勇者さまは私の愚弟です。

ホタル

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ちょびっと前のお話

間接攻撃!恐るべし!!

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今日は、ぐれんが日直と、委員会の出席のため、私は先に帰る事を告げると、ぐれんの顔がみるみると、歪んでいくではありませんか?

でも、私としては、それくらいで、引く女ではありません!

勝ちます。今日は、勝って見せます。

最近連敗、更新中です。

私の心は、これから戦うボクサーの様に、ファイティングポーズを決めています。
『おぅらぁぁ!!かかってこいやぁぁ~!!』みたいな感じ!です。

「ふ~ん、一人で帰るんだ・・・俺を置いて・・・帰れるんだ・・・一花は酷いね!」ため息をついて、捨てられた、子犬のように振る舞い、ぐれんは周りを見た。

あれ?言い返さないの?珍しい事もあるんですね?拍子抜けです。

私も、ぐれんにつられて、私も周りを見ると。


周りの女子からは、「神無月くん・・可哀想~」とか「あの子、いい気になってない?」とか「もう少し優しく言ったって、いいじゃない?」とか、彼女達の聞こえるような独り言が、私の心を、突き刺します。

・・・・痛い・・・これは、痛い!激痛です。私は心の悲鳴をあげます。


ぐれんは、悲しいそぶりで、手で顔半分隠してますが、私はしっかり見えました、顔を手で隠す瞬間、ぐれんの口角が上がっていました。

ぐれんが・・・笑っている・・・・。

図られた・・・・。

そういう攻撃って・・・ありですか?

ぐれんめ!、間接攻撃ですか!!そこを狙っていたか!!

この瞬間、私は悟りました。

これはぐれんの、嫌がらせだと・・・・・だが・・・時・・・すでに遅し!!

私は、悪者!決定です。

口惜しいです・・・・・・。

すでに、勝敗は決まりました・・・・・。


ーーーーーーーーーーーぐれんの圧勝です。


私の負けです。

ハイハイ、負けました。


ーーーーーーーーーーーま!け!ま!し!た!!!!!!


これで・・これで・・満足ですか?ぐれん!!



それはそうと、クラスの女子の冷たい視線を何とかしなければいけません。

「なっ何よ!・・・今日くらい・・・今日くらい、一人で帰ったっていいじゃない・・別に、別に。…いいじゃない?」

もう逃げ腰です。



「そんなことしたら、せっかく、二人っきりになる機会が、減るじゃないか!何を言ってるの一花?一花一人で、帰すわけが無いでしょう?それでなくても、最近、一花のお父さんに、何かと、妨害や、一花に近付けないように細工もしてくるし、それを掻い潜って一花に会いに行く、俺の苦労も分かってよ!」

何て・・・・身勝手な、言い訳なんでしょうか。

みんなの前で、言い切りましたよ。

クラスには、ぐれんのファンの子もたくさんいて、ぐれんの隠れ親衛隊もいると言う噂も聞きます。

親衛隊と言うより、あれは、狂信者です。
こないだ、リンチのあった子がいると、聞き及んでおります。恐ろしい、集団です。

これは、まずい状態です。

気のせいではありません、クラスの女子の視線が、殺気だって来ました。

もしかして、ぐれん!これは、私への死刑宣告ですが?

私に、死ねと言いますか?

女子の視線が、ジリジリと、お肌が焼け付くようです。

嫉妬と言う名の、紫外線で・・・・。

「はい、ここで、大人しく待っています・・・・ちっ!」

「一花!良くできました、それに『ちっ!』じゃないでしょ?女の子なんだから、そんな言葉を使っちゃ、ダメだよ!それから、ちゃんと、ここで待っているんだよ!一花」

ぐれんは、嬉しそうに、私の頭を撫でました。

それは、嬉しいでしょうとも・・・私は、早く逃げ出す事を考えていました。この屈辱と、痛い紫外線に、耐える事が出来ません・・・紅蓮が、出て行ったら、すぐにでも私は帰ります。

「おう、神無月、いるか?そろそろ、委員会が始まるから、来てくれ」
委員会顧問の、原田先生が、ぐれんを探しに来ました。

「はい、分りました先生」
ぐれんは、軽く返事をすると、すぐに私に向き合って
「それじゃ、俺は行くから、絶対に、ここで、ここで!待っているんだよ」

さすがぐれん、嫌がらせに妥協は無い!念を押すのを忘れない男でした。

「ハイハイ、行ってらっしゃいませ、旦那様」

ハイハイ、下僕ですよ!私は・・・・・面白くないです。

ぐれんは、嬉しそうに「もう一回、一花、もう一回、言って」と言ってきた。

「はい、はい」
「ちがう、その後」
「いってらっしゃい」
「そのあとだよ・・・一花、俺を焦らしてるの?そんな子に、いつの間になったの?そんな高度な焦らし方どこで、覚えたの?」
「はあぁ?」
何を言ってるんでしょうか?ぐれんは?

「だから、一花、『旦那さま』って、もう一度言って」

「だ、だっ旦那様」頬が引きつります。

「うん、行って来るよ、一花」
ぐれんは、嬉しそうに、走って、クラスを出ていきました。

私は呆然と、その場に立ち尽くしてしまいました。

それにどうでしょう、さっきまでの、突き刺さる嫉妬の紫外線が、無くなり、今は生暖かい、可哀想な子でも見るかの様な、視線に変わっているではないですか?


えぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇえぇぇl!!!


私が!!私が痛い子なの?私なの?


ーーーーーーーーーー納得できません。


全て!すべて!紅蓮のせいです。


私は、カバンをもて、クラスを出て、まっすぐ、家に帰りました。

だれが、待ってやるものかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

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