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七、十一月十三日(火)④
6時起床、とはいかなかった。起きたのは6時半。大急ぎで支度を整え、車に飛び乗った。この間、10分足らず。空港に着いたのが7時10分。手続きを済ませ、ほっとひと息ついた。
全日空562便は予定通り7時45分に出発した。予定通りでなかったのは、マスターの体調だ。酒の残った頭は寝不足でグワングワン御詠歌(巡礼の節をつけた歌)を唸っているは、右脚は痛みがジャカジャカ痙攣気味にジャズ・ドラムを叩いているは、右手の中指はジンジン自己主張のハード・ロックで金切り声を上げているはで、最悪である。機内では少しは眠れるかと期待していたが、甘かった。腹いせにサービスのウーロン茶とコンソメ・スープをがぶ飲みした。気を紛らわせようと聴いた機内放送の落語は、スチュワーデスの案内アナウンスによってご丁寧ににズタズタに寸断された。「ほんなこつぅ」のレッテルを頭の至る所に貼り、貼っては重ねた。富士山の美しい姿を見ることが出来たのが唯一の慰め。満席の機はテロリストにハイジャックされ新宿都庁のツイン・タワーに激突することもなく、無事羽田空港に着陸した。
銀座でサンドイッチとコーヒーの朝食を摂り、歌舞伎座へ向かう。
団体客の脇をすり抜け、中村亀鶴の受付コーナーで入場券を受け取り芳名帳に記帳した。ごった返すフロアーに戻ったところで、マスターは声を掛けられた。
「まあ。本当に来て下さったのね」
中村芳彦改メ二代目中村亀鶴の母君、軍司むつみさんだ、
高知の近隣の市での歌舞伎公演の後、ミチルちゃんに連れられて芳彦君が「空十屋」に何度か来たことがある。それが縁で、軍司さんも機会があれば店に寄ってくれるようになった。軍司さんは操体術というストレッチの先生で、イタリアと日本を往き来しながら世界中のバレリーナやダンサーの体をほぐしている。近い将来、ミラノ大学で講座も開く予定らしい。一般の人にも健康操体術を知ってもらおうと、日本各地を飛び回る超多忙の先生である。
いつもは長い髪を垂らしたラフなスタイルなのだが、さすがにきょうは装いが違う。明るい萌黄色の和服とセットアップした髪が、美容院からたった今駆けつけて来たばかりですよと辺りにふれ回っている。一段と美しく晴れやかだ。それはそうだろう。最愛の息子のハレの襲名披露なのだ。十一月一日初日の顔見世は、二十五日が千秋楽となる。その間、時間が許す限り母君は歌舞伎座で応対に追われるのだ。
「久し振りです。こんにちは」
「芳彦がね、『あいつは来るって言ったら絶対に来る。だから好きなんだよな』って、言ってたんですよ」
一度目、二度目はまだ畏まっていたが、三度目の「空十屋」では自分の殻を脱いだ素顔の「中村芳彦」だった。ミチルちゃんの他に客がいなかったこともあるのだろう。物静かだが熱く胸の内を語った。歌舞伎への想い、歌舞伎の世界に生まれたことへの葛藤、これからの歌舞伎のこと、現代劇へも挑戦し幅広い役者になることなどなど。途中口を挟んだマスターに自分をぶつける反骨精神旺盛なこの若い歌舞伎役者に、マスターは好感を抱いた。
「へえ。それはまた、えらく買いかぶってくれとっとやねぇ」
「今、お客様のお相手をしに行くところなの。舞台が終わったら楽屋に案内しますから、ここで待っていらして」
言い置いて、軍司さんは人の波の中に消えていった。
マスターはフロアーでパンフレットを購入し、イヤホンガイドの機器を借りた。幕間を利用して食べる弁当を注文し、席に案内してもらう。花道の脇から五列ほど中央寄りの「一階り列三十一番」。上等の席だった。
出し物は「宮島のだんまり」・「鬼一法眼三略巻 菊畑」・「戻駕色相肩」・「恋飛脚大和往来 玩辞楼十二曲の内 封印切」。その内、二代目中村亀鶴は「戻駕色相肩」の禿(高級遊女に使われる見習いの少女)役で出る。共演は中村富十郎、中村鴈治郎となっていたが、富十郎急病のため市川左團次が代役を務めるとアナウンスされた。
幕が開き、出し物が続く。イヤホンガイドのお陰で話の筋立てや人物背景、浄瑠璃の語りの内容がよく分かる。
