言う男がやって来て、瞬時にその場の、現状を把握し、的確な判断をして、ミズキを無理やり謝らせて、そのまま僕の前から、まんまとミズキを連れ出したよ、見事なくらいにね」
「戦略家と言われる、陛下から・・・」
「ああ、まんまと出し抜かれたよ、今の所、彼くらいだね」
「でも、どうやって、陛下は彼女を納得させたんでしょうか?」
「簡単な事だよ。彼女の弱みを握って、脅したんだよ」
「弱みですか・・・」
「ああ、弱みだよ。ミズキが『異世界人』と言う弱みだ!!」
「えっ?彼女が異世界から来たという事ですか?」
「その通り、彼女が、初めてこの世界に来たのは、5年前の事、その時この城で実験が行われた、異世界人の召喚だ、私も即位してから、その事実を知った。」
「なぜ、異世界人の召喚なんて事をしたんでしょうか?」
「君は、話しづらい事を、聞きたがるね?」
「もっ、申しわけありません」
「まあ、いいよ、これからいう事は、口外しないように」
グレンはコクリと頷いた
「不減の谷に異世界から漂流物が流れてくるのは知っているかい」
「はい、噂では・・・」
「それは、噂ではなく事実だよ。そして、今まで、流れて来た物は、何が何だか判らずにいた。そこで、分らないなら、分る人間を連れて来れば良いという、事になった、だがそれは、大失敗に終わった。手伝いの10人のメイドと召喚しようとした神官3人が犠牲になった。」
「それでは、彼女はどうやって?」
「話は、最後まで聞こう?まあ、焦る気持ちはわかるよ」
「はい、すみません」
「本当は、失敗では無かった。13人もの犠牲はあったが、ミズキは、ちゃんと、この世界に来た、場所は不減の谷だったけどね」
「そう、不減の谷でダリルはミズキを見つけて、妹として、一緒に生活をしていたというわけさ」
「それをネタに、彼女を城に、呼んだんですね」
「まあ、そんなとこだ」
「それじゃあ、僕は戻るよ」
「ミズキの事は、頼んだよ」
「・・・はい」
「・・・だからこいつは『睨まれても、私の勝ちよ・・・弟が可愛ければ、わたしを護衛しなさい・・・・まぁ、私も好きで、王宮に居る訳でもないから、気持ちはわかるわ』何て言っていたのか・・・」
「・・・それに、帰れないと知ったら・・・・・」
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