幕末・浪漫千香 〜どんな時代でも、幸せになれる〜

秋藤冨美

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夢か現か

母の話

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   現代に戻ってから数日が過ぎ。山南からの手紙を読んでから、藤堂は戊辰戦争後愛媛で暮らしたことを知り、急いで実家へと向かった。そしてその夜。

「千香、入るよ。 」

コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

「...何。母さん。  」

母の気配を部屋に感じ、千香は蒲団の中から訪ねた。寝ようと思っていたところに訪ねられたため、少し機嫌が悪い。

「千香にね、話したいことがあるんよ。 」

「話したい、こと...? 」

蒲団から起き上がり、母の顔を見ると。優しく微笑みながらも昔を思い出す様に、遠い目をしていた。

「うん。千香がまだ、お腹ん中居ったときの話よ。 」

千香のベッドに腰かけてから、話し始めた。

「実はね、千香が生まれる前の晩に夢見たんよ。千香が今ぐらいの歳になっとって、その隣におんなじぐらいの背で時代劇みたいな髪型しとる男の子と連れ立っとって。ほんで何故か二人とも着物着とって、街並みが京都みたいな感じで。ほんで、不思議なことにその人が曾祖父ちゃんと一緒に写っとる写真も出てきて。 」

「平助、写真撮っとったんやね...。 」

千香は母の話と藤堂が写真を残していたことに驚いた。しかも母の話ぶりからは世に出回っていないのだろう。

「ほんで、その男の子が千香の名前を呼びよった。それも、愛おしそうに見つめながら。ほやけん、千香って名前つけたんよ。なんとなくやけど、この子にはもう名前が決まっとったんやって思ってね。 」

「...ずっと、待っとってくれたんやね。」

思わずまぶたが熱くなり、俯いた。

「あの子が明らかに違う時代を生きとる子やって思うた。ほやけん千香の名前の漢字を、“たとえ千年時代が違ったとしてもとしても香り続けて、いつかあの男の子が見つけてくれます様に”っていう意味で千香にしたんよ。...いつ逢えるんやろうねえ。 」

「...もう逢えたよ。有り難う、母さん。 」

藤堂と自分が出会うことは、生まれる前からの運命さだめだったのだ。今ようやっと、自分があの時代に行った理由が分かった。

「ありゃ、泣いてしもて。子どもげえなねえ。 」

「あんね。平助はね、新選組の八番隊組長なんよ。ほんでかっこ良くて優しくて、ほんまの誠の武士やったよ。真っ直ぐで、ほんでもちょっと子どもっぽくて。 」

「ほうなんね。ほやけん、千香、新選組に興味持ったんかね。何かに導かれたんかもしれんね。出会うために。 」

千香はポロポロと零れ落ちる涙を拭く、母の頬を優しく撫でている手の温もりを暫く感じていた。


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