最初の出し物「宮島のだんまり」は安芸の宮島、厳島神社が舞台である。平家の重宝である深紅の御旗と巻物一巻をめぐり敵味方が入り乱れ争奪戦を繰り広げる。「だんまり」とは真の闇のことで、暗闇の中での探り合い、からみ合いが見所となっている。続く「鬼一法眼」では尾上菊五郎が当たり役の牛若丸を演じた。家来の鬼三太(片岡仁左衛門が好演)とともに奴に身を変え、鬼一の所持する兵法書「六韜三略 虎の巻」を奪うため屋敷に入り込む。鬼一の娘で牛若丸に恋い焦がれる皆鶴姫、皆鶴姫と家督を我がものにしようとする鬼一の弟子笠原湛海、そうして鬼一の正体とその狙いが複雑にからむ。皆鶴姫は菊五郎の息子菊之助が演じ、親子共演が観客を喜ばせる趣向となっている。
さて、いよいよ「戻駕色相肩」。二代目中村亀鶴の登場だ。
鳴り物を合図に萌黄・柿・黒三色の縦縞の引幕が下手から上手へと手繰られた。舞台にはさらにもう一枚、薄水色の幕が掛かっている。
常磐津の三味線が鳴り響いた。
「古を ここにうつしてわざおぎの 姿も伊達や息杖と 一対揃うた色の相肩……」
幕が切って落とされる。一瞬にして明るくあでやかな春爛漫、洛北の紫野が舞台に現れた。鮮やかな演出だ。
満開の桜の樹の下に四つ手駕籠が一挺、島原遊郭からの戻り駕籠だ。その両脇に色白の優男といかつい赤ら顔の男が二人。色白は鴈治郎演ずる吾妻の与四郎、赤ら顔は浪華の次郎作で病気の富十郎に代わり演ずるは市川左團次。
二人が江戸と大阪のお国自慢をしながら一服している。駕籠に乗っているのが島原の傾城(遊女のこと。男がその色香に城も投げ打つほどの美女)小車太夫の禿だと次郎作から聞かされた与四郎は、駕籠から出して廓話でもさせようと持ち掛ける。
二人にうながされ、駕籠から出る「たより」。鮮やかな赤い振袖がひときわ眼を引く。
「谷の戸明けて鶯の まだ廓馴れぬ風情にて 面はゆげなるその素振り……」
踊る「たより」に誘われるように、与四郎と次郎作も踊り始める。その踊りの最中に、三人が舞台中央に並び坐って頭を下げた。襲名披露である。鴈治郎が、少し甲高いが丸みを帯びた張りのある声で口上を述べ始めた。
「本日は吉例顔見世歌舞伎にお越しいただき、誠にありがたく御礼申し上げまする。さてこの度、中村芳彦改め二代目中村亀鶴を襲名する運びと相成りました。富十郎急病のため襲名の舞台にございませんこと、深くお詫び申し上げまする。今は亡き初代中村亀鶴は四代目富十郎の次男、初代鴈治郎の孫に当たり……」
鴈治郎の声には独特の色気がある。艶っぽいとでも言えばいいのだろうか。江戸歌舞伎は歯切れよくキリッとした感じだが、上方歌舞伎はユーモアがあって柔らかい。その上方歌舞伎の特徴をよく表している声だ。
全日空562便は予定通り7時45分に出発した。予定通りでなかったのは、マスターの体調だ。酒の残った頭は寝不足でグワングワン御詠歌(巡礼の節をつけた歌)を唸っているは、右脚は痛みがジャカジャカ痙攣気味にジャズ・ドラムを叩いているは、右手の中指はジンジン自己主張のハード・ロックで金切り声を上げているはで、最悪である。機内では少しは眠れるかと期待していたが、甘かった。腹いせにサービスのウーロン茶とコンソメ・スープをがぶ飲みした。気を紛らわせようと聴いた機内放送の落語は、スチュワーデスの案内アナウンスによってご丁寧ににズタズタに寸断された。「ほんなこつぅ」のレッテルを頭の至る所に貼り、貼っては重ねた。富士山の美しい姿を見ることが出来たのが唯一の慰め。満席の機はテロリストにハイジャックされ新宿都庁のツイン・タワーに激突することもなく、無事羽田空港に着陸した。
銀座でサンドイッチとコーヒーの朝食を摂り、歌舞伎座へ向かう。
団体客の脇をすり抜け、中村亀鶴の受付コーナーで入場券を受け取り芳名帳に記帳した。ごった返すフロアーに戻ったところで、マスターは声を掛けられた。
「まあ。本当に来て下さったのね」
中村芳彦改メ二代目中村亀鶴の母君、軍司むつみさんだ、
高知の近隣の市での歌舞伎公演の後、ミチルちゃんに連れられて芳彦君が「空十屋」に何度か来たことがある。それが縁で、軍司さんも機会があれば店に寄ってくれるようになった。軍司さんは操体術というストレッチの先生で、イタリアと日本を往き来しながら世界中のバレリーナやダンサーの体をほぐしている。近い将来、ミラノ大学で講座も開く予定らしい。一般の人にも健康操体術を知ってもらおうと、日本各地を飛び回る超多忙の先生である。
いつもは長い髪を垂らしたラフなスタイルなのだが、さすがにきょうは装いが違う。明るい萌黄色の和服とセットアップした髪が、美容院からたった今駆けつけて来たばかりですよと辺りにふれ回っている。一段と美しく晴れやかだ。それはそうだろう。最愛の息子のハレの襲名披露なのだ。十一月一日初日の顔見世は、二十五日が千秋楽となる。その間、時間が許す限り母君は歌舞伎座で応対に追われるのだ。
「久し振りです。こんにちは」
「芳彦がね、『あいつは来るって言ったら絶対に来る。だから好きなんだよな』って、言ってたんですよ」
一度目、二度目はまだ畏まっていたが、三度目の「空十屋」では自分の殻を脱いだ素顔の「中村芳彦」だった。ミチルちゃんの他に客がいなかったこともあるのだろう。物静かだが熱く胸の内を語った。歌舞伎への想い、歌舞伎の世界に生まれたことへの葛藤、これからの歌舞伎のこと、現代劇へも挑戦し幅広い役者になることなどなど。途中口を挟んだマスターに自分をぶつける反骨精神旺盛なこの若い歌舞伎役者に、マスターは好感を抱いた。
「へえ。それはまた、えらく買いかぶってくれとっとやねぇ」
「今、お客様のお相手をしに行くところなの。舞台が終わったら楽屋に案内しますから、ここで待っていらして」
言い置いて、軍司さんは人の波の中に消えていった。
マスターはフロアーでパンフレットを購入し、イヤホンガイドの機器を借りた。幕間を利用して食べる弁当を注文し、席に案内してもらう。花道の脇から五列ほど中央寄りの「一階り列三十一番」。上等の席だった。
出し物は「宮島のだんまり」・「鬼一法眼三略巻 菊畑」・「戻駕色相肩」・「恋飛脚大和往来 玩辞楼十二曲の内 封印切」。その内、二代目中村亀鶴は「戻駕色相肩」の禿(高級遊女に使われる見習いの少女)役で出る。共演は中村富十郎、中村鴈治郎となっていたが、富十郎急病のため市川左團次が代役を務めるとアナウンスされた。
幕が開き、出し物が続く。イヤホンガイドのお陰で話の筋立てや人物背景、浄瑠璃の語りの内容がよく分かる。
最初の出し物「宮島のだんまり」は安芸の宮島、厳島神社が舞台である。平家の重宝である深紅の御旗と巻物一巻をめぐり敵味方が入り乱れ争奪戦を繰り広げる。「だんまり」とは真の闇のことで、暗闇の中での探り合い、からみ合いが見所となっている。続く「鬼一法眼」では尾上菊五郎が当たり役の牛若丸を演じた。家来の鬼三太(片岡仁左衛門が好演)とともに奴に身を変え、鬼一の所持する兵法書「六韜三略 虎の巻」を奪うため屋敷に入り込む。鬼一の娘で牛若丸に恋い焦がれる皆鶴姫、皆鶴姫と家督を我がものにしようとする鬼一の弟子笠原湛海、そうして鬼一の正体とその狙いが複雑にからむ。皆鶴姫は菊五郎の息子菊之助が演じ、親子共演が観客を喜ばせる趣向となっている。
さて、いよいよ「戻駕色相肩」。二代目中村亀鶴の登場だ。
鳴り物を合図に萌黄・柿・黒三色の縦縞の引幕が下手から上手へと手繰られた。舞台にはさらにもう一枚、薄水色の幕が掛かっている。
常磐津の三味線が鳴り響いた。
「古を ここにうつしてわざおぎの 姿も伊達や息杖と 一対揃うた色の相肩……」
幕が切って落とされる。一瞬にして明るくあでやかな春爛漫、洛北の紫野が舞台に現れた。鮮やかな演出だ。
満開の桜の樹の下に四つ手駕籠が一挺、島原遊郭からの戻り駕籠だ。その両脇に色白の優男といかつい赤ら顔の男が二人。色白は鴈治郎演ずる吾妻の与四郎、赤ら顔は浪華の次郎作で病気の富十郎に代わり演ずるは市川左團次。
二人が江戸と大阪のお国自慢をしながら一服している。駕籠に乗っているのが島原の傾城(遊女のこと。男がその色香に城も投げ打つほどの美女)小車太夫の禿だと次郎作から聞かされた与四郎は、駕籠から出して廓話でもさせようと持ち掛ける。
二人にうながされ、駕籠から出る「たより」。鮮やかな赤い振袖がひときわ眼を引く。
「谷の戸明けて鶯の まだ廓馴れぬ風情にて 面はゆげなるその素振り……」
踊る「たより」に誘われるように、与四郎と次郎作も踊り始める。その踊りの最中に、三人が舞台中央に並び坐って頭を下げた。襲名披露である。鴈治郎が、少し甲高いが丸みを帯びた張りのある声で口上を述べ始めた。
「本日は吉例顔見世歌舞伎にお越しいただき、誠にありがたく御礼申し上げまする。さてこの度、中村芳彦改め二代目中村亀鶴を襲名する運びと相成りました。富十郎急病のため襲名の舞台にございませんこと、深くお詫び申し上げまする。今は亡き初代中村亀鶴は四代目富十郎の次男、初代鴈治郎の孫に当たり……」
鴈治郎の声には独特の色気がある。艶っぽいとでも言えばいいのだろうか。江戸歌舞伎は歯切れよくキリッとした感じだが、上方歌舞伎はユーモアがあって柔らかい。その上方歌舞伎の特徴をよく表している声だ。
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